公爵令嬢の幸せな転生物語

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前編

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何度も何度も繰り返しているから、わかることなのだ。私はもうじき、王子様から婚約破棄される。私たちの住むイズール帝国は、まもなく崩壊しようとしている。隣国の大帝国カプリの軍勢が目の前に迫っている。王子様は、

「この中にスパイがいる!」

と、突然言い出す。そんなわけないのに、王子様は私をまっすぐ指差して、

「クリス!お前がスパイなんだな!」

と怒鳴りつける。その場に居合わせた貴族たちがざわつき始める。

「王子様!それは何かの間違いなのです!私が王子様を裏切るはずがありません!私は心から王子様を愛しております!」

金や名誉を捨ててでも、王子様と共に歩みたい……そんなことを祈っていた乙女の心が一瞬にして崩壊しました。

「嘘をつくな!こっちには証拠があるんだ!」

そう言って、王子様は手紙を取り出す。私が書いたとされる手紙である。私の字にそっくりである。そして、カプリの王子様に当てた書状で、寝返る条件として、王子様と婚約すること云々と書かれている。本当は書いてないんだけど、これを決定的証拠だと皆信じてしまう。そして、私、公爵令嬢クリスは王子様との婚約を破棄され、牢獄に収監されることになる。そして、死刑宣告を受けるのだが、その前にイズールは亡ぶ。カプリの王子様に救出されるのはいいかもしれないが、そのまま娼館に連れて行かれて、男たちのおもちゃになる……。

いつになったら、このループから抜け出せるのかしら?
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