婚約者は妹の御下がりでした？～妹に婚約破棄された田舎貴族の奇跡～

その23

力を持った人間の望むことは、なんとかして自分の理想の世界を作る……ということになるのでしょう。

もしも、それが可能であるならば、私も興味がありました。ですが、ロンメル伯爵はそのようなことにはあまり興味を示さず、

「今日も可愛く花が咲きました」

と言って、庭に咲く花をめでているのでした。私はこの様に純粋なロンメル伯爵に引かれたわけでございまして、それはそれでよかったのです。けれど、せっかく一度しかない人生なのですから、ローズたちを見返してやりたいと……ああ、私はまだ若かったのです！！！

「ねえ、ロンメル伯爵？？？今日も私に魔法を教えてくれませんか？？？」

私が頼みますと、ロンメル伯爵は、

「分かりました！！！」

と言って、快く承諾してくれました。

「さあ、これからは、命を宿す方法について学んでいきましょう」

「命を宿す……私たち人間に、そのようなことができるのですか？？？」

「ええ、それができるのです。とは言っても……ほら、そこにいるウサギを使ってみましょう。さすがに人間に対して使うのは難しいので……」

そう言って、ロンメル伯爵は、ウサギを手招きしました。優しさに導かれて、ウサギはロンメル伯爵の手の上にちょこんと座りました。

「さあ、目を瞑って……命の継承のための呪いを唱えまして…………」

ロンメル伯爵の力が叶いまして、ウサギの隣に、小さなウサギの赤ちゃんが生まれました。

「なるほど、クローンを作り出す技術なんですね？？？」

私がこう言うと、

「その通りです」

と、ロンメル伯爵は答えました。なかなか面白いアイデアだと、私は思いました。