初恋は傷物令嬢

tartan321

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その3

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僕はリリーにチョコレートを手渡した。

「時間が経っているから……結構溶けちゃったね。ごめん……」

リリーが言っていた大きなチョコレートではなくなってしまった。それでも、リリーは、

「気にしないで。ありがとう」

と言った。

これといって変哲も無いチョコレートだった。エサを求める魚のように口を大きく開いて、少しずつ食べた。

「おいしいかい?」

答えの決まった質問を、僕は投げかけてみた。

「とってもおいしい。久しぶりだから」

と、リリーは答えた。

「普段は食べられないのかい?」

こう質問をすると、リリーは、

「決められた食事しか許されていないの。余計なお菓子を食べると太るからダメだって、お父様に言われていたの……」

と答えた。

「太ってはいけないのかい?僕は気にしないけどな……」

子供だからこそ、無神経だったのかもしれない。でも、リリーは笑ってごまかした。

「あなたはそれでいいかもしれないけど、私にとっては大きな問題なのよ。太ってきたなくなると、婚約候補の貴族の方々から嫌われてしまうの。だから……お父様の言いつけを守る必要があったの」

「本当かな?」

僕は疑問を抱いた。

「そんなことはないと思うけどな……。そうだとしたら、おかしいよ。好きなことをとことんすればいいじゃないか。お菓子が食べたければ、存分に食べればいいんだよ」

「まあ、そうすると、私はものすごく太ることになるわよ?」

「関係ないさ。他の男がなんと言おうと、僕には関係ないね。君みたいな女の子に出会ったことがないから。きっと、君がどんな格好になっても、僕は君のことを好きでいられると思うな……」

リリーは、機嫌よく笑った。

「ならば、本当に私のことを好きになってくれるの?」

リリーは、僕の話が全部冗談だと思ったはずだ。でも僕は、本気でリリーのことが好きになった。

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