初恋は傷物令嬢

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その2

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リリーはどうやら、普通の子供のようにお菓子を欲しがっているようだった。普通の子供のように遊べる環境を欲しがっていた。普通の子供のように友達を欲しがっていた。

「リリーと言うんだね?ああ、何か食べたいものはあるかな?僕が持ってきてあげよう」

僕は、リリーの要望を叶えてあげたいと思った。

「チョコレート、私は大きなチョコレートが欲しいの……」

何かいけない事でもあるのだろうか。子供がチョコレーを食べたいと言うのに、何か問題があろうか。僕は急いで家に帰り、チョコレートを探した。

「ハルク……そんなに急いで、いったいどうしたというんだ?」

朝の仕事を終えてちょうど休憩していた父に見つかった。この時、僕は大いに迷った。そっくりそのまま、真実を伝えても良いのだろうか。僕の父は人一倍優しい。だから、リリーと名乗る家なき少女の話をしたら、

「今すぐ家に連れて来なさい」

と、言ってくれる気がした。そうしたら、将来僕はリリーと結婚することができそうな気がした。

そう考えると、僕は嬉しくて嬉しくてたまらなかった。父は、早く答えを知りたがっている。僕は全てを打ち明けることにした。

「実は、アッシュ家の令嬢リリーが今朝、父親に捨てられるところを偶然目撃してしまいました。これ以上、アッシュ家に留まることのできないリリーを、何とかして助けたいと思うんです。父さん、何かいい方法ないでしょうか?ああ、とりあえずチョコレートが欲しいと言っていたので、届けることにします」

すると、父は、

「それは本当の話なのかい?」

と質問した。

「間違いありません」

僕はそう答えた。

「そうか……それは大変だなあっ……」

僕は父が迷っている間に、台所に忍び込み、チョコレートを見つけることができた。

「とりあえず行ってきます!」

僕は勢いよく駆け出した。この時、僕には全く別の考えがぽっかりと浮かんだ。それは、父がうっすらと心配したように、これは全くの嘘で、僕のことをからかうために、リリーと名乗る少女の仕組んだイタズラであるということ。そう思うと、今度は怖くなった。日差しが強く、手に持っていたチョコレートが溶け始めた。

立ち往生していても仕方がない。僕はとりあえず、リリーを見つけたところまで走った。



全てが取り越し苦労だった。リリーはまだ泣いていた。一つの大きなチョコレートを望んで。友達を望んで。

「待たせちゃってごめんね。チョコレート、持ってきたよ」

僕は半分溶けてしまって不恰好になったチョコレートを、リリーに手渡した。すると、リリーは泣きじゃくる顔を少し上げて、僕のほうをじっと見た。

「私のために持ってきてくれたの?」

「そうだよ」

こう答えると、リリーはもう少し晴れやかになって、小さな声で、

「ありがとう」

と答えた。
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