アポクリファの黄昏

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第一章

夜の情景 その1

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 西洋人は再び眠り始めた。まるで、夜更けを知らない純粋無垢な子供のようにいい寝つきだった。私は結局浜辺で一日を過ごした。これほど長くステイしたのは、いつぞやの夏以来であっただろうか。暇人は暇人なりに忙しい。浜辺に身を横たえると、すぐさま、次に何をするのか、と考えをめぐらせる。大抵は、食う、寝る、父の癇癪の後処理、このどれかである。毎日毎日繰り返される日常。考えなくても、時間が経つのを待てばいい。答えは自然にやってくる。それでも……?

 確かに、何を考えているのだろう?無意識って案外興味深い。あっ……また何か考えた。たぶん西洋人のことを考えている。名前は確か……フィッシャーで身分はアメリカ空軍中佐。シャーロットという恋人を故郷に残しお国のために戦っている。人気のない地に降り立ったから助かったわけだ。東京のど真ん中に落ちようものなら、空中で灰になっているだろう。いずれにしても見つかるのは時間の問題だろうけど……。

「おや、すっかり夜ですか……」
 彼はどうやら一眠りすると復活するらしい。軍人の割には案外気楽なものだ。
「日本の夜はこれで二日目ですが……なかなか星がきれいだ。アメリカで見る空とは比較にならないほど」
「そうですか?」
「ええ、アメリカの空は戦闘機で覆い尽くされている。敵、見方、それぞれの軍団がひしめき合っていますね。私も幾度となく戦いました」

 その結果、多くの人が死んだ。軍人だから仕方がない。別に好きでやっているわけではないんだ。
「一日の終わりには星たちの舞踏会。過去からやってきた先輩と未来に向けて出発する後輩たちが語り合う。そんな場所にいつか私も行けるのかな?」
 彼は言った。
 

 
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