聖女様を事故死させてしまったので、即刻悪役令嬢認定されて、婚約破棄されました

その25

ツァイスが拘束されたことを察知したエリーナ監視軍団は、少数ではあったが、ツァイスを捜索し、その居場所を突き止めることができた。人気のない絹織物倉庫の密閉した空気の中、息絶え絶えに傷つけられたツァイスはひたすらに助けを求めていた。

「私をだれだと思っているんだ？こんなことをして許されると思うなよ！」

口だけは永遠に立派だった。さすがは王子様。ただし、その姿はみすぼらしかった。

「あなた様を助けてくれる人間がやってきましたよ……。しかしながら、彼らもまた死ぬ運命にありますね……」

「ツァイス様！お助けに参りましたぞ！」

勇ましい救済者が駆けつけてきて、ツァイスは一安心したはずだ。


「しかしながら、彼らもまた偽善者だ。偽善者を救済する人間もまた偽善者なり……」