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その26

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「ねえ、考えてもみれば私の人生は随分おかしかったわね」

エリーナはグラハムに話し始めた。

「お嬢様のせいではありません」

「そうなの?それだったらやっぱり神様が悪いのかしら?ほら、火事よ!あっちの山が燃え始めてる……」

煙が街に広がり始めた。誰かが放火でもしたのだろうか?このままだと、王宮まで火の渦に飲み込まれてしまう……エリーナはそんなことを考えていた。

「そんなことになったら、ツァイス様も燃えてしまうでしょう」

「みんな、いなくなってしまうのね……」


エリーナを見つけたツァイスの監視団は、エリーナの拘束を試みたが、それを全力でグラハムが阻止した。


「あなたまでいなくなってしまうの……。私を一人ぼっちにしないでよ……」

エリーナは一人静かに嘆いていた。
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