姉の婚約者は私と姉の区別がつかないようです～婚約破棄する相手が違うようです？？？

その19

お姉さまは、王子様の1件に関しまして、全て包み隠さず、皇帝陛下に申し上げたわけでございました。それを聞いた皇帝陛下は、深く考え事をしたように、何度も何度も腕を組みました。

「それは非常に困った問題であるなあ……」

皇帝陛下はこのように言いました。私は何も心配しませんでした。皇帝陛下は本気で、この事態について考えているようでございました。

「それが事実だとしたら、これ以上彼に王子を続けさせる事はできないだろうねぇ……」

皇帝陛下はこのように言いました。

皇帝陛下は、私たちの気持ちについて全て汲み取ってくださったようでございました。ですから、私たちは非常に安心したわけでございます。

「とりあえず、このことについて聞いてみるとしようか……？？？」

皇帝陛下は、王子様を呼ぶように命令しました。

しかしながら、この場において、王子様を呼ぶと言うことができないわけでございました。それはどうしてか。

お姉さまが、王子様をひどく傷つけてしまったからでございます。殺したわけではございませんが、非常に重い傷を負ってしまったはずです。お姉様が本気を出すと、実際は人を殺すことだってできるわけでございますが、今回に関しましては、お姉さまは手加減したわけでございます。このまま殺してしまっては、文字通り、単なる復讐と言うことになってしまいます。ですから、単なる復讐を防ぐために、そして、皇帝陛下の意見を聞くために、わざわざ生かしておいたわけでございます。お姉様にとっては、王子様なんて、非常に価値のない人間なのでございましょうが。これはこれで仕方がないのです。それが、お姉様のやり方なのでございますから。

「どうしたんだ、どうして王子はやってこないんだ？？？」

しかしながら、お姉さまは、この件に関して皇帝陛下に伝えようとはしませんでした。自分が罰せられることを恐れたのではございません。ただ単に、めんどくさかったからです。

「皇帝陛下、大変でございます！！！！！王子様が、ご乱心あそばされました！！！！！」

「ご乱心……だと？？？」

「そのとおりでございます！！！！！」

皇帝陛下に仕える兵士達がやってきて、そう言いました。ご乱心……いったいどうしたというのでしょうか？？？