堅物な王子に溺愛される方法が分からないのでそろそろあきらめます

その9

「クリス！クリス！目を覚ましてちょうだい！！！」

母の声が聞こえました。目を覚ますと、髪の毛がぐしゃぐしゃになっていて、血が出ていました。

「わたし……あれは夢だったのかしら？」

「クリス！！！」

母は再び泣いてしまいました。無惨な娘の姿を見たら、確かに泣きたくもなるでしょう。私は自分の行いで母を傷つけたことを恨みました。

「お母様……泣かないでください。変な夢を見てしまいましたから……」

「その夢は、ハル様なのでしょう？クリス……もういいのよ、あなたが背負い込む問題じゃないわ。私がなんとかするから。もうこれ以上苦しまないで！」

母が何か行動を起こすと、世界は変わるのだろうか、そんな期待なんて早くに捨てるべきでした。ハル様の逆鱗に触れて、牢屋に閉じ込められたという知らせを受け取りました。

はい、この世界もここまでです。もう一度やり直さないと……。