我こそは魔王の娘なり!~婚約破棄からの倍返し!!!~

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その1

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華やかななパーティーでの一場面だった。突如、ものすごい形相で登壇した第一王子のアレックスが、婚約破棄について語り出した。

「第一王子アレックスが命じる!!!私の婚約者として選出された公爵令嬢のマリアに関して、数々の不届きが明らかになったため、婚約を破棄することを、ここに宣言する!!!そして、私の新しい婚約者として、こちらにいる、公爵令嬢のイングリットを選出することとする!!!」

突然の発表になって、会場に居合わせた人々は驚くことになった。そして、アレックスの厳しい目線は、婚約破棄されたばかりの公爵令嬢マリアに向けられることになった。そして、新しい婚約者となった、公爵令嬢のイングリットには、時折微笑みかけた。

「ありがとうございます。そのお言葉、しかと承りましてございます」

イングリットもニコニコ。そして、マリアは困惑した素振りを見せた。

「つまり……私はあなた様の婚約相手として不適当であると……その理由を御聞かせ願いましょうか???」

「とぼけるつもりか???実を言うと、私は秘密裏に、君のことを色々調査させてもらったのだよ。素行から家族に至るまで、ものすごく細かく調査をした。王家の婚約者を選ぶのだから、ことは非常に重要なのだ。そのあたりは、分かってくれるね?事後承諾になってしまってすまないとは思っているが……まあ、それよりも、結果として問題が出て来たのだから、君もこれ以上の文句は言えないだろうな???」

マリアは、大方の予想ができていた。生まれながらにして公爵令嬢であるイングリットが、自分のことを妬むのも想像がついた。だから、それを実行しただけのことだったのだ。正直に言って、あまりいい噂はない。確かに美少女なのだが、それを利用して、貴族とのラブロマンスをとっかえひっかえで楽しんでいるという噂があるくらいなのだ。だから、本来ならば、そんなイングリットが、第一王子アレックスと婚約する、というのが、筋書きてきにはおかしいわけなのだ。最も、マリアのことを調査するくらいならば、イングリットのことについても、調査するのは簡単だったはずだ。そして、その驚愕の事実に恐らくぶち当たったはずなのに、彼は無視している。どうして?それは端的に、アレックスが救いようのないほど、イングリットという少女に惚れ込んだ結果なのだ。

「君は学校での成績が非常に不調だったにも関わらず、他の令嬢と同じように進級し、卒業している。これはおかしくはないかな???」

アレックスは、マリアのことを糾弾し始めた。マリアの成績は非常に優秀で、学年一の才女と言われるくらいだったので、この話は、紛れもなくウソだった。

「そして……それ以上に見過ごせないのは、君の交友歴だ。随分と派手に遊んでいるようだね?君のお腹には、もう既に、どこか知らない貴族の赤子を宿しているのだとか???」

ここまで言われると、マリアは思わず吹き出してしまった。まさか、そんなことはあり得ないのだ。マリアはれっきとした処女であり、男と交わったことなどなかったのだ。それを言うなら、むしろ、イングリットの方が怪しいのでは、と思わずにはいられなかった。

「そして、私との婚約が決まると、この重要な事態が明るみになることを恐れて、君は……ああ、口にするのも忌々しいが、人工的に流産させたのだ!!!」

宗教、法律、その全てをもってしても、堕胎は最大のタブーだった。それを犯したとならば、貴族追放は免れることができなかった。マリアは心の中で、それも全てイングリットの罪状だと叫んだ。

マリアは思った。

まあ、いくらこれ以上何か言ったとしても、聞いてくれないのだから、仕方がない。その代わり、婚約破棄について、そして、自分のプライドを傷つけられたことについては、しっかりと償ってもらわないと……。もちろん、アレックスと、イングリットに……。


マリアの心の中には、既に復讐の火がメラメラと燃えたぎっていた。

 




 



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