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月の光
10_終演
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タイムベルの出来事があってから、三年の月日が流れたーー。
ジーナのことを、三年が経った今でも、時々、不意に思い出される。今でも、彼女が死んだ実感がなかった。突然、また、目の前に、姿を表してくれるのではないかと、思うことがあった。
時の経過とともに、彼女を失った心の傷は次第に、ふさがってきていた。それが、良いことなのか分からない。心の傷を通じて、彼女を感じられるところがあった。心の傷をふさがってしまうことは、どこか悲しく切ない気持ちにさせられた。
「鬼山、そろそろお前の出番だな。頑張れよ」
アルバートは、僕の肩に片手を置き、力強い口調で鼓舞した。彼は、なんとか半獣のみんなに仲間に入れてもらえた。狼男アウルフは、快く思っていなかったが、僕が頭を下げて、お願いしたら、舌打ちをして、仲間入りを認めてくれた。ライオン男ライアンも、彼から、邪気が消えていることを感じ取ったらしく、拒絶はしなかった。
僕は、舞台袖から、観客で埋め尽くされたコンサートホールを眺めた。
「うん、行ってくるよ」
今日は、演奏会の舞台の上で、初めてピアノを弾くことになっている。三年が経って、ようやく、ピアノの腕を半獣のみんなに認められ、演奏会でピアノを弾くことになった。
今日も、コンサートホールは、隅から隅まで、人で埋め尽くされていた。まさに、半獣のみんなの奏でる美しい旋律が、多くの人たちの心を打った結果だろう。その分、ここに来る人たちは、演奏に大きな期待を寄せている。期待を裏切らないようにしなければならない。
(こんなに、たくさんの人たちが見に来てる。やばい、緊張してきた......)
僕は、緊張して、手が震えていた。今まで、恐ろしい出来事が起こって身を震わせて来たけれど、その時とは、ひと味違った緊張感があった。
(うまくピアノを弾くことはできるだろうか)
緊張している僕の様子を見て、近くにいた蛇女ムグリが、心配して話しかけてくれた。
「期待に応えようなんて、思わなくてもいいわ。あなたの音楽を奏でればいい。今までの思いを、音楽にのせて、奏でるの。そうして奏でられた音楽は、あなただけの音楽になって会場の人たちの心を揺さぶることができるはずよ」
以前にも、ムグリに同じようなことを言われた。自分の心を音にのせる。ただ、それだけでいいのだ。期待に応えようと思えば、思うほど、自分の音楽ではなくなっていく。自由でいいのだ。ありのままを旋律にのせて、自分の音楽を奏でよう。
「ありがとうございます!自分の音楽を奏でてきます」
僕は、深呼吸をして気持ちを落ち着かせた。自分の顔を見られないように仮面をつけて、舞台の上のピアノまでゆっくりと歩く。ピアノの椅子に座ると、観客の視線が一斉に僕に注がれた。
「なんで、あの人、仮面つけてるんだ」
どこからか、僕の奇妙な姿を見て、呟く人の声がした。ピアノの奏者が仮面をつけて登場するなんて確かに、聞いたことがなかった。僕が、聞く側ならば、同じ感想を抱いていたことだろう。
緊張で、心臓が押し潰されて今にも破裂しそうだ。だけど、こんな緊張なんて今まで半獣になって味わされてきた苦しみに比べたら、ほんのちっぽけなものだった。
(大丈夫、僕ならできる)
僕は、人々に音楽を聞いてもらうために、音楽を奏でるのではない。僕は、僕の音楽を奏でたいから、音楽を奏でるのだ。それが、たまたま、人々の心を打つものであったなら、嬉しい。
コンサートホールが暗くなり、ピアノの椅子に座る僕にライトの明かりがあたる。
僕は、ピアノの鍵盤に指をそっと置いた。鍵盤に指を置くと、不思議なことに今までの緊張がすっと消えた。
ーーそして、気づいた時には、ピアノの鍵盤に指を走らせて、音楽を奏でていた。
途端に、僕の音楽がコンサートホール中を駆け抜ける。軽妙なピアノの旋律は、人々の心を鷲づかみにした。観客は、はっと、顔を上げ、ピアノを奏でる僕の方に視線を向ける。
ピアノの旋律を奏でる最中、頭の中で今までの出来事が駆け巡った。その多くが、苦しみと困難に満ちていたけれど、僕は、こうして生きている。半獣になっても、音楽を通して、人間と関わりを持つことができている。それが何よりも心の支えになって、生きようと思えるのだ。
人は、人の関わりの中で生きている。半獣になった今でも、心は人間だから、それは変わらない。人外の存在になって、多くの人の支えがあり、ごく当たり前の日常が成り立っていたのだと気づかされた。
僕は人生の岐路に立たされ、半獣として生きるか、人間として生きるか悩んだ。結局、僕は、半獣となった今でも、人間と関わりのなかで生きる道を選択した。それが正しい選択肢なのかは、今でも分からない。
ただ、きっと、これからもこうして自分の音楽を奏でながら生きていく。この限りのある命がつきるまでーー。
コンサートホールに溢れんばかりの拍手が響き渡った。観客は、立ち上り、満足そうな笑顔でこちらを見つめている。その様子を見て、自分の鍵盤を弾く指が止まっていることに気づいた。
僕は、ピアノの曲を奏できっていたのだ。
ピアノの椅子から立ち上り、目の前で歓喜する人々を向かってお辞儀をした。
この世界の片隅で、自分の音楽が多くの人々の心を突き動かした、この瞬間を一生、忘れないだろう。
演奏会の終演を告げるブザーが鳴り響いた。上から、垂れ幕が、徐々に下がっていく。ふと、見覚えのある観客の姿を見て、仮面の内側で僕は微笑んだ。
(君も、僕の音楽を聞きに来てくれていたんだね、ジーナ)
観客席の前に、立って拍手をしていたのは、命を落としたはずのジーナの姿だった。彼女は、満足げな笑みを浮かべて涙を流していた。
命を落としてもなお、彼女は、僕の音楽を聞きに来てくれたのだと理解した。彼女と出会ったこの場所で、再び、出会うことができた喜びで自ずと、涙が頬を伝った。
だけど、その喜びは、一瞬で幻想へと変わる。
舞台の垂れ幕が下がり、彼女の顔が見えなくなる直前、僕は確かに見た。
ーー彼女の口元が、不気味な笑みを浮かべているのを。
(涙を流していたのは、バエナ、君だったんだね)
バエナの存在が、命を失ったジーナがもう戻っては来ないのだという残酷な現実を鮮明にする。
それでも......。
どうしようもない過去とろくでもない現実を抱えて、僕は生きていく。
大丈夫さ。
僕には、どんな困難でも乗り越え、支え合うことができる仲間ができたから。
舞台裏で、待っている仲間たちのもとへ、僕は、まっすぐ生き続ける決意を胸に歩いていった。
(Fine)
ジーナのことを、三年が経った今でも、時々、不意に思い出される。今でも、彼女が死んだ実感がなかった。突然、また、目の前に、姿を表してくれるのではないかと、思うことがあった。
時の経過とともに、彼女を失った心の傷は次第に、ふさがってきていた。それが、良いことなのか分からない。心の傷を通じて、彼女を感じられるところがあった。心の傷をふさがってしまうことは、どこか悲しく切ない気持ちにさせられた。
「鬼山、そろそろお前の出番だな。頑張れよ」
アルバートは、僕の肩に片手を置き、力強い口調で鼓舞した。彼は、なんとか半獣のみんなに仲間に入れてもらえた。狼男アウルフは、快く思っていなかったが、僕が頭を下げて、お願いしたら、舌打ちをして、仲間入りを認めてくれた。ライオン男ライアンも、彼から、邪気が消えていることを感じ取ったらしく、拒絶はしなかった。
僕は、舞台袖から、観客で埋め尽くされたコンサートホールを眺めた。
「うん、行ってくるよ」
今日は、演奏会の舞台の上で、初めてピアノを弾くことになっている。三年が経って、ようやく、ピアノの腕を半獣のみんなに認められ、演奏会でピアノを弾くことになった。
今日も、コンサートホールは、隅から隅まで、人で埋め尽くされていた。まさに、半獣のみんなの奏でる美しい旋律が、多くの人たちの心を打った結果だろう。その分、ここに来る人たちは、演奏に大きな期待を寄せている。期待を裏切らないようにしなければならない。
(こんなに、たくさんの人たちが見に来てる。やばい、緊張してきた......)
僕は、緊張して、手が震えていた。今まで、恐ろしい出来事が起こって身を震わせて来たけれど、その時とは、ひと味違った緊張感があった。
(うまくピアノを弾くことはできるだろうか)
緊張している僕の様子を見て、近くにいた蛇女ムグリが、心配して話しかけてくれた。
「期待に応えようなんて、思わなくてもいいわ。あなたの音楽を奏でればいい。今までの思いを、音楽にのせて、奏でるの。そうして奏でられた音楽は、あなただけの音楽になって会場の人たちの心を揺さぶることができるはずよ」
以前にも、ムグリに同じようなことを言われた。自分の心を音にのせる。ただ、それだけでいいのだ。期待に応えようと思えば、思うほど、自分の音楽ではなくなっていく。自由でいいのだ。ありのままを旋律にのせて、自分の音楽を奏でよう。
「ありがとうございます!自分の音楽を奏でてきます」
僕は、深呼吸をして気持ちを落ち着かせた。自分の顔を見られないように仮面をつけて、舞台の上のピアノまでゆっくりと歩く。ピアノの椅子に座ると、観客の視線が一斉に僕に注がれた。
「なんで、あの人、仮面つけてるんだ」
どこからか、僕の奇妙な姿を見て、呟く人の声がした。ピアノの奏者が仮面をつけて登場するなんて確かに、聞いたことがなかった。僕が、聞く側ならば、同じ感想を抱いていたことだろう。
緊張で、心臓が押し潰されて今にも破裂しそうだ。だけど、こんな緊張なんて今まで半獣になって味わされてきた苦しみに比べたら、ほんのちっぽけなものだった。
(大丈夫、僕ならできる)
僕は、人々に音楽を聞いてもらうために、音楽を奏でるのではない。僕は、僕の音楽を奏でたいから、音楽を奏でるのだ。それが、たまたま、人々の心を打つものであったなら、嬉しい。
コンサートホールが暗くなり、ピアノの椅子に座る僕にライトの明かりがあたる。
僕は、ピアノの鍵盤に指をそっと置いた。鍵盤に指を置くと、不思議なことに今までの緊張がすっと消えた。
ーーそして、気づいた時には、ピアノの鍵盤に指を走らせて、音楽を奏でていた。
途端に、僕の音楽がコンサートホール中を駆け抜ける。軽妙なピアノの旋律は、人々の心を鷲づかみにした。観客は、はっと、顔を上げ、ピアノを奏でる僕の方に視線を向ける。
ピアノの旋律を奏でる最中、頭の中で今までの出来事が駆け巡った。その多くが、苦しみと困難に満ちていたけれど、僕は、こうして生きている。半獣になっても、音楽を通して、人間と関わりを持つことができている。それが何よりも心の支えになって、生きようと思えるのだ。
人は、人の関わりの中で生きている。半獣になった今でも、心は人間だから、それは変わらない。人外の存在になって、多くの人の支えがあり、ごく当たり前の日常が成り立っていたのだと気づかされた。
僕は人生の岐路に立たされ、半獣として生きるか、人間として生きるか悩んだ。結局、僕は、半獣となった今でも、人間と関わりのなかで生きる道を選択した。それが正しい選択肢なのかは、今でも分からない。
ただ、きっと、これからもこうして自分の音楽を奏でながら生きていく。この限りのある命がつきるまでーー。
コンサートホールに溢れんばかりの拍手が響き渡った。観客は、立ち上り、満足そうな笑顔でこちらを見つめている。その様子を見て、自分の鍵盤を弾く指が止まっていることに気づいた。
僕は、ピアノの曲を奏できっていたのだ。
ピアノの椅子から立ち上り、目の前で歓喜する人々を向かってお辞儀をした。
この世界の片隅で、自分の音楽が多くの人々の心を突き動かした、この瞬間を一生、忘れないだろう。
演奏会の終演を告げるブザーが鳴り響いた。上から、垂れ幕が、徐々に下がっていく。ふと、見覚えのある観客の姿を見て、仮面の内側で僕は微笑んだ。
(君も、僕の音楽を聞きに来てくれていたんだね、ジーナ)
観客席の前に、立って拍手をしていたのは、命を落としたはずのジーナの姿だった。彼女は、満足げな笑みを浮かべて涙を流していた。
命を落としてもなお、彼女は、僕の音楽を聞きに来てくれたのだと理解した。彼女と出会ったこの場所で、再び、出会うことができた喜びで自ずと、涙が頬を伝った。
だけど、その喜びは、一瞬で幻想へと変わる。
舞台の垂れ幕が下がり、彼女の顔が見えなくなる直前、僕は確かに見た。
ーー彼女の口元が、不気味な笑みを浮かべているのを。
(涙を流していたのは、バエナ、君だったんだね)
バエナの存在が、命を失ったジーナがもう戻っては来ないのだという残酷な現実を鮮明にする。
それでも......。
どうしようもない過去とろくでもない現実を抱えて、僕は生きていく。
大丈夫さ。
僕には、どんな困難でも乗り越え、支え合うことができる仲間ができたから。
舞台裏で、待っている仲間たちのもとへ、僕は、まっすぐ生き続ける決意を胸に歩いていった。
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