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第四章
拒否
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「ところでねケイト。質問していいかしら?」
「何かしら?」
「そうやって悪戯を貴方が持ち出してくる時ってね。大抵が何か待ち遠しい物を迎えるまでも間の、退屈しのぎじゃない?」
「そんな覚えはないけど。それがどうかしたの?」
だからー、とアイリスはいい加減、この喪服みたいなドレス脱いでもいいのかなとぼやきながらケイトをじっと見つめてやる。
すいっと瞬間、左上に視線をそらして戻って来るその仕草は、この悪友が何か秘密を抱えている時にする仕草だ。
亜麻色の髪が陽光に透かされてたまに赤銅色に見えるそれをいいなあ、と思いながらアイリスはこれもそう、と先ほど二人で角を斬ってやった皿を持ち出した。
「水の魔法だなんて言いながら、貴方の得意なのは氷の魔法でしょ?」
「氷は好きよ? 水みたいに静かな様で荒くなく、音のように心に語り掛けてくるもの。水は――混じり物が多いわ」
「そうそう。ケイトはそんな感じがいつもらしくていいわね」
「何か含んだ言い方をするのね、アイリスは? 神様の裏事情探し、気に入らないの?」
「うーん、そうねえ。気に入らないというより、興味がない、かな?」
「どうして?」
「だって、サティナ様はここに――ああ、いまは居ないけど、私達と共にいるでしょう? 現実に触れれて会話もできる、つまらない喧嘩もできるじゃない? あちらはあちら。こちらはこちらで境界線があると思うのよ。うまく言えないけど、踏み込んでいいのはその資格がある人たちだけだと思うの」
「資格って……?」
ケイトに取られないようにと端によけていたタルトをフォークで切り分けて、アイリスはそれを口に含むと多分こう、と表現して見せる。
「それは多分、聖女様とか勇者様とか。選ばれた存在だけじゃないかなって。あ、大神官様もいたわね。王族とか、とりあえず、世界の何かを代理できる存在よ。でも私はそうじゃない」
「貴方ねえ、サティナ様に認められて、聖女様の代わりに会話までしておきながら……それを言うの?」
「だって、私は単なる依り代というか。サティナ様がこちらに来るための、単なる鍵? 扉を開けるための。そんなものでしょう?」
「それは分からないけど、そうかもね?」
「なら、これ以上の分不相応な行動はしたくないわ。ケイトがさっきやった、カップの中の紅茶を水の刃に変えて、お皿を切断したのは見せかけで、本当はお皿に含まれていた水分を膨張させ、回転させ、加熱したり凍結させたりして……つながりを失わせたんでしょ? お皿の破片と破片のくっついていたその力を失わせた」
「よく見てるわねー貴方」
「まあ、これでも炎の女神の司祭ですから。魔法には詳しいので」
「それで、何が言いたいの?」
「オンセド男爵様に、ヴィクターに連絡を取ったんでしょ? それで、私からの連絡が行ったことも知った。面白くないから、嫌味としてさっきのパフォーマンス。本心は――神々は一つの結論に見せかけて、幾筋のも方法でこれからも干渉してくる。もしくは、いまここにいる理由は、シナリオは一つじゃなかったと、言いたいはず」
「悪くないかな、ヴィクターにはもうすぐ会えるし、それでね」
「うん、知ってる。帝国に行くんでしょ? ついでに、私にも来いって誘ってる。サティナ様はおいておいて、もうこのめんどくさい関係から手を切れと言いたい、かな?」
「分かっているなら、そう言えばいいのに。どう?」
アイリスは考えるふりをして、でも、もったいないと首を振る。
生きている女神なんて、滅多にお目にかかれない。
このチャンスを放り出すなんて、もったいない。
そう言いたいようだった。
「何かしら?」
「そうやって悪戯を貴方が持ち出してくる時ってね。大抵が何か待ち遠しい物を迎えるまでも間の、退屈しのぎじゃない?」
「そんな覚えはないけど。それがどうかしたの?」
だからー、とアイリスはいい加減、この喪服みたいなドレス脱いでもいいのかなとぼやきながらケイトをじっと見つめてやる。
すいっと瞬間、左上に視線をそらして戻って来るその仕草は、この悪友が何か秘密を抱えている時にする仕草だ。
亜麻色の髪が陽光に透かされてたまに赤銅色に見えるそれをいいなあ、と思いながらアイリスはこれもそう、と先ほど二人で角を斬ってやった皿を持ち出した。
「水の魔法だなんて言いながら、貴方の得意なのは氷の魔法でしょ?」
「氷は好きよ? 水みたいに静かな様で荒くなく、音のように心に語り掛けてくるもの。水は――混じり物が多いわ」
「そうそう。ケイトはそんな感じがいつもらしくていいわね」
「何か含んだ言い方をするのね、アイリスは? 神様の裏事情探し、気に入らないの?」
「うーん、そうねえ。気に入らないというより、興味がない、かな?」
「どうして?」
「だって、サティナ様はここに――ああ、いまは居ないけど、私達と共にいるでしょう? 現実に触れれて会話もできる、つまらない喧嘩もできるじゃない? あちらはあちら。こちらはこちらで境界線があると思うのよ。うまく言えないけど、踏み込んでいいのはその資格がある人たちだけだと思うの」
「資格って……?」
ケイトに取られないようにと端によけていたタルトをフォークで切り分けて、アイリスはそれを口に含むと多分こう、と表現して見せる。
「それは多分、聖女様とか勇者様とか。選ばれた存在だけじゃないかなって。あ、大神官様もいたわね。王族とか、とりあえず、世界の何かを代理できる存在よ。でも私はそうじゃない」
「貴方ねえ、サティナ様に認められて、聖女様の代わりに会話までしておきながら……それを言うの?」
「だって、私は単なる依り代というか。サティナ様がこちらに来るための、単なる鍵? 扉を開けるための。そんなものでしょう?」
「それは分からないけど、そうかもね?」
「なら、これ以上の分不相応な行動はしたくないわ。ケイトがさっきやった、カップの中の紅茶を水の刃に変えて、お皿を切断したのは見せかけで、本当はお皿に含まれていた水分を膨張させ、回転させ、加熱したり凍結させたりして……つながりを失わせたんでしょ? お皿の破片と破片のくっついていたその力を失わせた」
「よく見てるわねー貴方」
「まあ、これでも炎の女神の司祭ですから。魔法には詳しいので」
「それで、何が言いたいの?」
「オンセド男爵様に、ヴィクターに連絡を取ったんでしょ? それで、私からの連絡が行ったことも知った。面白くないから、嫌味としてさっきのパフォーマンス。本心は――神々は一つの結論に見せかけて、幾筋のも方法でこれからも干渉してくる。もしくは、いまここにいる理由は、シナリオは一つじゃなかったと、言いたいはず」
「悪くないかな、ヴィクターにはもうすぐ会えるし、それでね」
「うん、知ってる。帝国に行くんでしょ? ついでに、私にも来いって誘ってる。サティナ様はおいておいて、もうこのめんどくさい関係から手を切れと言いたい、かな?」
「分かっているなら、そう言えばいいのに。どう?」
アイリスは考えるふりをして、でも、もったいないと首を振る。
生きている女神なんて、滅多にお目にかかれない。
このチャンスを放り出すなんて、もったいない。
そう言いたいようだった。
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