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第六章 やり直し
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「……とまあ、そういう訳だ」
「ああ、それで。顔の半分が腫れている‥‥‥」
結婚すると告げればよかったのに、と牧那に図書室で言われ、抱介はブスッとした顔になってしまう。
誰のためにしたと思っているんだよ、と伝えたらある意味、自業自得でしょう? と返されてぐぬぬっと反論できない自分自身に怒りを覚えた。
「三日ぶりに顔を会わしたらすごいことになっていますし。びっくりしました」
と、数日ぶりに会った彼女は驚いていた。
自主学習の許可を得ていつもの場所にいる牧那に仔細を告げたら、目をまん丸にして「へえー」と感心することしきり。
「やっぱり結婚するという根性はなかったわけですかー」
「お前な! それはまた別の話だろうが」
「そういうとこ、ちゃんとしてくれないと困ります」
と、今度は感心しないように牧那は言った。
「お姉ちゃんをNTRする話も、どうなるんだか」
それを言われたらむうっと唸ってしまう。
「勝ったような、勝ってないような。そんな状況じゃないですか」
「いや待て待て。それはないだろう。俺は‥‥‥」
乃蒼には負けてない。決して負けてない。親父の拳には負けたけれど‥‥‥。
喧嘩で勝っても、確かに、寝取ってはいない。
正式に奪い取ったと断言したいができないところにもどかしさを感じて、抱介は話題を変えることにした。
「前田、辞めるらしい」
「みたいですね。季美が言っていました」
「連絡あったのかよ‥‥‥俺は何のためにこうなったと?」
まだ繋がっているのかと思い、自分の怪我はなんのための犠牲になったのかと後悔しかけていたら、彼女はいえいえ、と首を横に振った。
「無いですよ、連絡。多分、ないと思います。ここ数日はずっと一緒だったし。牧も休みたかったけれど、自宅謹慎のお姉ちゃんとは違うのでー」
「じゃあ、なんでわかったんだ?」
「そこはほら、相手だって謝罪に行くでしょう? 例えば、先輩の家に行ったように」
「ああ、そういうこと。でもお前の家って」
仲が悪くてもうどうしようもない。
そう牧那が嘆くのを聞いてから、まだ一週間も経過していない。
「呼び出すのが大変でした。会社の用事で県外にいるとかで、あれの二日後だったかな」
やってきて、同じように謝罪したのは、と牧那は言う。
「……まさか」
「まさか? ああ、そうですね。責任取るみたいなことを、乃蒼は言っていましたけれど。でも季美はパパの背中に逃げていました。で、終わり」
「あいつ、言ったのかよ」
「言いましたよ。その時点では先輩は負けていましたね。でも言わない方が良かったかも」
「なんでだよ」
知らない方がいいこともありますよーと牧那は言いながら、文庫本を開いた。
足をぶらぶらさせ、下を俯きながらしばらくすると、「結婚するって単語。いまの季美もそうだし、パパもママもそうとう、ショックみたいでしたから」
と、能天気に言葉尻を伸ばしてのんびりと言うと、牧那は天井を仰ぎ見た。
「どうして」
「ん?」
「どうして、季美は無理やり従わされたのに、悪いって罰を受けなきゃいけないんですかね。うちはそこが不満です」
四肢をだらーんと伸ばして、うーん、と伸びをしてから、抱介に顔を向けた。
「悪いのはお姉ちゃんなんでしょうか?」
「さあな。学校側は穏便に済ませたいんだろ、多分。俺にはおとがめなしだし、な。できるならもう来ないでくれって感じで睨まれたよ、教頭先生に」
泣き言を言うようにそう言うと、牧那は意外そうな顔をしてみせた。
抱介が弱音を吐くのが新鮮だったのだろう。頬の腫れた痕が痛々しそうに見えたからかもしれない。父親の拳はとにかく痛かった。
同時に、乃蒼の拳とは違い、恐怖や絶望とはまた違う、見捨てられないなにかよくわからんものを感じた自分は、マゾなのかと思ってしまったほどだ。
「先輩はどうするんですか」
「なにが」
「これから。季美をあれするって条件はまだ達成してないようですけれど」
「……これで手を出したら、結婚、一直線だろうが」
「でも、お父様はそれを望まれていたのでは?」
「知るか。それよりお前だ、お前!」
「はえ?」
牧那はきょとんとした顔で、小首を傾げた。
こちらも小首を傾げ返す。
「お前、乃蒼を寝取るって最初に言っただろうが」
「……言いましたかね? そんな危険なことするわけない」
「言った。確かに言った。俺は脅された。ちゃんと覚えている。間違いなくお前は言った」
「じゃあ‥‥‥牧が乃蒼とできているって、言いたいのですか?」
「あほか」
このロジカルポンコツクソ小悪魔、と頬を引っ張ってやる。
自分の腫れた左側と同じほど腫れるくらいに引っ張ってやりたい心境だった。
「ひだひ、ひだし、痛ひっーッ」
「ああ、そうだろうな、痛いだろうな。そうだよ、お前が心配だったからそうしたんだよ、このダメ妹が」
「なふ、なんでええ?」
「俺を使って季美を動揺させてから乃蒼との仲をゆっくりと裂いていこうって魂胆が、最初から透けているって言っただろうが。今回は乃蒼の思惑が予想より早く動き出したから、お前の負けだった。それだけだろうが」
「うっ。そこまで分かっていて動いた先輩ってマゾ?」
「うるさいわ、このボケロジカルポンコツが!」
「ひだひ、ひだひ、ひだひーっ!」
ぐぬぬっとつねってやる。あまりにも浅はかなこの小悪魔にいい様にされた自分も情けないし、かつての女を思い出して心動かされた己に腹も立つ。
盛大に引っ張ってから放したら、ぽんっ、といい音がした。
うぐううううっと呻くそれを捨て置き、「今日は帰る」と抱介は席を立つ。
「へ? まだ午前中ですよ!」
「知っているよ。だから帰るんだ」
「だって、お母様がまだいらっしゃるんじゃあ‥‥‥?」
そう訊いていたから確認するように問うと、抱介は違うよ、と困ったように遠くを見てから言った。
「季美に用があるんだ」
「お姉ちゃんに? なんですか、牧っていう存在がありながら、浮気ですか!」
ばしばしっと机をたたく小悪魔にチョップをくれてやる。いつからお前の男になった。
「謝りに行くんだよ」
「……どこに」
「俺らが裏切った、あの先輩のとこ」
「あの、先輩‥‥‥?」
今一つ、よくわからんと牧那は唇を不満気に突き出した。
その後がどうやら気になるようだ。
季美がいいなら、否定はしませんけど。なんてぼやくのが聞こえて来る。
ばーか、ともう一度、軽く頬をつねってからさすってやった。
「お前らはこれから二年間、俺につき合うんだよ。ここで。それくらいの働きはしたつもりだぞ」
「え‥‥‥、あ。うん……はい」
どっちとも特別な関係になるつもりはにないぞ、と言ったら安心した顔になったので、とりあえず放置して、季美の家に向かうことにする。
今はまだ。まだ、これからは分からんけどな。
肉体的には寝取ってないが、心はもう手に掴んだ気もする。
その意味では、姉妹を手にした気がしないでもない、抱介だった。
「ああ、それで。顔の半分が腫れている‥‥‥」
結婚すると告げればよかったのに、と牧那に図書室で言われ、抱介はブスッとした顔になってしまう。
誰のためにしたと思っているんだよ、と伝えたらある意味、自業自得でしょう? と返されてぐぬぬっと反論できない自分自身に怒りを覚えた。
「三日ぶりに顔を会わしたらすごいことになっていますし。びっくりしました」
と、数日ぶりに会った彼女は驚いていた。
自主学習の許可を得ていつもの場所にいる牧那に仔細を告げたら、目をまん丸にして「へえー」と感心することしきり。
「やっぱり結婚するという根性はなかったわけですかー」
「お前な! それはまた別の話だろうが」
「そういうとこ、ちゃんとしてくれないと困ります」
と、今度は感心しないように牧那は言った。
「お姉ちゃんをNTRする話も、どうなるんだか」
それを言われたらむうっと唸ってしまう。
「勝ったような、勝ってないような。そんな状況じゃないですか」
「いや待て待て。それはないだろう。俺は‥‥‥」
乃蒼には負けてない。決して負けてない。親父の拳には負けたけれど‥‥‥。
喧嘩で勝っても、確かに、寝取ってはいない。
正式に奪い取ったと断言したいができないところにもどかしさを感じて、抱介は話題を変えることにした。
「前田、辞めるらしい」
「みたいですね。季美が言っていました」
「連絡あったのかよ‥‥‥俺は何のためにこうなったと?」
まだ繋がっているのかと思い、自分の怪我はなんのための犠牲になったのかと後悔しかけていたら、彼女はいえいえ、と首を横に振った。
「無いですよ、連絡。多分、ないと思います。ここ数日はずっと一緒だったし。牧も休みたかったけれど、自宅謹慎のお姉ちゃんとは違うのでー」
「じゃあ、なんでわかったんだ?」
「そこはほら、相手だって謝罪に行くでしょう? 例えば、先輩の家に行ったように」
「ああ、そういうこと。でもお前の家って」
仲が悪くてもうどうしようもない。
そう牧那が嘆くのを聞いてから、まだ一週間も経過していない。
「呼び出すのが大変でした。会社の用事で県外にいるとかで、あれの二日後だったかな」
やってきて、同じように謝罪したのは、と牧那は言う。
「……まさか」
「まさか? ああ、そうですね。責任取るみたいなことを、乃蒼は言っていましたけれど。でも季美はパパの背中に逃げていました。で、終わり」
「あいつ、言ったのかよ」
「言いましたよ。その時点では先輩は負けていましたね。でも言わない方が良かったかも」
「なんでだよ」
知らない方がいいこともありますよーと牧那は言いながら、文庫本を開いた。
足をぶらぶらさせ、下を俯きながらしばらくすると、「結婚するって単語。いまの季美もそうだし、パパもママもそうとう、ショックみたいでしたから」
と、能天気に言葉尻を伸ばしてのんびりと言うと、牧那は天井を仰ぎ見た。
「どうして」
「ん?」
「どうして、季美は無理やり従わされたのに、悪いって罰を受けなきゃいけないんですかね。うちはそこが不満です」
四肢をだらーんと伸ばして、うーん、と伸びをしてから、抱介に顔を向けた。
「悪いのはお姉ちゃんなんでしょうか?」
「さあな。学校側は穏便に済ませたいんだろ、多分。俺にはおとがめなしだし、な。できるならもう来ないでくれって感じで睨まれたよ、教頭先生に」
泣き言を言うようにそう言うと、牧那は意外そうな顔をしてみせた。
抱介が弱音を吐くのが新鮮だったのだろう。頬の腫れた痕が痛々しそうに見えたからかもしれない。父親の拳はとにかく痛かった。
同時に、乃蒼の拳とは違い、恐怖や絶望とはまた違う、見捨てられないなにかよくわからんものを感じた自分は、マゾなのかと思ってしまったほどだ。
「先輩はどうするんですか」
「なにが」
「これから。季美をあれするって条件はまだ達成してないようですけれど」
「……これで手を出したら、結婚、一直線だろうが」
「でも、お父様はそれを望まれていたのでは?」
「知るか。それよりお前だ、お前!」
「はえ?」
牧那はきょとんとした顔で、小首を傾げた。
こちらも小首を傾げ返す。
「お前、乃蒼を寝取るって最初に言っただろうが」
「……言いましたかね? そんな危険なことするわけない」
「言った。確かに言った。俺は脅された。ちゃんと覚えている。間違いなくお前は言った」
「じゃあ‥‥‥牧が乃蒼とできているって、言いたいのですか?」
「あほか」
このロジカルポンコツクソ小悪魔、と頬を引っ張ってやる。
自分の腫れた左側と同じほど腫れるくらいに引っ張ってやりたい心境だった。
「ひだひ、ひだし、痛ひっーッ」
「ああ、そうだろうな、痛いだろうな。そうだよ、お前が心配だったからそうしたんだよ、このダメ妹が」
「なふ、なんでええ?」
「俺を使って季美を動揺させてから乃蒼との仲をゆっくりと裂いていこうって魂胆が、最初から透けているって言っただろうが。今回は乃蒼の思惑が予想より早く動き出したから、お前の負けだった。それだけだろうが」
「うっ。そこまで分かっていて動いた先輩ってマゾ?」
「うるさいわ、このボケロジカルポンコツが!」
「ひだひ、ひだひ、ひだひーっ!」
ぐぬぬっとつねってやる。あまりにも浅はかなこの小悪魔にいい様にされた自分も情けないし、かつての女を思い出して心動かされた己に腹も立つ。
盛大に引っ張ってから放したら、ぽんっ、といい音がした。
うぐううううっと呻くそれを捨て置き、「今日は帰る」と抱介は席を立つ。
「へ? まだ午前中ですよ!」
「知っているよ。だから帰るんだ」
「だって、お母様がまだいらっしゃるんじゃあ‥‥‥?」
そう訊いていたから確認するように問うと、抱介は違うよ、と困ったように遠くを見てから言った。
「季美に用があるんだ」
「お姉ちゃんに? なんですか、牧っていう存在がありながら、浮気ですか!」
ばしばしっと机をたたく小悪魔にチョップをくれてやる。いつからお前の男になった。
「謝りに行くんだよ」
「……どこに」
「俺らが裏切った、あの先輩のとこ」
「あの、先輩‥‥‥?」
今一つ、よくわからんと牧那は唇を不満気に突き出した。
その後がどうやら気になるようだ。
季美がいいなら、否定はしませんけど。なんてぼやくのが聞こえて来る。
ばーか、ともう一度、軽く頬をつねってからさすってやった。
「お前らはこれから二年間、俺につき合うんだよ。ここで。それくらいの働きはしたつもりだぞ」
「え‥‥‥、あ。うん……はい」
どっちとも特別な関係になるつもりはにないぞ、と言ったら安心した顔になったので、とりあえず放置して、季美の家に向かうことにする。
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