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第四話 魔法剣と騎士の称号
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騎士団の紋章入りの黒く塗られたその箱馬車にはラルクと、彼にそそのかされた仲間たちが乗っているものだとばかり思っていたからだ。
もしそうなら、レイの安否だって危ういのかもしれない。
どうしようとぼやいたその時、馬車の扉を御者が開くと降りて来たのは我が家の侍女だった。
「国王陛下から頂いた魔法剣をこの身から手放すことなどあり得ない。絶対にそれは間違いの品だ、自分のものではない、と頑なに拒絶されまして」
「ラルクに会ったの!?」
レイは屋敷に戻ると疲れたと言い、勝手に紅茶なんかを入れて座り込む始末。
こちらの心配なんて無駄だったようで、しかし、その返事には呆れが混じっていた。
「会っていませんよ。あちらの上官様とお話をしていたら、ラルク様の部下という方がそう伝言を持って来られたの、アルフリーダ。彼はシェスの支流で夜釣りに興じていた、と話したみたいよ」
「夜釣り? 裸で……?」
「そこまでは知らないけれど、まあ、上官様はどこか薄っすらと笑われていらっしゃったわね」
浮気男には相応しい罰が当たったのか。
それとも恥をかいたままで黙る気は無いのか。
どちらにしても、それなら魔法剣を出してみろと言われたら彼は出せずにどうにか似た物でその場を凌ぐだろう。
例えば、魔法剣の柄にはめられた魔道具の調整などで一時的にでも手元から離れるときのために、似たような剣を二振りほどは作って常備しておくのが常なのだとか。
ラルクが付き合い始めた頃に、そんなことを言っていたことを思い出し、わたしは忍び笑いを隠せなくなった。
「くっくく、おかしい。あの馬鹿、そんなことを言ってまで体面を取り繕ったのね」
「まあ、ですから。そのうちに取り戻しに来るのではないかなと、私は思うけれど。貴方はどう思いますか、アルフリーダ」
「……確かに、その可能性は高いわね。でもそれなら――彼からは魔法剣に似た品物を婚約の結納代わりに頂きました、とかって世間には言いたいくらいね。これがあると、地下水道に入った時に便利だもの」
「ああ、なるほど。それなら、貰っておけば?」
「いいのかしら」
「良いんじゃない? 貴方がこれを扱えるというなら、問題はないと思うわよ。でも、騎士の剣だから重いし――女性にはまだまだ扱いやすい物ではないと思うけど」
出来るの?
そう問われ、わたしはどうにかしてみると答えた。
魔法学院では武技や乗馬なども必須科目として教えられたからだ。
こんな田舎の小さな王国。
近隣の大国からにらまれて起こる小さな紛争は、日常茶飯事だったからだ。
もしそうなら、レイの安否だって危ういのかもしれない。
どうしようとぼやいたその時、馬車の扉を御者が開くと降りて来たのは我が家の侍女だった。
「国王陛下から頂いた魔法剣をこの身から手放すことなどあり得ない。絶対にそれは間違いの品だ、自分のものではない、と頑なに拒絶されまして」
「ラルクに会ったの!?」
レイは屋敷に戻ると疲れたと言い、勝手に紅茶なんかを入れて座り込む始末。
こちらの心配なんて無駄だったようで、しかし、その返事には呆れが混じっていた。
「会っていませんよ。あちらの上官様とお話をしていたら、ラルク様の部下という方がそう伝言を持って来られたの、アルフリーダ。彼はシェスの支流で夜釣りに興じていた、と話したみたいよ」
「夜釣り? 裸で……?」
「そこまでは知らないけれど、まあ、上官様はどこか薄っすらと笑われていらっしゃったわね」
浮気男には相応しい罰が当たったのか。
それとも恥をかいたままで黙る気は無いのか。
どちらにしても、それなら魔法剣を出してみろと言われたら彼は出せずにどうにか似た物でその場を凌ぐだろう。
例えば、魔法剣の柄にはめられた魔道具の調整などで一時的にでも手元から離れるときのために、似たような剣を二振りほどは作って常備しておくのが常なのだとか。
ラルクが付き合い始めた頃に、そんなことを言っていたことを思い出し、わたしは忍び笑いを隠せなくなった。
「くっくく、おかしい。あの馬鹿、そんなことを言ってまで体面を取り繕ったのね」
「まあ、ですから。そのうちに取り戻しに来るのではないかなと、私は思うけれど。貴方はどう思いますか、アルフリーダ」
「……確かに、その可能性は高いわね。でもそれなら――彼からは魔法剣に似た品物を婚約の結納代わりに頂きました、とかって世間には言いたいくらいね。これがあると、地下水道に入った時に便利だもの」
「ああ、なるほど。それなら、貰っておけば?」
「いいのかしら」
「良いんじゃない? 貴方がこれを扱えるというなら、問題はないと思うわよ。でも、騎士の剣だから重いし――女性にはまだまだ扱いやすい物ではないと思うけど」
出来るの?
そう問われ、わたしはどうにかしてみると答えた。
魔法学院では武技や乗馬なども必須科目として教えられたからだ。
こんな田舎の小さな王国。
近隣の大国からにらまれて起こる小さな紛争は、日常茶飯事だったからだ。
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