彼氏が親友と浮気して結婚したいというので、得意の氷魔法で冷徹な復讐をすることにした。

和泉鷹央

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第七章 探知魔導

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「どっかの誰かがみんなそう言ってるなんて、俺の中では誰も言ってないのと同じことだ。だから俺はこう思うと言ったら、それは俺だけの意見なのさ。他人は関係ない」
「そう……」
「もちろん」
「え?」
「――地下のみんなも関係ない」
「それは……うん」
「だから俺を試すような真似をするな。ついでに誰かを巻き込むようなそんなマネもするなって、どっかの誰かなら言うんじゃないかな今の質問に対しては」

 イデアは釘を刺すようにそう言うと、改めてわたしの手のひらに乗っている魔導具に興味を示す。
 今の会話なんてなかったかのようなその素振りは、ラルクには到底できない。大人の男性のものだった。


「あなた個人の意見だってことにしておきます。それとありがとう」
「それでよろしく。あと何でありがとうなんだ」
「魔導師は――みんなが思うほど強くないし……世間の評価を誰よりも気にするから」
「あんたたちも大変だな。それでその――探知するなんかだったっけ。どうやって使うんだ」

 謝罪も感謝もさらりと流されて改めてイデアは、小型の魔導具に興味を示した。手のひらの上で、キラリキラリと、ときたま輝くそれは、ふたを持たない木枠の中に収まるコンパクトなもの。
 鏡部分の外側には丁寧な意匠が彫刻されていて、これまで何人もが使ってきたように黒く深い艶やかな鈍さが、年代物だと物語っていた。

「お爺様から譲られたものなの。一般に降りてくることは、ああ、この場合の一般っていうのは普通の魔道士って意味だけど」
「ほーお」
「ほんとはね、随分昔の大戦時に活躍した探知魔導の生き残りみたいなものかな」
「つまりなんだ。希少価値のある軍事用の商品ってことか」
「ううん。今はもっと性能がいいものが軍には出回っているから。これはそんなにいいものじゃないわ」
「……なるほど。で、どう使うんだ」

 怪訝な顔をする彼の手にそれを押し付けて、覗き込んでみて、と伝える。
 大丈夫なのか? そんな不安そうな顔もしながら、おずおずと彼は鏡の部分を覗き込んでいた。

「何が見える?」
「何って……赤い大きな光の……点?」
「いくつくらいありそう?」
「待てよ、今数える……五、たまに六になるな。これがどうなる?」
「二本の指の先を鏡に押し当てて、同時に広げたり狭めたりしてみて」
「はあ? そんなもの変わるわけが――なんだこりゃ」
「面白いでしょう? 今は何歳に増えた?」
「十四、十五……いや、十八、か」
「じゃあの場所にいるのは、二十以上は確実にいるってことになるわね」

 その返事を聞いて彼はぱちくりとまばたきをする。
 あの場所。つまりさっきいたドラゴン達の棲み処というか、選挙された場所というか。
 あそこにいる最低限の頭数が二十以上はいることになる。

「何で先に教えてくれなかったんだ!?」

 イデアは責めるように叫んだ。

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