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フィニッシュ
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どれほど眠っていたのか。
側にケモノの息遣いを感じてケイコは目を覚ました。
尹だった。素っ裸の身体の至る所に血が付いていた。
血の匂いに勝るオスの体臭。ユンは興奮しているのだ。
そのユンの顔が近づいた。
スマホ老眼のケイコにはその目が険しく光っているのが分からなかった。
「ケイコ奥様。あらかた終わりました。でも肝心な物が見当たりません」
ケイコは寝起きが悪かった。
「何の事よ。そんなクイズみたいな事言われても知らないわ」
ユンは先がくの字にカーブした小さなナイフをケイコの頬に押し当てた。
それは猫の爪の様な形をしていた。似てはいてもその器具の目的はジャレる事では決してない。
「私は掃除屋です。あなたをこの世から跡形もなく消す事も可能だ。あなたが男を手当たり次第殺しまくるのは別に良い。斬り刻むのも好きにしたら良い。けれど肝心な物を隠すのはよくない。私の仕事の邪魔をするのはやめて欲しい」
ケイコは目だけを横に動かした。
「あっちよ。キッチン。行ってごらん、私の忠実なワンちゃん」
ユンは猫の爪を仕舞った。
キッチンは散らかり放題だった。
何処かで何か腐っているらしいすえた臭いがした。コバエがユンの放つ血の匂いに集まってくる。
電磁調理器の上にフライパンが乗っかっていた。
内側に水滴が残るガラスの蓋を開けると中にアスパラと一緒にソテーした人間のペニスがあった。
おそらくマセラティの持ち主だろう。
皮は綺麗に剥いてあり、一部は切り取られていた。焼き具合はミディアムといったところか。
ユンはうんざりした。ソファーでジェーン・バーキンの映画を見ている美人はとんでもないサイコ女なのだ。
収納スペースを片っ端に開けて調べたが肝心な物が出てこない。
排水口に手を突っ込んで残りカスをつまみ出し鼻の先にもっていく。ディスポーザーで肉や骨を粉砕した様子はなさそうだった。
腹立ち紛れに冷蔵庫を蹴飛ばし何か飲もうとドアを開けると、マセラティの持ち主がそこに居た。
ステンレス製のホテルパンの上で男の首は文字通り血の気の失せた顔をしていた。
頬は半分えぐられてアルティメットの人体模型みたいに上下に綺麗に歯が並んでいた。
片方の眼球はくり抜かれていた。
残った一方の目は半開きで白っぽく濁り、恨めしげにユンを見上げていた。
車の運転はもう出来そうになかった。
ユンはドアポケットからミルクを取り出しゴクゴクと喉を鳴らして飲んだ。扉を閉め、女の所に戻った。
「マセラティのキーは?」
「さあ、どっか行っちゃったわ」
ユンはケイコの髪をつかんで持ち上げた。
ペニスケースから中身を引きずり出し顔に擦り付けた。
「キーは後で良い。勃起がおさまらないんですよ。これじゃ仕事にならない」
「わかったわ、わかったわよ。離して」
ケイコはユンの玉を両手で包み込んだ。
「優しくしてね」
「勿論ですよ」
ユンはいきなりケイコの首を絞めた。
そのままソファーに倒れ込むように無理矢理挿入した。
息が出来ないケイコは手足をバタバタさせていたがすぐに動かなくなった。
逝く寸前、ペニスが千切れそうなくらい膣が強くユンを締め付けた。
小便ほどの大量のザーメンを放出するとユンは床に置いたバッグから素早くAEDを取り出し、女に心肺蘇生術を施した。
すでに呼吸は止まっている。一刻の猶予もなかった。
人工呼吸と通電を2セットやった所でケイコは意識を取り戻した。
「良かったわ… ユン」
ケイコは恍惚の表情でユンを見つめた。
「今回は危なかった。ケイコ奥様。こんな事をやっていたらいつか本当に死んでしまいます」
「良いのよ、ユン。あなたに殺されるなら私は本望よ」
ケイコはユンの乾いた血だらけの頬にキスした。
ケイコはジェーン・バーキンと同じくらいユンを愛していた。
ジェーン・バーキンとは比べ物にならないほど我が儘で自分勝手ではあったが。
プラズマテレビの画面の中ではとっくに映画は終わり、震災復興支援の為に来日したジェーン・バーキンが避難所を訪問する場面が流れていた。
__end
側にケモノの息遣いを感じてケイコは目を覚ました。
尹だった。素っ裸の身体の至る所に血が付いていた。
血の匂いに勝るオスの体臭。ユンは興奮しているのだ。
そのユンの顔が近づいた。
スマホ老眼のケイコにはその目が険しく光っているのが分からなかった。
「ケイコ奥様。あらかた終わりました。でも肝心な物が見当たりません」
ケイコは寝起きが悪かった。
「何の事よ。そんなクイズみたいな事言われても知らないわ」
ユンは先がくの字にカーブした小さなナイフをケイコの頬に押し当てた。
それは猫の爪の様な形をしていた。似てはいてもその器具の目的はジャレる事では決してない。
「私は掃除屋です。あなたをこの世から跡形もなく消す事も可能だ。あなたが男を手当たり次第殺しまくるのは別に良い。斬り刻むのも好きにしたら良い。けれど肝心な物を隠すのはよくない。私の仕事の邪魔をするのはやめて欲しい」
ケイコは目だけを横に動かした。
「あっちよ。キッチン。行ってごらん、私の忠実なワンちゃん」
ユンは猫の爪を仕舞った。
キッチンは散らかり放題だった。
何処かで何か腐っているらしいすえた臭いがした。コバエがユンの放つ血の匂いに集まってくる。
電磁調理器の上にフライパンが乗っかっていた。
内側に水滴が残るガラスの蓋を開けると中にアスパラと一緒にソテーした人間のペニスがあった。
おそらくマセラティの持ち主だろう。
皮は綺麗に剥いてあり、一部は切り取られていた。焼き具合はミディアムといったところか。
ユンはうんざりした。ソファーでジェーン・バーキンの映画を見ている美人はとんでもないサイコ女なのだ。
収納スペースを片っ端に開けて調べたが肝心な物が出てこない。
排水口に手を突っ込んで残りカスをつまみ出し鼻の先にもっていく。ディスポーザーで肉や骨を粉砕した様子はなさそうだった。
腹立ち紛れに冷蔵庫を蹴飛ばし何か飲もうとドアを開けると、マセラティの持ち主がそこに居た。
ステンレス製のホテルパンの上で男の首は文字通り血の気の失せた顔をしていた。
頬は半分えぐられてアルティメットの人体模型みたいに上下に綺麗に歯が並んでいた。
片方の眼球はくり抜かれていた。
残った一方の目は半開きで白っぽく濁り、恨めしげにユンを見上げていた。
車の運転はもう出来そうになかった。
ユンはドアポケットからミルクを取り出しゴクゴクと喉を鳴らして飲んだ。扉を閉め、女の所に戻った。
「マセラティのキーは?」
「さあ、どっか行っちゃったわ」
ユンはケイコの髪をつかんで持ち上げた。
ペニスケースから中身を引きずり出し顔に擦り付けた。
「キーは後で良い。勃起がおさまらないんですよ。これじゃ仕事にならない」
「わかったわ、わかったわよ。離して」
ケイコはユンの玉を両手で包み込んだ。
「優しくしてね」
「勿論ですよ」
ユンはいきなりケイコの首を絞めた。
そのままソファーに倒れ込むように無理矢理挿入した。
息が出来ないケイコは手足をバタバタさせていたがすぐに動かなくなった。
逝く寸前、ペニスが千切れそうなくらい膣が強くユンを締め付けた。
小便ほどの大量のザーメンを放出するとユンは床に置いたバッグから素早くAEDを取り出し、女に心肺蘇生術を施した。
すでに呼吸は止まっている。一刻の猶予もなかった。
人工呼吸と通電を2セットやった所でケイコは意識を取り戻した。
「良かったわ… ユン」
ケイコは恍惚の表情でユンを見つめた。
「今回は危なかった。ケイコ奥様。こんな事をやっていたらいつか本当に死んでしまいます」
「良いのよ、ユン。あなたに殺されるなら私は本望よ」
ケイコはユンの乾いた血だらけの頬にキスした。
ケイコはジェーン・バーキンと同じくらいユンを愛していた。
ジェーン・バーキンとは比べ物にならないほど我が儘で自分勝手ではあったが。
プラズマテレビの画面の中ではとっくに映画は終わり、震災復興支援の為に来日したジェーン・バーキンが避難所を訪問する場面が流れていた。
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