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2.新品のリーバイスみたいに真っ青なカサブランカの空
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「マドモワゼル、何かお探しですか?」
わたしに解ったフランス語は厳密にいうとそれだけ。
はじめまして。怪しい者ではありません。ご旅行ですか?とか何とかそれらしき言葉を相手が発してるとしても。
わたしは迷子の仔犬。男は犬のお巡りさん。
金髪の男はニコニコと微笑みながらわたしの顔を覗き込む。
その態度、その眼差し。ちょっと待って。この人ふざけてる?
言葉が半分もわからないとしても、小馬鹿にされている気がして。
だけどもの凄くイイ男。そんじょそこいらの男前とはレベルが違う。
地球の反対側にはこんなギリシャ彫刻男がゴロゴロ居るってわけ?
新品のリーバイスみたいに真っ青なカサブランカの空が二人を見つめてる。嘘でしょ。あなた近過ぎ。
さあ、もっとアクションを続けて。でないとわたし…。
固まっているわけではない。観察しているのだ。
急に思いついた。
この男はわたしの大枚叩いて買ったセリーヌの鞄をひったくる気じゃないかしら?って。遅過ぎ。
わたしは全財産を盗られて立ち尽くすのだ。見知らぬ異国の地で。可哀想なわたし。
そういう場合はどうするの。そうだ、大使館だ。大使館を探さなくちゃ!
わたしはキョロキョロと周囲を見回した。
突然男のブルーの瞳が豪快に笑った。
「フランス語話せますか?」
「全然わかりません」わたしはフランス語で答えた。
「驚かせてすみません」ブルーアイズは日本語で言った。
わたしはそっちに驚いた。日本語、流暢過ぎ。
持っていたパンを落としそうになるくらい。
ブルーアイズはそのパンを宙でヒラリと掴んで、もう一度わたしの手に持たせた。まるでマジシャンみたいな身のこなし。
おかえりなさい。わたしのパン。
あなたは手品師、詐欺師、大道芸人?それとも…
「日本人?」
「そう見えます?」ブルーの瞳がキラキラどっこいしょ。
「いえ、全然」わたしは顔が熱くなった。夏のせい?カサブランカは今、秋だったはず。
何だろうこの外人、わたしをからかっているのか。いや、此処じゃわたしが外人か。
どうしよう。恋に落ちそうだ、わたし。
わたしに解ったフランス語は厳密にいうとそれだけ。
はじめまして。怪しい者ではありません。ご旅行ですか?とか何とかそれらしき言葉を相手が発してるとしても。
わたしは迷子の仔犬。男は犬のお巡りさん。
金髪の男はニコニコと微笑みながらわたしの顔を覗き込む。
その態度、その眼差し。ちょっと待って。この人ふざけてる?
言葉が半分もわからないとしても、小馬鹿にされている気がして。
だけどもの凄くイイ男。そんじょそこいらの男前とはレベルが違う。
地球の反対側にはこんなギリシャ彫刻男がゴロゴロ居るってわけ?
新品のリーバイスみたいに真っ青なカサブランカの空が二人を見つめてる。嘘でしょ。あなた近過ぎ。
さあ、もっとアクションを続けて。でないとわたし…。
固まっているわけではない。観察しているのだ。
急に思いついた。
この男はわたしの大枚叩いて買ったセリーヌの鞄をひったくる気じゃないかしら?って。遅過ぎ。
わたしは全財産を盗られて立ち尽くすのだ。見知らぬ異国の地で。可哀想なわたし。
そういう場合はどうするの。そうだ、大使館だ。大使館を探さなくちゃ!
わたしはキョロキョロと周囲を見回した。
突然男のブルーの瞳が豪快に笑った。
「フランス語話せますか?」
「全然わかりません」わたしはフランス語で答えた。
「驚かせてすみません」ブルーアイズは日本語で言った。
わたしはそっちに驚いた。日本語、流暢過ぎ。
持っていたパンを落としそうになるくらい。
ブルーアイズはそのパンを宙でヒラリと掴んで、もう一度わたしの手に持たせた。まるでマジシャンみたいな身のこなし。
おかえりなさい。わたしのパン。
あなたは手品師、詐欺師、大道芸人?それとも…
「日本人?」
「そう見えます?」ブルーの瞳がキラキラどっこいしょ。
「いえ、全然」わたしは顔が熱くなった。夏のせい?カサブランカは今、秋だったはず。
何だろうこの外人、わたしをからかっているのか。いや、此処じゃわたしが外人か。
どうしよう。恋に落ちそうだ、わたし。
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