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 ふたたびザックの唇がジーンの乳首を覆った。ちゅっと軽く吸われただけで、あっ、と大きな声が出る。慌てて唇を噛むと、ザックが咎めるようにジーンの唇を撫でた。

「いいなら素直に声を出すんだ。我慢することなんかない。俺に聞かせてくれ。いいね?」

 ジーンは大人しく頷いた。
 ザックの指先が胸の突起を摘まむ。指の腹で擦り、圧し潰し、爪の先でピンと弾く。ジーンが感じるままに声を上げると、ザックは満足げに微笑んだ。

「そうだ、いい子だね、ジーン」

 とろけるような甘い声で囁きながら、声に負けない甘さの口付けが与えられる。
 あまりの幸福感に、頭の芯がしびれるようだった。

 愛撫に戻ろうとするザックを引き留め、キスの続きをねだりながら、ジーンもザックのたくましい体にてのひらを這わせた。広い肩に隆起する胸筋。突起を指の腹でくすぐると、ザックは息を呑んだ。ジーンは気をよくして、胸への愛撫を続けながら、反対の手で引き締まった脇腹、腰骨を撫でた。淡い色をした陰毛をかき分け、重たい嚢を掬い上げててのひらで包む。ザックが唸り、ジーンの腰を掴んで引き寄せた。熱く濡れた勃起がジーンのモノとぶつかる。

 彼がジーンで熱くなってくれて嬉しい。

 ジーンはキスをしながら微笑んだ。先走りでぬるついた自身のペニスをザックのモノに擦り付ける。ザックが呻き、ジーンの腰を掴む力が増した。
 互いの唇を味わいながら、ふたりの腹の間で育った屹立を擦り合う。息が乱れる。そろそろ限界が近かった。

「ああ、いい、ザック……っ!」

 ガクガクと下肢が震える。
 ザックが甘く掠れた声で「いきたいときにいってごらん」と囁く。「いってごらん」と言われた瞬間、ジーンは達していた。

 ほどなくして、ザックも身を震わせた。
 体液が混じり合う。ふたりとも、肩で息をしながら、まつ毛とまつ毛が触れ合う距離で、目と目を見かわし、それから唇を合わせた。

 久しぶりに心が満たされるのを感じた。

 〝心を通わせた恋人とのセックスこそ至高〟……頑なとも言えるほどに信じたかったジーンの信条――ジョージに言わせるとただの幻想――がたった一晩で(正確には、たった数時間で)覆ってしまったことも大して気にならなかった。

「きみは最高だね」とザックが囁く。
「そっちこそ」とジーンは返してザックの唇を啄んだ。

 ザックは手早く後始末をしてベッドに戻ってくると、腕の中にジーンを閉じ込め、ジーンの髪に頬擦りすると満足げな溜め息を吐いた。まるで愛されているように錯覚する。それはともかく、きっと彼とは相性がいいのだろう。ザックも今夜の行為に満足しているようだった。セックスのあとの態度に関しても――甘い気分を引きずるタイプ――ふたりは気が合うようで、そちらも何よりだ。

 ザックはシーツを引き上げ、ジーンの肩を撫でた。このまま眠ってしまうつもりらしい。

 ほどよい疲労感と達成感、それからザックのぬくもりに包まれて、ジーンはその晩眠りについた。
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