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番外編、圭吾と零
零の得意なこと
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※ 番外編のような何かです。
_____________
「お、零がんばってるね」
息子二人を寝かしつけた後、圭吾はリビングに戻ると裁縫に勤しむ零に紅茶を入れた。
「ありがとうございます、寝かしつけもお疲れ様です」
零が作っているのは、ゆいが幼稚園のお遊戯で使う衣装だ。
と言ってもそこまで難しいものではなく、既に出来上がっている衣装にアレンジを加えるというものだ。
ゆいはねずみさんの役で、衣装は灰色の上下に分かれたものだ。
無地のそれに、好きなアレンジを加えて提出するらしい。
ゆいの通う幼稚園はお母さんが専業主婦の方が多く、そのためこういうお願いをされることも多い。
もちろん、時間がなかったり、どうしても苦手だという場合にはシールのワッペンを貼るだけでも良い。
零は比較的裁縫は得意なので、ゆいのために色んなアレンジを加えている。
「すごいな、これ襟か」
首元にはゆいの好きな黄色の襟を付け、それと同じ生地で袖口にもフリルを付けた。
「なんか王子様みたいだな、かわいい」
零の描いたイメージ図を眺めながら、圭吾が笑う。
「ほんと、よくこういうの作れるよな~」
尊敬する。と珍しくはないけど圭吾に褒められたので、零は少し恥ずかしそうに頬を染めた。
いつまで経っても、初恋の人から褒められるのには慣れない。
零は幼稚園のバザーでも、こうやって裁縫でポケットティッシュケースやかわいい髪飾りなどを作って売っていた。
丁寧に作られた零の商品は、あっという間に完売する。
特に女の子のママたちには人気が高く、圭吾は少し嫉妬してしまう。
「よし、できた!」
子供用の小さなハンガーに完成した衣装をかけ、写真を撮る。
「すっご…え、これしっぽも作ったの?」
最初はなかったはずのしっぽを見て、圭吾は驚いた。
「あ、それは意外と簡単なんですよ。
ただ生地を縫って裏返して、そこに綿を詰めてるだけなんで」
と、零は簡単に言うが、実際やってみると難しいのである。
「はは、しっぽの先にリボンか。随分とメルヘンなねずみさんだな。かわいらしい」
圭吾は衣装をまじまじと眺めながら、一つ一つに感想を言っていく。
「なんか、作ってたら楽しくなっちゃって…あとでゆいに嫌がられないといいですけど」
だいすきなままが作ってくれたものなら、なんだってゆいは喜ぶ。
「って、まだなんか作るの?」
圭吾が感心して衣装を眺めている間に、零はまた生地を裁断し始めている。
「はい、生地が余ったので、今度はりおの着替えを入れる手提げを作ります」
ほんと、なんでも器用にやるな。
深夜なのに楽しいからと言って続ける零に、圭吾は半ば呆れながら、零が裁縫に満足するまでそれを眺めた。
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「お、零がんばってるね」
息子二人を寝かしつけた後、圭吾はリビングに戻ると裁縫に勤しむ零に紅茶を入れた。
「ありがとうございます、寝かしつけもお疲れ様です」
零が作っているのは、ゆいが幼稚園のお遊戯で使う衣装だ。
と言ってもそこまで難しいものではなく、既に出来上がっている衣装にアレンジを加えるというものだ。
ゆいはねずみさんの役で、衣装は灰色の上下に分かれたものだ。
無地のそれに、好きなアレンジを加えて提出するらしい。
ゆいの通う幼稚園はお母さんが専業主婦の方が多く、そのためこういうお願いをされることも多い。
もちろん、時間がなかったり、どうしても苦手だという場合にはシールのワッペンを貼るだけでも良い。
零は比較的裁縫は得意なので、ゆいのために色んなアレンジを加えている。
「すごいな、これ襟か」
首元にはゆいの好きな黄色の襟を付け、それと同じ生地で袖口にもフリルを付けた。
「なんか王子様みたいだな、かわいい」
零の描いたイメージ図を眺めながら、圭吾が笑う。
「ほんと、よくこういうの作れるよな~」
尊敬する。と珍しくはないけど圭吾に褒められたので、零は少し恥ずかしそうに頬を染めた。
いつまで経っても、初恋の人から褒められるのには慣れない。
零は幼稚園のバザーでも、こうやって裁縫でポケットティッシュケースやかわいい髪飾りなどを作って売っていた。
丁寧に作られた零の商品は、あっという間に完売する。
特に女の子のママたちには人気が高く、圭吾は少し嫉妬してしまう。
「よし、できた!」
子供用の小さなハンガーに完成した衣装をかけ、写真を撮る。
「すっご…え、これしっぽも作ったの?」
最初はなかったはずのしっぽを見て、圭吾は驚いた。
「あ、それは意外と簡単なんですよ。
ただ生地を縫って裏返して、そこに綿を詰めてるだけなんで」
と、零は簡単に言うが、実際やってみると難しいのである。
「はは、しっぽの先にリボンか。随分とメルヘンなねずみさんだな。かわいらしい」
圭吾は衣装をまじまじと眺めながら、一つ一つに感想を言っていく。
「なんか、作ってたら楽しくなっちゃって…あとでゆいに嫌がられないといいですけど」
だいすきなままが作ってくれたものなら、なんだってゆいは喜ぶ。
「って、まだなんか作るの?」
圭吾が感心して衣装を眺めている間に、零はまた生地を裁断し始めている。
「はい、生地が余ったので、今度はりおの着替えを入れる手提げを作ります」
ほんと、なんでも器用にやるな。
深夜なのに楽しいからと言って続ける零に、圭吾は半ば呆れながら、零が裁縫に満足するまでそれを眺めた。
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