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さようなら

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普段ならかわいいな、と思うのに、今日はかわいいなんて思えない。
部屋を出てリビングでお茶を飲む。
喘いだせいで喉が乾いてしまった。
流された挙句セックスまでしてしまうなんて。
自分が情けなくて涙が出る。
しばらくぼーっとしていると、優斗が二階の俺の部屋から降りてきた。
「ゆき。ごめん、我儘なのは分かってるけど話がしたい」
濡れた子犬のような顔で必死に縋りついてくる。
「なんでもするから、お願い…
またゆきと暮らしたい。離婚なんてしたくないよ」
それなら、なんで不倫なんてしたの?
なんで俺だけじゃ満足出来なかったの?
聞きたいことは山ほどあって、声に出すと泣いてしまいそうだから言えない。
「帰ってって言ったでしょ。
絶対に浮気してないって証拠があれば、考える。
けどもう、無理だと思ってるよ」
優斗は俯き、しばらくお互いに無言が続いた。
悲しくて、悔しくて、もう顔なんて見たくない。
なのに、ただただ優斗が好き。
自分の初めてを、ほとんど捧げた相手が。
だいすきで、愛してやまない。
これからも、ずっと続くと思ってた。
「…どうしても、離婚するの?」
そう聞くってことは、不倫したのは確実なんだろう。
さっき俺に突っ込んだそれ、他の女にも突っ込んでたんだ。
気持ち悪い。
そう思ったらなぜだか優斗への愛情が消え失せていき、全てが怒りに変わった。
「もういいよ。
とりあえず今日は帰ってくれる?
落ち着いたら荷物だけ取りに行くから。
じゃあね、今までありがとう」
無理やり優斗を家から追い出す。
涙が出てきたが、これがもう最後だろう。
さようなら、優斗。
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