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第七章

帰還

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 ミルウェールが去ってから1時間、ナイアール達は帰還する準備をしている、皆色々な荷物を荷台積んでいるがそこにはその片付けを手伝うフゥの姿があった

「えーと、この荷物があの荷台だろ?そんでこれが各自持ち帰るようで‥」

「フゥ元気になったのはいいけど、そろそろ降りてもいい?かなり揺れて俺の三半規管がそろそろ限界なんだけど」

俺はあの後目が覚めたフゥの指示に従って猫の姿になりそこから、身体中の毛をいじられたり、毛繕いというなの毛刈りをされたりしてから頭の上に乗っていろと言われそれに従ってかれこれ30分は経っている。最初は帰還準備をサボれると思っていたのだが

「はあ?そんなに揺らしてねぇだろうが、あと吐いたり頭から降りたら毛を全部むしり取るからな」

という脅し『お願い』に負けてこうしているのだが、さっきから上下に動いたり左右に首を動かしたりしていてかなり揺れており、本当にきつい

「いや、揺れてるのよお嬢さん頭の上に乗っている猫を信じなさいな」

「いーや!揺れてないね!間違いない」

そんな会話を聞きながら他の者達はせっせと準備しているとエレナに紐で作られた手錠をかけられているアズサが話しかけてくる

「この度はご苦労様だったね剣姫エレナ、君のレイピア捌きは惚れ惚れしたよ。この後暇なら私の絵のモデルになってくれないかな?」

「お断りします、貴方は国から追われているのによく呑気な事を言っていますね。帰ったら必ず国に突き出しますよ」

それを聞いたアズサは「参ったな」と言いながらエレナの周りをグルグル回る

「‥なにしてるんですか?」

「いや、描けないのならいっそ私の目に焼き付けておこうと思って」

「貴方という人は!」とアズサに説教をしているエレナを横目にセレナは他の冒険者達にサインなどをしていた

「お、俺セレナちゃんのファンだったんだ!急に長期の休暇に入るて聞いて驚いたけど、こうして戻ってきてくれただけで‥うううう」

「あ、ずるいわ!!私だってセレナさんのファンなのに!!セレナさん握手とこの杖にサインを下さい!!」


「はーい、みんな順番を守ってね!セレナはみーんなのアイドルだから喧嘩しないで~」

と言うと「セレナちゃーーん!」という冒険者達の声が上がる、その声に耳を塞ぎながから「うるさい」と険しい顔をしているルドガーにレイトが駆け寄る

「あの、兄の事教えて頂きありがとうございました。魔族になってまたあの戦争を起こそうとしているのは驚きましたけど」

「?何のこと?」

「え、あの兄の06号の事教えて下さったじゃないですか」

レイトがルドガーに聞き返すが彼は「知らない」と言ってそのまま帰り支度を始める。困惑しているレイトに太陽が話しかける

「ごめん、ルドガーはスキルを使うと記憶の一部を失っちゃうんだよ。だから君に話した内容の記憶を忘れてるんだと思う」

「失うって‥あれはプライズじゃないんですか?」

太陽は笑いながらレイトに自分達元転生者について話す、その内容を聞きレイトは驚きながら太陽に尋ねる

「じゃあ、他の皆さんどうして大丈夫なんですか?」

「ルドガーは別の異世界から助っ人として来てくれててね、別の異世界にいる友達の神獣をこっち側に連れて来ているらしいんだよ。でもそれには代償がいるらしくて彼の場合それが記憶なんだ」

「別の異世界て‥」

太陽は驚くレイトに元転生者とは何なのかを話す

元転生者とは
エスカディアで発生したとある転生者の起こした叛逆を止めるために選ばれた転生者達の事である、その反逆は魔族と人間達の争いで元転生者達は人間側に付き約1000年間の間戦い続けた。
その戦いに勝利した彼らに女神レプゼンはこの世界で生きるか元の世界で転生するか、別の異世界に行くかの3つの選択を聞きそれを叶えると言った。
それを聞いた彼等はそれぞれの願いを伝える、その結果がセレナ以外はこの世界から離れ元の世界に転生と別の異世界に行く事を選んだ。一度エスカディアから離れた為、太陽達は元転生者と管理者達から呼ばれている

と太陽はレイトに教える

「じゃあ、セレナさんだけは元転生者じゃないって事ですか?」

「それが彼女、俺達が別の世界に転生してから不老不死アイドルとして偶像崇拝されるようになったらしくてさ、神の領域に片足突っ込んでるんだよね。だからもう転生者とは言えないてレプゼンが言ってたよ」

太陽は話しながら苦笑いするがレイトはセレナが神の領域に踏み込んでいる事に驚き、彼女の方を見ると確かに殆どの冒険者が彼女を崇めている光景を見て納得する

「じゃあ、今回私達の世界がピンチだったから助けに来てくれたんですか?」

「それもあるけど俺の場合は、友達が異世界案件に巻き込まれててそれを助ける為にて言うのをあるかな。まあ本人はこの世界を救うて言ってるから当分はこっちにいるつもりだよ」

そう言いながら太陽は相沢の方を見る、相沢はレプゼンと何か話しているが「ふざけんな!」と大声を上げてからすぐに相沢が太陽に近づいて来て

「太陽、聞いてくれよ!俺あの女神の家族喧嘩に巻き込まれただけなんだってよ!ありえなくねぇか」

「まあ、神なんて結構そんなのばっかりだし‥巻き込まれた人の事なんて基本考えてないんだよね、太陽の気持ち俺には分かるよ」

「だよな!!」と言って相沢は太陽の両肩を掴んで激しく揺らす。太陽はそれに対して「分かった、分かったから~」と言って揺らすのを止めて欲しそうだった




 政宗は村の跡地を少し歩いていたそこにはもう自分の知っている風切り村は何処にもなくただの荒れ果てた土地しかなかった、その光景を見て下唇を噛み締めながら後ろを振り向くとアディがいた、彼女は慌てながら

「あ、えっと皆もう帰るから政宗さんを呼んでくれ~て言ってたからさ、迎えに来たんだけど‥」

「うむ、そうか!」

それだけ言って政宗はどんどん歩き出す、アディはその悲しげな後ろ姿を見て

「あ、あのさ!!もし、もしだよ?行く当てないならさ‥ウチの持ってるログハウス使う?昔チームで買った奴だけどあんま使ってないし綺麗だと思うんだけど!!」

「‥‥わしはアディ殿には何にも返せんぞ」

政宗はアディに聞き返す

「いらないよ何にも、なんで失った人からまた何かを貰うなんて事が出来るのさ」

政宗が後ろを振り向くと真剣な顔をしたアディが立っている、彼女からは何かやましい気持ちなどは一切感じない

「おんし本気か?何も返せん奴に家を渡すなど」

「本気も本気、超本気」

「‥ほうか、少し考えさせてくれ」

そう言って政宗は歩き出す、彼の後ろ姿を追いかけるように彼女も歩き出した


 
「では、皆さんそろそろ帰還しましょう」

エレナがメンバーが集まった事を確認し、帰還命令を出す。殆どの冒険者達はその声を聞き頷いたあと次々と荷台にのりそれを確認した魔獣は声を上げて走り出す

「ここじゃ帰還石使えないの不便だよなぁ~」

とフゥが猫姿のナイアールの毛をむしりながら話す。邪神はただ無言で毛をむしられて続けている

「まあ龍脈が近いですから‥ってなにしてるんですか!フゥさん!」

エレナがフゥを止めにかかるがフゥはナイアールを持ちながら荷台の中を逃げ回る

「止めないね!こいつを殺さない代わりに毛で我慢してんだ!」

その声にナイアールは「うにゃー」と猫っぽい声を出す、フゥはそれを聞いて「こいつもいいて言ってんぞ」と言うがエレナは「それでもダメです!!」と言ってフゥを追いかけ回す

「元気じゃのうあの戦いの後で」

と政宗の笑っている姿を見てエレナは「笑ってないでフゥさんを止めて下さい!」と政宗に頼むが

「いんや、そやつがした事はわしらから見たら悪じゃ、そのくらいの罰受けさせんといかん」と真剣な顔で言う

それを聞いてかアディも「程々にね~」と言って二人を応援している様子を見て

「あーーもーーう!」とある荷台で剣姫が叫んだ

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