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第八章

真っ暗な闇の中で

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 空が切れると同時にニーアも真っ二つになったが、エスカドールはそこを何度も何度も斬り裂き続ける。ニーアが粉微塵になるまで斬り続けるそして

「斬!!」

と言う叫びと共に空にヒビが入りニーアは粉々になる

「ワタシは、ミルウェールとは違いマスヨ?彼女と違い戦えマース」

そう言って刀を構え続ける彼女の顔には汗が垂れる、それはまだこの戦いが始まったばかりだというように

「おいおい?いきなり斬り殺すなんて酷いじゃないか、昔の君ならこんなことしないのに‥やっぱり壊れてるじゃないか」

「!!!アグ!!」

その声を聞いた瞬間後ろを振り向こうとしたエスカドールに大量の赤い目のついた触手が彼女の背中の肉を抉り取る、すぐに抉られた箇所を回復し後ろを振り向くとニーアがいた、粉々になったはずの彼だったがまるで最初と何も変わらない姿でニコニコ笑っている

「ハハッ、本当にお強いデスネ」

「フフッでしょ?」

ニーアは自分の足元の魔法陣から出ている触手の一本に脚を組んで腰掛けている、その姿からは余裕を感じる

「で、あれが全力?おいおい冗談だろ?昔の君はもう少し歯応えあっただろ?ほら思い出して?憤怒の王と戦ったあの時をさ」

「‥‥‥ハァァ」

彼女はその問いに返答することはなく力を溜めて、それを一気に放出する、次は空間が歪む。ニーアがいる場所だけがグニャリと歪みそこに何度も斬撃を加えているが

「ほらほら頑張って!!俺に擦り傷でもつけられるかなぁ?!」

とエスカドールを煽る。彼女はその煽りに気を乱す事なく何度も何度も斬りつけるが

「‥‥足元注意」

「ァァァ!!!」

次は彼女の足元から触手が生え足を一本抉り取る、彼女の欠損した足からは大量の血が下に落ちる、その姿を見て人間達が泣き叫ぶ。抉り取られた足はニーアの触手が持っており触手がエスカドールの足をニーアに渡す

「返して欲しい?」

彼が抉り取った足を前に突き出し「ほら、君の足だよ?返して欲しいでしょ?」と言って触手に足を持たせてエスカドールの前で左右に動かす

「あ、貴方て本当に最低でスネ」

「最低?なんで?私は仕事してるだけだよ?」

下からは人間達の怒りの声がニーアに浴びせられるが彼はそれを聞いて人間達に手を振る。その姿は自分のやった行いに罪意識がまるで感じられなかった

「そろそろ、声援もいらないかなぁ?」

そう言って彼は民衆の中にいるフゥを見つけて

「フゥちゃーーん私の勇姿をちゃーーんとあの子にも伝えてね!!パパ頑張ってたよぉて!!」

それを聞いたフゥは

「え!お、おう!!」

と答えるがその声は民衆達の怒号に混ざってしまうが、ニーアはそれを聞いて嬉しそうに微笑んでから、詠唱を唱えようとする、エスカドールは足の治療が後少しの所でニーアが詠唱を始めようとしていることに気付き

「させるワケないでしょうが!!!」

そう言って何度も何千本の魔力の刀を作りニーアに向かって飛ばすが、紫色のシールドで守られておりまったく動じておらず

「必死だねぇ~」

と笑いながら詠唱をし始める。




 『ああ、罪なき私の声を聞け。これより行う儀式は罪なき王が取り仕切る、無月よどうかごらんあれ』

そうニーアが呟くと満月が新月に変わると同時に全てのルーンが輝きを無くし、星々の輝きすら消えた。真っ暗世界になる、そこから聞こえるのはエスカドールの悲鳴とニーアの楽しそうな笑い声だけだった

「な、なんだよ‥なんだよこれ!!おい、モニカ、エレナ!!」

フゥが二人に話しかけるが二人からの返事はないそれどころか他の人々の声すら聞こえない

「な、なんだよこれぇ」

フゥをそれに怯えていると後ろから

「怖いの?」

「ヒッ!!」













ニーアの声がした方に振り向くとエスカドールの頭を持ったニーアがニコニコと笑いながらそこにいた


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