【完結】爪先からはじまる熱と恋 ~イケメンを拾ったら囲われました~

只深

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第二話 嘘と本当とセックスと

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 指紋認証で大きなドアを開けて、長い廊下が広がる。
 ふかふかのスリッパを出され、玄関に引き入れられてドアが締まる。
かちゃん、という音が静かな廊下に響いた。



 大きな玄関はモノトーンで統一されて、生活感がない。床が大理石張り。
段差のないそこに靴を脱いで、揃える。




「リビングはここ、トイレは奥、浴室は反対側、寝室は用意するから待ってて下さい」

 背中を向けて彼がそれぞれの部屋のドアを指差す。
また口調が戻ってる。いつもの、お店に訪れていた彼の口調。


「どっちが本当のあなたなんですか?」

 何でこんなこと、聞いてるの?
 …私がなにを考えているのか、分からない。
 振り向いた彼が、ネクタイを解きながらニヤリ、と嗤う。

「どちらも嘘、と言ったら?」


━━━━━━

 お風呂にしっかり浸かると頭が痛くなりそうで、サッと体を流して髪の毛は洗った。
 リビングに行けばいいのかな。ここだっけ?
 そっと扉を開く。

「早かったですね。ソファーに座ってください、ガーゼを貼り直します」



 すぐ傍の壁にもたれている彼が反対側からドアを引っ張って私を招き入れる。

 スーツを脱いで、Tシャツとゆったりしたパンツでラフな服装の彼。初めて見る姿だ。
 頭はオールバックのまま。
 さっきより、落ち着いた目の色をしてる。

 黒い革のソファーを示され、大人しく座る。
 新品のシャツを着替えで用意してくれた。彼のサイズだと思うけど、大きくてブカブカ。



「服は明日調達します。すみませんが下着は今日我慢してください」
「はい」

 まさか彼のを履くわけに行かないし、それは仕方ない。
 救急キットを脇において、ソファーに横並びで座ってくる。

「染みますよ」
「……っ」

 頬の傷にコットンが消毒液を染み込ませる。
 ぴり、と痛みが走った。

「もう少しですから」

 気遣わしげに瞳の青が覗く。
 とんとん、と何度か消毒されて小さなガーゼを貼ってくれる。



 かなり几帳面な性格みたい。
 はみ出さずにガーゼの四隅がきっちり収まっているのが触るとわかる。




「後頭部は冷やすしかないでしょう。おそらく熱が出ます。明日は1日休んでいて下さい。抗生剤と痛み止めを」

 手当を終えて、大きな手のひらにパッケージのまま薬を乗せて差し出される。

「…………」
「毒じゃないですよ」

 それは、そうだとは思う。毒を飲ませても何の得もないし。
 お風呂に入って少し落ち着いたからか、何だか変な気持ち。
 どうして私、彼のお家に居るの?
 この人のせいで巻き込まれたけど、恨む気持ちが生まれてこない。

 痛い思いも怖い思いもしているはずなのに、彼の目を見てるとその場にそぐわない、形容できない気持ちが出てくる。
 元々自己分析なんて、できたことないけど。



「仕方ないですね」

 ため息が落ち、プチプチと薬のパッケージから押し出して、テーブルの上の水を彼が口に含む。
 顎を掴まれ、くいっ、と下げて私の口を開き、薬を放り込む。

「……っ?!」

 唇が触れて、水が流し込まれる。
 肩を押して抵抗するけど、ビクともしない。
 首の後ろを抑えられて、舌が差し込まれた。



「……っん」

 厚い舌が探るように口内を蹂躙していく。歯の裏、奥歯、舌の裏まで探られて、目眩がする。
 口の中の傷をなぞられて、痛みと血の味が広がる。



「飲み込みましたね。口の中も切れてるのは気づきませんでした。明日、薬をもらって来ます」

 唇が離れて、近い距離のまま瞳が合わさる。
力を込めて押し続けてるのに、揺らぎもしない。
 突然、彼が男の人だということを意識する。知ってはいたけれど、意識はしてなかった。
 手のひらから胸の筋肉のしっかりした感触が伝わってくる。
 彼の香水がふんわり優しい香りを漂わせてる。

「家から出ないでもらいたいのですが」
「…………」
「逃げても無駄ですよ」
「…………」
「なるほど、抵抗の意思ありと」



 押しても動かなかった彼が離れていく。
 抵抗するつもりとかそんなんじゃない。まだ、ちゃんと考えられない。
 言葉にしようとしてもなかなか口が開かない。
 ソファーに座ったままの姿勢で、彼は顎に手を当てて、何か考え込んでいる。
 青い瞳に見つめられたまま、私は動けない。



「歩けなければいいな」
「きゃっ!な、なに?」



 首の後ろと膝に腕が通されて、持ち上げられる。身長が高いから床が遠い。



「首に手を回せ。落ちるぞ」

 冷たく言い放たれて、思わず首に腕を回す。背中から冷たいものが這い上がってくる。
そのままの体制でドアを開けて、左奥の部屋に運ばれる。

 真っ黒な大きいベッドに横たえられ、頭の下に冷たい感触。
 髪の毛を右側に流して、優しく位置を整えてくれる。

「冷却まくらだ」
「はぁ……」

 後頭部が冷やされて、痛みが遠のいていく。
 部屋の明かりが落とされ、私の上に彼がのしかかってくる。



「な、なにをしてるんですか」
「さすがに慌てるんだな。逃げられたら困るんだ」



 両手を纏めて掴まれ、片手で私が着たシャツのボタンが外されていく。
「や、やめて!やめてください」
「この状況で男がやめると思うか?」



 首筋に熱が降りてくる。
 唇が押し当てられて、体が勝手に跳ねる。
 ボタンを外し終わった彼がシャツをはぎ取り、そのシャツで私の両手首をまとめて縛り付ける。暗闇で青い目が光っているようだった。

「お願い、やめて」
「それは煽るだけだぞ」



 口調が冷たいまま、彼が短く告げる。
 まるで知らない人みたい。

「逃げないからっ」

 首筋に痛みが走る。ちゅ、と吸われて何度もそれが繰り返される。
 首からだんだんと下がって行き、喉と、鎖骨にも同じように小さな痛みを感じた。



「…っ!どうして?」



 ふ、とかすかに笑われて、脱がされた体に視線が降り注ぐ。
 下着をつけていないからもう何も身につけていない。ひんやりした空気が肌に伝わってくる。

 私に股がったまま、Tシャツを脱ぎ捨て傷だらけの体が姿を現す。
 カーテンから漏れた僅かな光がほんのりとした明かりを部屋に広げてる。



 日焼けじゃない!手の色とおなじ濃いめの肌色を全身に纏って筋肉の質感を見せつけてくる。
 顎を掴まれて、また唇が重なってくる。



 さっきとは違う熱が、柔らかい唇からもたらされる。
 何度か唇を食まれ、舌が侵入してくる。
 探るようなそれではなく、舌を絡めて、宥めるように彼の熱が染み込んでいく。
 歯列の裏側をなぞられ、逃げる私に絡んで刺激を与えてくる。

 苦しい、息ができない。
 ぎゅう、と瞼に力を入れると私の体温を宿した滴が零れていく。

「んっ!んぅ」



 胸の膨らみを手のひらが包んでくる。
 皮膚に触れるか触れないかのギリギリで指が繊細に肌を滑る。
 くすぐったいと感じるだけではなく、足元からゾクゾクした何かが湧き上がってくる。

「はっ、はぁ、はぁ……」
「息継ぎできないほど興奮してるのか?」

 目付きが鋭いまま、瞳の青にゆらゆらと情欲の炎が見える。

「はなして」
「随分強情だな」



 腕を頭の上に持ち上げられて、無造作に放られる。もう、力が入らない。
 キスをされただけでこんな事になるなんて。

 もう一度唇が首に降りてくる。チクリ、チクリと痛みを落としながら胸に到達して、両手で掴まれた乳房が形を変えるのが見えた。
 形のいい唇が無造作に胸の上を這い回る。



「ひっ…や、いやっ」

 ふっ、と乳嘴に息をふきかけ、乳輪の周りをくるくると唇と指先が撫でる。
 中心を掠めて、触れてこない。



「……っ、っ」

 腰の辺りからズキズキと熱が広がっていく。
 太ももを擦り合わせると、くちゅりと水温が聞こえた。

「まだ触ってないのに濡れてるのか?」
「……あ!あっ!!」

 言いながら乳首を強くつままれ、拗られて押し付けられる。
 突然生まれた快感に頭が追いつかない。



「うぁあっ!」

 熱が胸の中心に与えられる。
 甘く歯を立てられ、腰の熱が段々と上がっていく。




「はぁ、はぁ、んうっ!」

 胸から降りていく手のひらが圧力を増す。
 腹から腰に降りて、太ももを撫でる。移動する度に胸と手のひらからビリビリとした衝撃が伝わって、クラクラする。

「こんなに濡らして。いつも見ていたあなたが感じていると思うとたまらない」
「…やっ」




 サロンでの綺麗な笑顔が胸を締め付けてくる。穏やかで、優しかったあの時間。
彼が今私にこうしている事実をたたきつけられ、悲しみが溢れてくる。
 どうして、こんなふうになってしまったの?

「その顔もいい」 

 うっとり呟かれて、目が合ってしまう。
 私を口に含みながら、知らない男の顔が見つめ返してくる。ギラギラと、目を光らせた肉食獣のように。
 怖い、知らない。こんな男の人。

 太ももを掴んだ手が力を込めながら肉を揉み込み、秘所に近づいてくる。



「だめ、お願い…やっ!」 
「触ってくれと言われるより興奮するんだが、わかってるのか?」
「うーっ」

 そうまで言われて、何も言えなくなってしまう。足で蹴りあげようとして、すぐに抑え込まれる。

「ジャジャ馬だな」



 手のひらだけで抑えてるのに、体が動かない。力だけじゃない、この人は人の動きを熟知してる。
 動かないんじゃなくて、私が動けないんだ。
 叶わないと知って、体の力が抜けていく。

 ふうんと呟き、私が溢れさせた雫を指で救いとり、ヌルヌルと孔の周辺を押し撫でてくる。

「ひっ…ん」
「賢い選択とでもいえばいいか?」

 入口を直に撫でられ、腰が震える。
 恐怖ではない。これは、期待だと気づいてしまった。私はこれから与えられる何かに期待してしまっている。

 整えられた爪先が私の陰唇を掻き分けて、孔の入口をにちにちと広げる。

「あ……い…やぁあ!」



 私が良く知っている太さの指が侵入してくる。
 指をきっちり中まで入れられると、かなり奥の方まで届いた。指の節が太い。ゴツゴツした骨が私の肉を捏ね回して、指先でひっかけ、快感を与えてくる。
 グチュグチュと派手に水音が上がり、羞恥で益々顔に熱が集まってくる。

「はぁっ、あっ……んんっ」

 目を瞑り、腰の下から伝わってくる快感を受け止める。
 強く、弱くと緩急を付けて探ってくる度に波のように押し寄せて身体が熱を放つ。

 膝が彼の肩まで持ち上げられて、おしりの下に彼の足が差し込まれて下半身が迫り上がってくる。
 そのまま体重をかけ、目の前に指を咥えたそれが迫ってくる。

「ひっ……やめ…見せないでっ」
「だめだよ。気持ちよくなっているところを見て欲しいんだ」



 指を入れたまま、浅い所を引っかかれる。私の肉が、ぐにゅりと伸びて、指の脇から蜜が溢れ出る。

「ひっ!」
「もっと奥か?」
「ちがっ!あぁ…」



 熱い。唇がクリトリスに押し当てられ、私がこぼした雫を吸い上げられる。
 こくり、と飲み込む音が聞こえる。
 やめて…やめて!

 唇が赤く立ち上がった粒を噛み、中に嵌ったものがゆっくり引き抜かれ、体液をまとってぬらりとひかる。
 中にめり込むように周囲の薄い襞を巻き込み、色の濃い彼の指がもう一度中に沈む。

 私の中にある空気がコポリと音を立てて排出され、指が肉壁に密着する。
 それをしつこくしつこく繰り返され、腰が勝手に動いて指を欲しがる。




 もっと、もっと欲しい。
 本能が理性を上書きして、欲望に染っていく。勝手に腰がつい動いて勢いよく奥に差し込まれる。
 突然の強い衝撃に感嘆のため息が漏れる。


「はぁ、あん…」
「気持ちよさそうだな。そんなに欲しいなら増やそうか」
「ひっっ!!──!!」


 密着した指に沿うように、もう一本がねじ込まれてくる。
 圧迫感よりも、待ち望んでいた刺激に悶え、蜜が溢れて臀部にとろりと垂れていく。

 グチュグチュと激しい音を立てながら指の角度を変えて奥に押し込まれ、上壁を擦って抽挿をくりかえす。
 一番敏感な箇所を掠めて中の指が奥へとぐりぐり押し込まれた。



「ふぁあんっ、も、いや!いやぁっ!」
「イキたいならイッていい。我慢するな」
「ひっ、あっ……っあっ!!」



 中が勝手に指を締め付け、達した衝撃で膣から甘い波が広がっていく。
 何度も痙攣する腟内の肉を受け止めながら、指が拡張するように広げられる。



「もう、いけるか」
「うぁ…」

 ヒクヒクと収縮を繰り返す口から指が引き抜かれる。

 

 臀部の双膨を力強く掴まれ持ち上げられる。
 彼が自分の昂りを引き出して、そのまま膣口にあてがう。

「ま、待って!彼女さんがいるんでしょう?だめです!」
「居ない。言い訳にしては点数が低いな」

 

 腰の下に枕が入ってくる。
 私の足を抱え直し、腰をグラインドさせて熱が侵入して来た。
 みちみち、と肉が拡がって彼を迎え入れてしまう。



「……っはぁ、あまり慣れてないな、久しぶりか?」
「うぁっ!も、やめて!」

 辞めるわけないだろ、と呟かれて、更に奥まで押し込まれる。



 大きな声が出てしまいそうになり、唇を噛み締める。
「噛むな。傷がつくだろう」



 さっきまで私の中に入っていた指が口腔内に挿入される。
 上も、下も、差し込まれたをめいっぱい咥えこんでいる事実に頭の中から痺れが広がってくる。

 膝を私の顔の近くで固定され、中から芯を引き抜き、同時に中が勝手に熱を引き絞る。
 彼の顔が快感に悶えながら歪んで、引き抜いた熱を押し込み、私の目を見つめる。
 口の中に押し込まれた指が私の舌の形を探り、まさぐってくる。溢れた涎が口の端からこぼれていく。

「んぐっ、うんっ、ん…」
「いい顔だ。素直に咥えていろ」

 

 思いっきり腰を引いて、打ち付けられる。
 ビクン、とはねた体が顎を上げて仰け反る。
 反動をつけて浅い所、深いところ、ゆっくり、ゆっくり中を広げながら抉り続ける。

 私の声がどんどん甘くなっていく。
 自分自身の声が耳から侵入して、頭の中も溶けていく。
 口の中から指が引き抜かれ、彼の手が腰をつかむ。

 ばちゅ、ばちゅ、と重く繋がる音が響く。
 甘い声と肌が打ち合わさる音に意識が集まって行く。

 「はう...くっうぅ…あぁ、あぁっ!!」

 欲望のままに叫ぶ嬌声が彼を刺激している。どんどん乱暴になって、色んな角度から膣に突き刺さってくる。



 「うぁ、あっ……引っかかっ…ひいっ」
 「いい。目が蕩けてきた」

 彼の顔で細くなった瞼から、ユラユラ光る青い瞳がじっと私を見つめている。

 中心から揺さぶられるままそれを受止め、震えて快感を拾い続けている。
 間近に迫った綺麗な顔立ちの鋭い瞳が瞬き、眉をしかめて動く度に私の身体が跳ねる。

 「あ゛っ、あ…すご、あつい…うぁ、あんっ、あっ、奥……っあっんっ……」

 遂に口が勝手に脳内の欲望をつむぎ出す。
 僅かに彼の口の端があがり、私に求められるまま腰の動きを早める。
 繰り返される動きに泡立った液体がいくつも筋を作って腰まで垂れてくる。
 目に入るもの、感じるもの全てが自分を煽ってくる。


 「んんん!!ゔあ゛っ、きもちぃっ……ひ……ぁ」



 律動がどんどん激しくなる。
 体全体がギシギシ音を立ててとめどない快楽を指の先まで届けてくる。
 涙がこぼれて止まらなくなる。
 もう、だめ…。

「イキそうならそう言え。言わないなら酷い目にあうぞ」
「……っ、うっ……!!!んあっ!!!」

 そんなこと、言えるわけない。
 顔から首まで熱がこもり、もたらされる快感に誘われて、頭の中で光がはじける。

「……っは……あっ……あ……」
 達した余韻に浸っていると、一旦止まった肉棒が引き抜かれ、一気に奥に叩きつけられる。

 「いあっ!?あっ、なん……あっ、イッてるっ!あっ、あっ……や、だめぇ……」
 「酷い目にあうと言っただろう?終わらないぞ」

 私が達したまま、挿入された昂りは抜かれずにそのまま動きを早めていく。
 腰が抜けそうなほどの快感が絶えずもたらされて、全身から力が抜けていく。

「今度は口に出すんだ。言わないと終わらない」


 「う…そっ、んぐっ……や、も、イッてる!も、ぁああ!っあ!ひぎっ…」

 体が痙攣し続けている。
 涙が止まり、彼のシャツで括られた手に力を込めようとしても力が入らない。
 身体中から完全に力が抜けていく。
 腕で膝を抱えたまま、掴まれ続けている乳房から伝わる痛みか甘く変わっていく。

 奥を抉られてごりゅ、と重い感触が伝わってくる。
 痙攣しながら柔らかく包んでいた腟内の圧力が一気に上がる。
 彼自身をちぎれそうなほど締め付けて、私にも今までに感じたことの無い快感を伝えてくる。

 強引に抜き差しされる。
 感じやすい所を集中的に抉る。
 快感を得たいと言う、自分の欲望が膨らみすぎて快感を追ってしまう。


 「うあ゛……あ゛っ……も、らめ……溶ける……溶けちゃ……う゛っ、ん゛っ」

 短時間で何度か意識が飛んで、快感で起きてを繰り返し、中がゆるみ、締まるを繰り返す。



 「……はぁっ…クソ……しぶといなあなたは」

 「むり……あ゛っ!!……っ……変なの…う、そ……またくる……うぁっ……」


 奥に奥に、穿垂れる度に先端を押し込められて、何度も達する。

 彼の顔からも汗が垂れて、私を濡らしていく。

 「……ひ……っ」

 もう、声がほとんど出ない。
 力が入らないままガクガクと揺さぶられて、身体中が熱い。
 太ももをつかみ、叩きつけられて力任せの律動を受け止める私がどんな顔をしているのかわからない。

 浅い息が繰り返され、声が完全に出なくなる。
 意識があるのに、声が出てこない。

 「ふ…声も出ないか?」


 頷く力もなくなった私は、もうずっと絶頂を繰り返し続けている。
 意識が朦朧とした中、何度か何かを聞いてくるけど、耳が音を拾わない。

 「………………」



 彼が眉を顰めて熱い固まりを奥に叩き込んで、私は真っ白な世界に身を投じた。
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