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第二十二話 ご褒美タイム?
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慧side
「どうしてこうなったの」
「へ?だって一緒に入るんでしょ?これが普通なのでは?」
浴槽に浸かっている蒼と、なぜかその下で蒼を抱えている自分。
三助するんじゃなかったのか!?
入浴剤を入れているとはいえ、蒼の体の線がはっきり見えてるし、なんで足の間にいるの?!
どう言うこと!?
「もしかしてボスともこんな密着してたの?」
「うん。端っこで入っていたら、何もしないからゆっくりしろって」
「はい、理解しました」
「???」
蒼は髪の毛をお団子にして、結い上げてる。
目の前にうなじがある。
密着した肌がスベスベして柔らかい。
落ち着け。落ち着いてくれ特に下半身。
「はーあ。慧のお家のお風呂もおっきいね。」
「そうだね」
大きくてよかった。いや、よくない?
いや、よかった。うん。
くるっと蒼が振り向き、じーっと見られる。
「な、なに?」
「慧、私が呼び方変えたの気づいてる?」
「何となく、気づいてるよ。ちゃんと文字の意味が含まれてる気がする」
「うん、そう。今までは意識してなかったけど、慧の意味を正しく理解したの。名前にピッタリだったなぁ」
文字の意味か。あんまり考えたことなかったな。
「由来は知らないんだよ。俺は孤児だから。どんな意味?賢いとかだった気がする」
「その通り賢いとかの意味合いが強いけど、人名になると将来こうなって欲しいって意味も含められるからね。
聡明で誰の心も理解できる人とか、周囲と調和がとれてどこに行っても馴染めるって言う感じ。
慧にぴったりでしょう?」
「そ、そうなの?なんか照れるな…」
蒼は本当に物知りだな……噛めば噛むほど味が出てくるスルメみたいだ。
「昴もそうだし、慧もそうだし。
チヒロはどの意味かな。明日楽しみだなぁ」
「ボスの由来も知ってるの?」
「はっ!?まさかご存じない!?ご説明しましょう!!!!」
おっと、妙なスイッチを押してしまったぞ。
━━━━━━
「はう、んやっ」
「……マジかぁ」
ボディーソープをつけて、蒼を洗ってる。
嘘だよね?この声。ボスはこれに耐え抜いたの?下半身はすでに理性の制御化を外れました。
「はぁ、くすぐったい……」
「蒼、目を瞑っててください」
「はぇ?なんで?」
「少々都合が悪いです」
「???わかった」
目を閉じた蒼を見て思い悩む。
ボス本当に我慢したの???
「蒼、ボスは体洗う時どうしてた?」
「へ?普通に……あっ!なんか途中から素数を数え出してたよ」
「それだ!2、3、5、7、11、13、17、19、23、29」
「えっ?慧もやるの?んひゃっ。んんっ、そこだめ……」
「くっそ……31、37、41、43、47、53、59、61、67、71、73、79」
「んっ、慧、そこもうちょっと擦って?」
「83、89、97!!あーっ!終わった!もう一回。2、3、5、7、11、13」
「あはは!慧も面白いっ!ふふふ」
早く、早く終わって!!!こんなの生殺しもいいところだ!!!
━━━━━━
「生殺しは続行されるのであった」
「生?殺しに生も何もあるの?」
「気にしないで」
「うん?」
どうして俺はセミダブルでいいか、なんて適当にベッドを買ったんだ。
どうして蒼は当たり前にくっついてるんだ。嬉しいけど。
そして持ってきたパジャマが何でキャミソールなの!下はホットパンツだし。
どうやって我慢すればいい?素数はもう無理。
「慧?どしたの?そんなに目をギューっとしたら痛いよ。今日たくさん泣いたんだから」
蒼が至近距離で瞼をサワサワと触ってくる。
「大変危険なので、触れないで下さい」
「慧の方が敬語になってる。事務所でも言ってたけど、何が危険なの?」
至近距離で、今日散々好きだと思い知らされた子が見つめてくる。
ふっくらしたほっぺがかわいい。
下唇の方が厚いんだな…プルプルしてる。
最初に会った日はそんな感じじゃなかったけど、ボスに散々愛でられてるから花が開くように蒼は綺麗になってる。
元々綺麗な人だとは思うけど、感情が見えるようになって破壊力が増してる。
ふと、唇にキスが落とされる。
「え?」
「あれ。ごめん。つい…」
「ボスと間違えた?」
部屋の明かりは薄暗い。真っ暗が苦手だから一番暗くしてあるけど、灯りがついてる。ギリギリの理性がありえない事をつぶやいた。
「間違えるわけない。慧は慧でしょ。キスしたかったの…たぶん」
「…蒼、そう言うこと言うと食べちゃうよ?蒼がはっきりわかるまでは手出ししないって決めたんだ」
「そうなの?…でも、待って。私はまだそうはっきりとはアレだけど、みんな…どういう…?」
「俺はしたよ。ボスも多分してる。チヒロも区切りがつかないだけだよ」
びっくりした顔になる蒼。
「どうして…?私まだ何の役にも立ってない」
「そんな事ないよ。俺は救われたし。そもそもそれも関係なかったよ。俺はボスの部屋で初めて見た時からかも。布団から出てきた時に可愛くてびっくりしたんだ。」
「そ、そんなの…な、なんでそれで?慧の話しは私が勝手に怒っただけだし、それに…えぇと…うぅ…」
すっかり身軽になった自分の耳を触る。
何にもついてないから、馬鹿みたいに軽い。
耳元でずっと音を立てていた鎖を引きずるような金属音も、しなくなった。
「ううん。蒼は俺たちにいつも何かをくれてる。
蒼にだって俺たちは何にもしてない。どちらかと言えばムリな生活をしいてるんだよ。
それでもこうして笑ってくれる。それがどんなに俺たちの救いになっているか、説明は難しいな。最初から蒼はそうだった」
「……そう、なの?あの、私でいいの?慧は…」
「蒼がいい。蒼じゃなきゃ嫌だ。蒼の心を掻き乱すのは嫌だから、まだ言わないけど。伝わるでしょ?」
小さな手をとって、指先に口付ける。
好きだよ。蒼がすきだ。
伝えられないけど、ちゃんと蒼が好きなんだ。
「…うん…」
真っ赤になった蒼が指先を見つめてる。
包帯を巻き直して真っ白の指先を。
「先に言っておくけど、選んでも、選ばなくてもいいんだからね」
「???どう言うこと?」
「俺たちの誰を選んでもいい。一人だけにしなくたっていい。誰も選ばなくてもいい。…そう言うこと」
「それだと、なんか良くないんじゃなかった?」
「普通はね。俺たちは普通じゃないでしょ?それなら蒼が選んだ通りでいいんだよ。誰が選ばれても恨みっこなし。三人なら逆ハーレムだし、誰も選ばなくてもそのままだ」
「なんか私だけ偉そう…」
「偉いと言うか。んー。選ぶ立場ではあるねぇ。俺たちは待ってる子羊ちゃんだよ。それこそナイトが指名してくれるのを待つ、お姫様かな?」
「そう言われるといい気がしてくるね?」
「ナイトがいいんだもんね?」
ふふ、とお互い笑う。
できれば自分を選んで欲しいけど。
蒼の寿命の事を考えると全員地獄の3丁目に足を突っ込んでいるようなものだ。
蒼の気持ちが決まれば、出身施設は潰す。
もう、三人でそう決めた。蒼に話すかどうかはまだ決めてない。
その前にボスとチヒロの内情も片付けなきゃならないし、蒼にはある程度身を守れるようになってもらわないといけない。
「ねぇ、慧。もう一回キスしたいとか言ったら、どうする?」
「いいの?」
「いいと言うか、慧の気持ちを利用してるような気が…んむっ!?」
言い終わる前に唇を塞ぐ。
そんな事、気にしなくていい。
利用してよ。俺はキスしたいんだ。
首の下に手を通して、後頭部を抱えて腰を引き寄せる。
くっついた胸の鼓動がお互い早い。
「ふぁ、ん」
息継ぎをしながら角度を変えて蒼の舌を夢中で吸い上げる。
口の中に広がる蒼の声。頭の中が溶けていく。
「は、はあ、はぁ…」
「息継ぎへたっぴだね?」
「むう。こう言うキスしたの、昴がはじめてだったの!経験不足なの。」
「あー。そう言うことか…」
首筋にキスを落として、一つだけキスマークをつける。
明日になるのがこんなに嫌だと思った事はない。一つくらい、いいでしょ。
「ね、それ私もしたい」
「ん?キスマーク?」
「そう。」
「いいよ。お好きにどうぞ」
キラキラ目を輝かせながら、蒼がのしかかってくる。
俺のスウェットをたくし上げ、胸元にちゅーっと吸い付いた。
そこなの!?
くっ、完全に良くない体制です。
腹に力を入れて、ぎりぎりで理性を繋ぎ止める。
「んー?あんまりつかないね」
「き、筋肉あるとつきにくい?らしいよ」
「ちょっと脱いで欲しいな」
「わー、はーい。了解でーす」
もう、無になる。それしかない。
頭の中を空っぽにして、上着を脱ぎ捨てた。
五体投地。なるようになれ。
「どこならつくのかな。ここ?」
「んっふ」
鎖骨の上に食いつかれる。
ちょっと!ペロペロしないで!
「こっちかな?」
「うっ!」
今度は脇腹。
うんうん唸りながら上半身をくまなく吸われて、俺は完全にヤバい仕上がりになる。
体の熱が排出できない。
「蒼…ごめん。ちょっと暴走しそう。中止して?」
「暴走?あっ…ごめん。いじめちゃった」
蒼のお尻の下で完全に元気になってしまったアレに気づかれました。
「ねぇ?一人だけじゃなくても、本当にいい?」
「…この状態で聞いてくる危険性を蒼はわかって欲しいなぁ」
「慧はそればっかりだね?」
柔らかいお尻が股間を刺激してるんですけど。
そのまま体の上に蒼が寝転ぶ。
両腕で抱きしめて、足で挟み込む。
蒼を捕まえたような気分だ。悪くない。
「あったかいなぁ。慧も体鍛えてるんだね」
「そりゃあ体が資本だしね」
「私もムキムキになるかな」
「ふっ、蒼はこのままでいいよ」
ふわふわの蒼の体を触る。
蒼って結構おっぱい大きい。
着痩せするタイプなのかな。
腰も細いし、お肉がちょうどいい感じについてて本当に柔らかい。
「チヒロの順番が終わったら、ちゃんとお話しするからね」
「ん、待ってる」
「ごめんね。すぐに答えられなくて…」
「謝らなくていいの。俺は話を聞いてもらえて、蒼が想像してたのと全然違う反応ですごく嬉しかった。もう、それだけでいい」
蒼が蠢いて、尺取り虫のように上がってくる。
「キスしなくていいの?」
「それはしたい」
いたずらっ子のように笑う蒼。
かわいい。可愛くて仕方ない。
ぷにぷにのほっぺを触って、ホッとする。
ボスとチヒロは秘密を明かせるんだろうか。
そして、それを蒼は受け止められるんだろうか。
いや、どうなっても蒼には俺がいる。
大丈夫。
「何があっても俺がいるからね。忘れないで」
「…口説かれてるみたいだね?」
「正しく口説いてます」
「そう、なの…」
ヤキモキするな。複雑な気持ちだけどこれも悪くない。こんな気持ちはじめてなんだけど。
蒼が来てからこんなことばかりだ。
生活に色がついたように全てが息づいてる。
ことん、と胸の上に頭が落ちる。
すうすうと寝息を立てる蒼をそっと抱きしめ、頭にキスを落とした。
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最後は想像してなかった展開でビックリして
でも最後は『本当に良かったあー😂』って思える作品です。
2度ほど読んでて
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慌てて、また読み返しました。
なんかこの作品がもう読めなくなるのは寂しい。って思ってたら
Nolaノベル?というサイトで読めるのが分かったので
これからは、そちらの方で読ませていただきます❤️
素晴らしい作品と今更ながら出会えたこと本当に嬉しく思います( ᐪ ᐪ )1話から楽しく蒼や昴、千尋、慧、宗介、組織のメンバーやファクトリーの仲間達、他にもたくさんの魅力的なキャラクターと出会えて最高でした、!最後まで飽きることなく号泣したり興奮したりして楽しませて頂きました!また恋しくなったら再読したいなと思います😊