モブっと異世界転生

月夜の庭

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モフモフのモブ

5歳になったので神殿に赴きます

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「サクラは白いリボンが似合うわね。可愛い黒い尻尾にも結んであげるね」

ニコニコ笑った優しいアンジェお姉様と一緒に、5歳の誕生日を迎えた私が神殿に赴き属性を鑑定してもらうので、私の部屋でお出かけ用にオシャレしていました。

綺麗に黒髪を白いリボンも一緒に編み込んで三つ編みにしてくれて、髪とお揃いのリボンを尻尾にも結んでくれた。


水色エプロンドレスの様なワンピースを着ていて、白いハイソックスにも水色リボンが付いています。


まるでアリスの仮装でもしてる気分です。


アンジェお姉様も、お揃いのエプロンの色違い………もちろんヒロイン色のピンクのエプロンドレスみたいなワンピースを着ています。


先に支度が終わったカメリアは、青い同じデザインのワンピースを着てソファで寝ている。


事情が事情なのでアンジェお姉様は5歳の属性鑑定をしていないので、私達と一緒にしてもらう予定です。


聖属性なのは決定なのに、なぜ鑑定するのかと思っていたけど、御両親が病気で亡くなった時は臨時の調査結果であって、とりあえず聖属性だけが判明しただけで、正式な鑑定はしてなかったそうです。

ヒロイン補正の予感がします。


女の子同士なのもあり、アンジェお姉様と私は良好な関係を築いていました。


だがしかし!なぜかジャスパーお兄様とノエルが、アンジェお姉様に近寄りません。


「アンジェお姉様もピンクが似合って可愛い」


「ありがとう、サクラ」


「「ふふふ♡」」


一緒に手を繋いで玄関に来ると、既に準備が整った両親とジャスパーお兄様とノエルが待っていました。


私達の後ろから、まだ寝足りないのか船を漕ぎながら付いてくるカメリアが可愛いです。


黒いブレザーに半ズボン姿のノエルは水色蝶ネクタイを付け、黒いスーツを着て水色のネクタイを絞めたジャスパーお兄様を見ると………あれ?お兄様って私達って似てない気がする。


アッシュグレーだから、分かりにくいけど赤味がかった人は居ないので、まるで間違い探しみたいです。


お父様とお母様は青みが強い。


アンジェお姉様ほど、わかり易い色の違いではないけど、顔立ちも両親とは違う気がしました。


顔は、私とノエルは お母様似で、カメリアはお父様似です。


「可愛いよ、サクラ」


すかさず階段下まで迎えに来てくれたジャスパーお兄様が、蕩ける笑顔で褒めてくれる。


「アンジェお姉様とお揃いなの」


「そうだね。でも僕ともネクタイとワンピースの色が、お揃いだね」


「ホントだ」


「僕も一緒だもん」

2人の反応に、私と繋ぐアンジェお姉様の手がビクリと震えた。


よく見ると仲間外れみたいです。


でも、ワンピースは私とお揃いだし!お母様のドレスも薄桃色だから!!


「アンジェお姉様とお揃いのデザインで、色はお母様とお揃いだね」


ついでに、お父様のネクタイも薄桃色です。


「………ありがとう」


どこかホッとした顔のアンジェお姉様が、必要以上に家族に気を使っている気がして心配になります。


「それより、サクラは僕が抱っこするからね」


アンジェお姉様から引き剥がす様に、ジャスパーお兄様に縦抱きにされた。


なぜに?


コテっと小首を傾げながら見詰めていると、おでこにチュッと音を立ててキスされた。


「お姫様が転ばないようにね」


「兄様………サクラの独り占め反対!」


ノエルが抗議しながら、私を取り返そうとしている。


「お前には、まだサクラを抱っこ出来ないだろう?」


ジャスパーお兄様が、ヒラリとノエルを躱す。


「出来るよ」


「チビには無理だよ」


「これこれ。喧嘩するならサクラは俺が抱っこする」


見兼ねた お父様に抱き上げられた。


「お父様の抱っこでいいか?」


「うん。お父様も大好き」


「サクラ………俺の天使」


「そのうち”うざい”とか”臭い”って嫌われろ」


「ジャスパー、お前は父親に向かって」


「聞こえな~い」


スタスタと玄関から出て行くジャスパーお兄様。


「あたちも」


抱っこしてとカメリアがお父様に向かって両手を広げれば、私を右腕で抱っこし直し、左腕にカメリアを抱っこした。


これは眠くて歩きたくないだけかな(笑)


「お父様、力持ち♡カッコイイ♡」


「そうか?!カッコイイか!」


凄~いと素直に褒めれば、嬉しそうにお父様が笑ってくれた。


お父様の肩越しにアンジェお姉様の肩を抱き寄せる お母様と、渋々付いてくるノエルが見える。


まだ20代の若い両親………あっ!年齢が合わない?!もしかしてジャスパーお兄様って、本当の兄では無いとか?


若くして両親、私にとっては祖父母が亡くなり男爵家を継いだお父様。


肖像画の祖父は黒猫に祖母はグレーで、お母様の両親はグレーの虎柄とシルバーグレーだったらしい。


…………止めよう。ジャスパーお兄様もアンジェお姉様も大好きです。


深堀りはよくありません。


気を取り直して神殿へLET'S GO!!


そして結論から言うと、ヒロイン補正………ございました。


祭壇に登り大きな水晶にアンジェお姉様が手を乗せるとピンクと金色の光が放たれた。


流石だよヒロイン。


先に鑑定を済ませたノエルは赤と青で、お父様の火と、お母様の水が使える様です。


カメリアは紫色だったので闇属性らしいです。


「カメリアが寝坊助なのは、闇属性だったからだな」


カラカラと笑う お父様の言う様に、闇属性の人は夜行性が多く、闇属性の魔法は魔力の消費量が著しいので回復する為なのか寝るのが好きな人が多いのが最大の特徴なんです。


ノエルの2色も凄いからザワついたけど、かなり珍しい聖属性持ちが現れて更に場が騒然となった。


ピンク色の光は過去に例が無いそうで、神官たちが右往左往してる。


さっさと一番最初に鑑定を済ませたカメリアはお父様の膝で丸くなって寝ている。


最後は私なんだけど………やりずらいわぁ。


仕方ありません。どうせモブだし腹をくくって水晶に手を乗せると青に緑に白がグラデーションして溶け合うオーロラみたな光が放たれた。


「うっそ~ん」


アンジェお姉様程ではないけど、私も珍しい3色持ちでした。


青の水と緑の木と白の光だから、力を使ったら森が出来そうです。


「やっぱり、僕の天使は特別だ」


鑑定結果にジャスパーお兄様が嬉しそうに抱き締めてきた。


「僕の心の闇を癒してくれるのはサクラだけだ」


頭上で何やらお兄様が呟いた気がするのに、聞き取りずくて分からなかった。


私もカメリアと一緒で黒髪だから闇属性が来るかと思ったけど、以外にも光属性だったのでビックリしていました。


そして鑑定書を見て更に驚愕しました。


なぜなら無属性を加えた4属性持ちだった事が判明しました。


オーロラみたいに光が揺れたのは、無属性の影響があったようで、無属性持ち達は必ず2属性以上所持してるので不思議では無いとの手紙が添えられていました。


モブの私にチートなんか要らないって!
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