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雨が降った気がしたんだ
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「雨が降った気がしたんだ」
彼は空を見ながらそう呟いた。
私と彼が出会ったのは2年前だ。
正確には1年と9か月前。
大学のゼミが一緒で少しずつ仲良くなった。
彼はその時失恋したすぐ後でその相談や愚痴を聞いていた。
そして私は彼のために合コンを開いてやることにした。
彼はそこで私の友達のAと仲良くなった。
そして幾分か経ったあと「付き合うことになった」と照れながら私にそう言った。
私は心から祝福をして、彼の口から出てくるのは愚痴から惚気へと変わった。
然し、付き合い数ヶ月くらい経った頃のこと彼が少し不機嫌そうにしていた。
私は何故だか聞いてみた。すると彼は不思議なことを言い始めた。
「Aとデートをすると毎回雨なんだ。遊園地だって、室内だってどこでだって雨だ。花見に行こうとしても雨だったこの前なんかは…」と、彼はそういうことを私に言った。
私は少し笑ってしまった。
「ふふ。それは、彼くんの思いこみすぎじゃないのかい?偶だよ。」そう私が言うと彼は少し不機嫌そうに、でも心は少し晴れたみたいで「そうだな。けど毎回こうじゃ僕の予定も狂うんだよ。」そう言った。
4月のよく晴れた日だった。
彼によると彼女はとても落ち着いている子らしい。
彼は少し短気でおっちょこちょいな所もあるから丁度良いと私は思う。
彼の口からそれっきり愚痴は効かなくなったが、彼に聞いたデート日は毎回雨だった。
天気予報なんて意味がなくてずっと雨だった。
Twitterの裏垢には「雨死ね」と毎回のように書かれていた。私は死ぬほど笑った。
ある時彼は彼女に冗談半分でこう言った。
「君は雨女か?それも生粋の。君といるといつも雨で不便だ。僕の予定はいつも狂ってしまうじゃないか。どうすればこの雨は止む?」
彼女は静かにこういったらしい。
「私が死ねば、かしら?」
彼はそれを重くは受け止めなかった。そして
「そうか。なら死んでくれ」
そう彼は言った。笑いながら、そして彼女も笑っていた。
当然死ぬ訳もなく、またいつもの様に雨は降った。
彼と出会って1年と半年が経った時だった、彼は学校を休んだ。何故だか連絡はなかった。いつもなら連絡はあるはずのに。不思議と雲ひとつないよく晴れた日だった。
次の日くらいに彼から連絡が来た。
内容は「彼女が死んだ。」というものだった。
信じられなかった。
理由を聞いたがそれ以上の返信はなかった。
彼の家も何も知らなかったから私にはどうすることも出来なかった。
調べるのも野暮な気がして彼からの連絡を待っていた。
それから3ヶ月くらい経ったあと久しぶりに彼から連絡が来た。
「気持ちに整理がついた。一緒に墓参りに行かないか。」
死んだ理由は聞けなかった。聞いては行けない気がした。
殺されたのかもしれない。病気か、自殺か。
聞けなかった。
次の日、彼とお墓参りに行った。
彼はだいぶ窶れていて、大学で待ち合わせをして一緒に車で行ったのだがその間会話も何も無かった。
「おはよう。久しぶりだね」そう小さく呟いただけだった。
墓地に着くと、ゆっくりとゆっくりとした足取りで彼はお墓に向かった。そこには彼女のお墓があった。ちゃんと会った。献花が置かれ、彼も皆と同じようにそうした。
そして手を合わせた。
彼は突然空を見上げた。
私は「どうしたの?」と聞いた。
彼は静かに晴れた空に向かって
「雨が降った気がしたんだ」そう呟いた。
私は何も言わず彼を見ていた。
彼は空を見ながらそう呟いた。
私と彼が出会ったのは2年前だ。
正確には1年と9か月前。
大学のゼミが一緒で少しずつ仲良くなった。
彼はその時失恋したすぐ後でその相談や愚痴を聞いていた。
そして私は彼のために合コンを開いてやることにした。
彼はそこで私の友達のAと仲良くなった。
そして幾分か経ったあと「付き合うことになった」と照れながら私にそう言った。
私は心から祝福をして、彼の口から出てくるのは愚痴から惚気へと変わった。
然し、付き合い数ヶ月くらい経った頃のこと彼が少し不機嫌そうにしていた。
私は何故だか聞いてみた。すると彼は不思議なことを言い始めた。
「Aとデートをすると毎回雨なんだ。遊園地だって、室内だってどこでだって雨だ。花見に行こうとしても雨だったこの前なんかは…」と、彼はそういうことを私に言った。
私は少し笑ってしまった。
「ふふ。それは、彼くんの思いこみすぎじゃないのかい?偶だよ。」そう私が言うと彼は少し不機嫌そうに、でも心は少し晴れたみたいで「そうだな。けど毎回こうじゃ僕の予定も狂うんだよ。」そう言った。
4月のよく晴れた日だった。
彼によると彼女はとても落ち着いている子らしい。
彼は少し短気でおっちょこちょいな所もあるから丁度良いと私は思う。
彼の口からそれっきり愚痴は効かなくなったが、彼に聞いたデート日は毎回雨だった。
天気予報なんて意味がなくてずっと雨だった。
Twitterの裏垢には「雨死ね」と毎回のように書かれていた。私は死ぬほど笑った。
ある時彼は彼女に冗談半分でこう言った。
「君は雨女か?それも生粋の。君といるといつも雨で不便だ。僕の予定はいつも狂ってしまうじゃないか。どうすればこの雨は止む?」
彼女は静かにこういったらしい。
「私が死ねば、かしら?」
彼はそれを重くは受け止めなかった。そして
「そうか。なら死んでくれ」
そう彼は言った。笑いながら、そして彼女も笑っていた。
当然死ぬ訳もなく、またいつもの様に雨は降った。
彼と出会って1年と半年が経った時だった、彼は学校を休んだ。何故だか連絡はなかった。いつもなら連絡はあるはずのに。不思議と雲ひとつないよく晴れた日だった。
次の日くらいに彼から連絡が来た。
内容は「彼女が死んだ。」というものだった。
信じられなかった。
理由を聞いたがそれ以上の返信はなかった。
彼の家も何も知らなかったから私にはどうすることも出来なかった。
調べるのも野暮な気がして彼からの連絡を待っていた。
それから3ヶ月くらい経ったあと久しぶりに彼から連絡が来た。
「気持ちに整理がついた。一緒に墓参りに行かないか。」
死んだ理由は聞けなかった。聞いては行けない気がした。
殺されたのかもしれない。病気か、自殺か。
聞けなかった。
次の日、彼とお墓参りに行った。
彼はだいぶ窶れていて、大学で待ち合わせをして一緒に車で行ったのだがその間会話も何も無かった。
「おはよう。久しぶりだね」そう小さく呟いただけだった。
墓地に着くと、ゆっくりとゆっくりとした足取りで彼はお墓に向かった。そこには彼女のお墓があった。ちゃんと会った。献花が置かれ、彼も皆と同じようにそうした。
そして手を合わせた。
彼は突然空を見上げた。
私は「どうしたの?」と聞いた。
彼は静かに晴れた空に向かって
「雨が降った気がしたんだ」そう呟いた。
私は何も言わず彼を見ていた。
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