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「ゼロから千まで」9話
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「ゼロから千まで」9話
ある日、千歳は放課後に百合愛と一緒に校庭横にある小道を歩いていた。千歳はそこに植えられてある銀杏の木を登るのが好きだった。百合愛もいるので一番下にある太い枝に腰掛け、下にいる百合愛と二人でお喋りをしていた。
百合愛と零一はどこか似ていた。聞き上手なところや包容力があるような、居心地の良さを自分にくれる。もちろん二葉たちのように一緒に馬鹿騒ぎしてくれる友人も大好きだが、百合愛のようなゆっくり時間を味わえる友人も千歳は好きだった。
そんな時間に遠くの方から男子たちの声が聞こえてきた。
「あ、また登ってるよ木登り娘。」
「また風紀の防木に怒られるぞー」
部活終わりなのか、サッカー部たちが体操着のままこちらへ歩いてくる。その中には零一の姿もあった。相変わらず零一とは目が合わなかったが、千歳は気にせず男子たちに話しかける。
「ねーねー、この木の実って生で食べれるの?」
「うわ、こいつ食う気してるぞ」
男子たちが若干引き気味に笑っていると、一人の男子が百合愛に話しかけた。
「須藤さん、大変だね。いっつもこれに付き合ってるの」
「私は楽しいよ?」
「須藤さんはお前と違ってお心が広いんだよ。」
「なんだと!」
どうやら男子たちが用があったのは百合愛の方だったらしく、気がつけば百合愛の周りはサッカー部で囲まれていた。千歳は呆然と木の下からその様子を眺めていたが、次第に飽きて外の様子を眺め始めた。
「な、霧崎もそう思うだろ?」
「え?うん。」
零一の声が後ろから聞こえる。
「須藤さんもその小説好きなんだ。」
「うん。結構色んな小説読むよ?」
「へー」
その日からだった。零一と百合愛が話をするようになったのは。徐々に二人の間は縮まっていき、最終的には二人で一緒にお昼まで食べるようにまでなっていた。千歳は百合愛と過ごす代わりに二葉たちと過ごす時間が増えた。周りから見ても二人が仲が良くなっているのは一目瞭然だったのか、あんなに二人の周りに群がってきていた生徒たちは一人もいなくなった。よく分からないが、三来曰く自分が負けると分かっている戦いはみんな挑まないものだそうだ。
そんな状態が一ヶ月以上続き、千歳たちは二年生になった。二人とは違うクラスになったが、たまに百合愛とは話すこともあった。
もう桜が散り終わった頃、百合愛とお昼を共にした。教室の端で一緒に弁当を食べるのは久しぶりだった。祖母が揚げてくれた唐揚げを口いっぱいに頬張っていると、百合愛は箸を置いて俯いていた。千歳は百合愛がお腹を壊したのだと思い、「大丈夫?トイレ行く?」と声を掛けたが、百合愛は小さく首を振った。
「私ね、零一くんと話すようになって、彼の優しくて気配りができるところ、好きだなって思ったの。」
千歳は黙っておにぎりを咀嚼しながら百合愛の話に耳を傾ける。
「だから、私告白しようと思うの。」
百合愛の言葉に頬張っていたおにぎりが勢い良く喉を通っていった。咽せそうになったが、何とか堪えた。
「そっか。がんばれ!」と喉を押さえながらガッツポーズを取る。その姿を見て百合愛は嬉しそうに微笑んでいた。
驚きはしたが、千歳は本当に純粋に百合愛の恋路を応援していた。だって、百合愛は大事な友人なのだから。
ある日、千歳は放課後に百合愛と一緒に校庭横にある小道を歩いていた。千歳はそこに植えられてある銀杏の木を登るのが好きだった。百合愛もいるので一番下にある太い枝に腰掛け、下にいる百合愛と二人でお喋りをしていた。
百合愛と零一はどこか似ていた。聞き上手なところや包容力があるような、居心地の良さを自分にくれる。もちろん二葉たちのように一緒に馬鹿騒ぎしてくれる友人も大好きだが、百合愛のようなゆっくり時間を味わえる友人も千歳は好きだった。
そんな時間に遠くの方から男子たちの声が聞こえてきた。
「あ、また登ってるよ木登り娘。」
「また風紀の防木に怒られるぞー」
部活終わりなのか、サッカー部たちが体操着のままこちらへ歩いてくる。その中には零一の姿もあった。相変わらず零一とは目が合わなかったが、千歳は気にせず男子たちに話しかける。
「ねーねー、この木の実って生で食べれるの?」
「うわ、こいつ食う気してるぞ」
男子たちが若干引き気味に笑っていると、一人の男子が百合愛に話しかけた。
「須藤さん、大変だね。いっつもこれに付き合ってるの」
「私は楽しいよ?」
「須藤さんはお前と違ってお心が広いんだよ。」
「なんだと!」
どうやら男子たちが用があったのは百合愛の方だったらしく、気がつけば百合愛の周りはサッカー部で囲まれていた。千歳は呆然と木の下からその様子を眺めていたが、次第に飽きて外の様子を眺め始めた。
「な、霧崎もそう思うだろ?」
「え?うん。」
零一の声が後ろから聞こえる。
「須藤さんもその小説好きなんだ。」
「うん。結構色んな小説読むよ?」
「へー」
その日からだった。零一と百合愛が話をするようになったのは。徐々に二人の間は縮まっていき、最終的には二人で一緒にお昼まで食べるようにまでなっていた。千歳は百合愛と過ごす代わりに二葉たちと過ごす時間が増えた。周りから見ても二人が仲が良くなっているのは一目瞭然だったのか、あんなに二人の周りに群がってきていた生徒たちは一人もいなくなった。よく分からないが、三来曰く自分が負けると分かっている戦いはみんな挑まないものだそうだ。
そんな状態が一ヶ月以上続き、千歳たちは二年生になった。二人とは違うクラスになったが、たまに百合愛とは話すこともあった。
もう桜が散り終わった頃、百合愛とお昼を共にした。教室の端で一緒に弁当を食べるのは久しぶりだった。祖母が揚げてくれた唐揚げを口いっぱいに頬張っていると、百合愛は箸を置いて俯いていた。千歳は百合愛がお腹を壊したのだと思い、「大丈夫?トイレ行く?」と声を掛けたが、百合愛は小さく首を振った。
「私ね、零一くんと話すようになって、彼の優しくて気配りができるところ、好きだなって思ったの。」
千歳は黙っておにぎりを咀嚼しながら百合愛の話に耳を傾ける。
「だから、私告白しようと思うの。」
百合愛の言葉に頬張っていたおにぎりが勢い良く喉を通っていった。咽せそうになったが、何とか堪えた。
「そっか。がんばれ!」と喉を押さえながらガッツポーズを取る。その姿を見て百合愛は嬉しそうに微笑んでいた。
驚きはしたが、千歳は本当に純粋に百合愛の恋路を応援していた。だって、百合愛は大事な友人なのだから。
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