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「ゼロから千まで」8話
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「ゼロから千まで」8話
顔の良し悪しなど、永遠千歳にとっては些細なことであり、気にするものではなかったが、どうやら霧崎零一は所謂イケメンというやつならしい。二葉たちが言っていたが、サッカー部の花形選手というやつでもあるらしい。あんなに一緒に泥遊びして顔を泥塗れにしていた零一が嘘みたいに黄色い声援を送られていた。千歳はそんな零一をただ呆然と眺めていた。
一方、同じ高校に入学した百合愛にも異変が起きていた。どうやら百合愛も所謂美女というやつならしい。クラスの男子たちが彼女へ異性として見る目が強くなっているのを千歳は何となく感じていた。いつもひっそりと学校生活を送っていた百合愛はこの異変に辟易している様子だったが、変わらず千歳との会話を楽しんでいる様子だった。
千歳からしてみれば二人はよく自分と一緒にいてくれる仲の良い友人たちという括りであり、それ以上でもそれ以下でもなかった。しかし、周りからの評価は止まることを知らず、気がつけば二人は学校でも有名な美男と美女として扱われるようになった。百合愛に千歳が話しかける度に百合愛の優雅さが際立ち、みんなからの評判は上がっていった。千歳からしてみれば何だか目の前にいる友人はまるで神話に出てくる女神か何かのように見え始めていた。
それは零一も同じで、彼に取り入ろうとする女子やその女子のお溢れを頂こうと画策する男子が彼の周りに集まっているから気をつけろと世羅に教えられた。千歳もあの入学式の日のことを思い出しては彼に話しかけ辛くなっていた。
小学生の頃は木に登って実を食べようとする千歳を下で心配そうに見ていた零一は、今は離れた場所でこちらを眺めているだけだった。まるで見知らぬ問題児の生徒を見る保護者のような目をしていた。一緒に遊んでいた零一はそこにはいないことを千歳は察した。
前にいつもの三人組とお喋りをしていた際にうっかり「れいちゃん」と零一を呼んでしまったことがあるが、あの時は三人が大慌てで千歳を止めてきた。
「ファンの子になんて言われるか分かんないよ!」
「霧崎のこと神格化してる感じあるから、みんなの前ではせめて零一くんってくん付けしな!」と強目に注意された。
初めは零一と関わらない毎日に違和感を覚えていたが、その感覚も徐々に薄れていった。
寂しさという感情はゼロではなかったが、それよりも彼女は零一が楽しそうに学校生活を送っていることに喜びを感じていた。保育園の頃から彼が千歳以外の子と仲良くしているところを見たことがなかった。サッカーを習ってはいたが、チームメイトとは良くも悪くも何も無さそうだった。ただチームの歯車として真面目にプレイしている、といったイメージだった。控え目な性格な彼にグイグイ話しかける千歳が一番友人関係を長続きさせることができていたのだ。
そんな零一がたくさんの友人を作り、部活も上手くいき、みんなから憧れの目で見られ、期待されている零一を千歳はただ眺めていた。それだけでなんだか幸せを感じられたような気がしたのだ。
だから、誰にも零一のことは言わなかった。いや、言う機会など無かったし、千歳と零一が幼馴染だなんて、今の状況を見た誰もが気づくはずも無かったのだから。
顔の良し悪しなど、永遠千歳にとっては些細なことであり、気にするものではなかったが、どうやら霧崎零一は所謂イケメンというやつならしい。二葉たちが言っていたが、サッカー部の花形選手というやつでもあるらしい。あんなに一緒に泥遊びして顔を泥塗れにしていた零一が嘘みたいに黄色い声援を送られていた。千歳はそんな零一をただ呆然と眺めていた。
一方、同じ高校に入学した百合愛にも異変が起きていた。どうやら百合愛も所謂美女というやつならしい。クラスの男子たちが彼女へ異性として見る目が強くなっているのを千歳は何となく感じていた。いつもひっそりと学校生活を送っていた百合愛はこの異変に辟易している様子だったが、変わらず千歳との会話を楽しんでいる様子だった。
千歳からしてみれば二人はよく自分と一緒にいてくれる仲の良い友人たちという括りであり、それ以上でもそれ以下でもなかった。しかし、周りからの評価は止まることを知らず、気がつけば二人は学校でも有名な美男と美女として扱われるようになった。百合愛に千歳が話しかける度に百合愛の優雅さが際立ち、みんなからの評判は上がっていった。千歳からしてみれば何だか目の前にいる友人はまるで神話に出てくる女神か何かのように見え始めていた。
それは零一も同じで、彼に取り入ろうとする女子やその女子のお溢れを頂こうと画策する男子が彼の周りに集まっているから気をつけろと世羅に教えられた。千歳もあの入学式の日のことを思い出しては彼に話しかけ辛くなっていた。
小学生の頃は木に登って実を食べようとする千歳を下で心配そうに見ていた零一は、今は離れた場所でこちらを眺めているだけだった。まるで見知らぬ問題児の生徒を見る保護者のような目をしていた。一緒に遊んでいた零一はそこにはいないことを千歳は察した。
前にいつもの三人組とお喋りをしていた際にうっかり「れいちゃん」と零一を呼んでしまったことがあるが、あの時は三人が大慌てで千歳を止めてきた。
「ファンの子になんて言われるか分かんないよ!」
「霧崎のこと神格化してる感じあるから、みんなの前ではせめて零一くんってくん付けしな!」と強目に注意された。
初めは零一と関わらない毎日に違和感を覚えていたが、その感覚も徐々に薄れていった。
寂しさという感情はゼロではなかったが、それよりも彼女は零一が楽しそうに学校生活を送っていることに喜びを感じていた。保育園の頃から彼が千歳以外の子と仲良くしているところを見たことがなかった。サッカーを習ってはいたが、チームメイトとは良くも悪くも何も無さそうだった。ただチームの歯車として真面目にプレイしている、といったイメージだった。控え目な性格な彼にグイグイ話しかける千歳が一番友人関係を長続きさせることができていたのだ。
そんな零一がたくさんの友人を作り、部活も上手くいき、みんなから憧れの目で見られ、期待されている零一を千歳はただ眺めていた。それだけでなんだか幸せを感じられたような気がしたのだ。
だから、誰にも零一のことは言わなかった。いや、言う機会など無かったし、千歳と零一が幼馴染だなんて、今の状況を見た誰もが気づくはずも無かったのだから。
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