忠誠心は、偽りの仮面で。

はらぺこ

文字の大きさ
1 / 4

影の門

しおりを挟む
この世界は、平等ではない。

善良な人々が損をし、悪党たちが栄光を手にする。

もし、国家の「内部」に足を踏み入れ、自分自身の手で「真実」に触れることができたなら…。
僕は…きっと、父を救えた。

 薄明かりが差し込む小さな部屋。

古びたカーテンが風に揺れ、湯気がゆっくりと立ち上る。
朝食の香りが広がる中、どこか寂しさが漂っていた。

シンは木製の机の前に座り、制服のネクタイを結びながら、鏡越しに母の姿を見ていた。

母・ユリは痩せていたが、静かな強さをその背中に滲ませている。

窓の外には、朝霧が立ち込め、世界をぼやけさせていた。
「シン、ごはんできたよ」

「…うん、ありがとう」
食卓には目玉焼きと少し焦げたパン。それでも、母が作ってくれたもの。
大切に口へ運ぶ。

「今日から、なんだね」

ユリは静かに言った。どこか寂しげで、でも迷いはなかった。
「うん…行ってくる。必ず、真実を見つけてくる」

ユリはふと何かを思い出したように立ち上がり、棚の奥から古びた箱を取り出した。

「これ、あの人が昔つけてたものよ」

小さな金属のペンダント。中には、家族三人で写った古い写真が入っていた。
父がまだ“罪人”ではなかった頃の記憶。

「持って行って。何があっても、自分を見失わないように」

 シンは黙ってうなずき、ペンダントを内ポケットに押し込んだ。
その冷たい金属の重みが、父の無念と母の願いを同時に抱きしめる感覚として胸に伝わる。
握りしめる手に力が入る。…よし。絶対に真実を掴む。
 
 玄関のドアを開けた瞬間、冷たい空気が肌を刺した。
鉄のような朝の風。それは、これから向かう場所が持つ冷徹な空気を告げているかのようだった。
シンは振り返らずに、まっすぐ歩き出す。
 
 全ての権利は国家の最高機関である、“国家最高評議会”が握っている。公安の中枢組織である“内務省公安局”。その他多数の組織で、国家は構成されており、国民は、国家の管理下にある。
その中で、内務省公安局の下で経営されている学校がある。

――秘密警察養成学校。
国家の中枢へ繋がる、唯一の“合法的な入口”。
それはつまり、父が葬られた真相に迫るための道。

「僕は、僕の手で…真実を掴む」

足音が、霧の中に消えていった。

 そしてその頃、別の場所で一人の青年が黒い眼帯を調整していた。

もう一人の少女は、薬の瓶を隠しながら微笑みを作っていた。

運命は、静かに動き出していた。

三つの過去が交わるその場所で──。



門から校内に入ると、入り口に立っている職員らしき人に、バッジを渡された。
このバッジは身分証明書の代わりであり、胸につけておけば、秘密警察養成学校の生徒だと一目で分かるとのことだ。
 
冷たい大理石の広場に、生徒たちが整列していた。

彼らの前に立つのは、まるで鋳型から削り出したような無表情の男。

内務省公安局直属、秘密警察養成学校の校長・司令官だった。

そして、校舎の中央塔にそびえる銅像。表情なき兵士が銃を掲げていた。また、所々に取り付けられた監視カメラは、目を光らせている。
 
「国家はお前たちを信じない。だが、お前たちは国家を信じろ」


司令官の声は、機械のように冷たく、会場に響き渡った。
「裏切れば処罰。失敗すれば排除。覚悟をもって生きよ」
彼らの胸に冷たい鉄の音が響く。
「そして、国家にとっての利用価値を示すのだ。これは訓練ではなく、選抜である」
沈黙が支配する。誰も、口を開かない。

ふざけんな。全部国家の思い通りになんかされてたまるか。
シンは内ポケットのペンダントを握りしめた。

そんな中、司令官は続ける。
「校内外問わず、お前たちの言動は録音され、行動は厳重に監視されている。くれぐれも問題を起こすことが無いように」

この場所がただの学校でないことは、最初から理解していた。


それでも、空気が…想像以上に冷たい。


 
入学式が終わり、資料を抱えたシンは、寮とは反対側の校舎裏へ歩を進めた。
緊張の糸が少し緩み、風に揺れる木々の影が校舎の壁に落ちる。
その時、背後から低い声が響いた。
 
 「よォ、新入りさんじゃねぇか」


声がした。振り返ると、制服の上からジャケットを羽織った三人組が道を塞いでいた。
「一人でうろついてると、歓迎されちまうぜ? なあ?」

チンピラの一人が資料をはたき落とした。

バラバラと風に舞う紙。シンは何も言わず、拾い上げようとしゃがむ。

「……」

顔を上げたとき、頬に拳が飛んできた。
倒れ込む。頭が地面に当たり、視界が揺れる。
「なに無視してんだよ。あァ? 黙ってりゃカッコいいと思ってんのか、てめぇ」
シンは黙ったまま、唇を噛んだ。

反撃する勇気はなかった。
なぜなら、今、シンの頭の中には、母がいつか口にした言葉が回っていたからだ。

「シン。どれだけ打ちのめされて苦しんでも、他人を傷つけるのだけは絶対にやめなさい。他人は、守ってあげるものだからね」

シンは、この言葉を信条に、今まで生きてきた。

 
その時だった。足音がした。

「へえ、面白い光景だな」

三人が振り返る。

そこに立っていたのは、一人の少年。
黒い制服の襟を立て、左目には黒い眼帯。無表情だが、冷たく光る瞳。

「誰だてめぇ」

「先に言っておくが、俺は手加減ができないんだ」

その声は、まるで針のように鋭かった。
 
次の瞬間、彼の身体が跳ねた。
 
膝蹴り一発で男の顎を砕き、次々と残る二人を制圧する。


 
その瞬間、リョウの頭に過去の記憶が甦った。
父の無力さ、母の怒り、そして…自分の弱さ。
今、他者へ暴力を振るう自分の姿が、あの母の姿と重なった。
 

 
 彼が我に返ったころ、既に三人のチンピラは気絶し、床に転がっていた。
倒れ伏す三人を見下ろす。
 黒い眼帯を手で押さえ、冷たく言い放った。


「……悪いが、貴様ら如き、造作もない」


冷淡な声。感情の一滴も感じさせない、完璧な静けさだった。
 
シンは地面に手をつき、血のついた唇を拭った。
その視線の先にいる彼は、何も言わず背を向けた。

「待ってくれ」

思わず、シンは声をかけた。

「…助かった、ありがとう」
「俺は助けたつもりはない。ただの邪魔だっただけだ」
それだけ言って、リョウは歩き去ろうとする。
「僕はシン。君の名前は?」
シンは彼に聞いた。
 
「リョウ」
彼は短く答えた。
すると、その背にふと、声がかかった。


「へぇ、意外と優しいんだね」
柔らかく、どこかからかうような声。

二人が振り向くと、校舎の影から、一人の少女が歩み出てくる。
彼女の髪はベージュの外ハネ。制服の袖を軽くまくり、水色の瞳をこちらへ向けていた。
その目は、まるで冬の湖面のように澄んでいるのに、底が見えない。

「……誰?」
シンが問いかけると、少女はふわりと笑った。


「ニコ。よろしくね。お二人さん」

彼女は手に持っていた薬の瓶をカラカラと揺らした。

 三人は、校舎の裏を回って中庭に向かっていた。
誰が言い出すでもなく、歩幅を合わせている。

ニコはスカートの端を軽く揺らしながら、リョウをちらりと見た。

「それにしても強かったね、君。眼帯が似合ってる」
「……別に、興味はない」

リョウの声には無感情の刃が含まれていた。切り捨てるというより、存在ごと拒む冷たさ。
「もー。つれないなぁ」

シンは苦笑しながらも、なぜか心が少しだけ軽くなっているのを感じていた。

 その日は、入学式の後、即解散となった。
明日、秘密警察官になるために必要な、「国家への忠誠心」を測るため、新入生は「忠誠試験」に参加させられる。

翌日の朝。
中庭に設置されたスピーカーが、冷たい電子音を響かせる。


《新入生へ告ぐ。本日、忠誠試験を実施する。各自、指定された室内へ集合せよ》

シンは小さく息を吐いた。
「……来た」
「国家が、俺たちの心の中を“検閲”する番だ」
リョウの言葉に、背筋がぞくりとする。
ニコは振り返ると、笑みを浮かべて言った。

 
「じゃあ、行こっか。仮面を脱ぐ時間よ、ね?」
 
三人は、校舎を縫うように設計された中庭の石畳を、並んで進む。
沈黙が少し続いた。
やがて、ニコが不意に問いかける。

「ねえ、二人とも。どうして、この学校に来たの?」

唐突にも聞こえるその問いかけは、彼女にとっては自然な流れだったのだろう。
シンもリョウも足を止めず、そのまま数歩、無言で歩く。

沈黙を破ったのは、シンだった。
 シンは、やや俯きながら言った。
 
「……父が、政治犯罪者として逮捕されたんだ。でも、それは濡れ衣だった」
ニコはちらりと横目でシンを見た。
 
「裁判は茶番だったよ。家は潰れて、母は一人で働いて……僕は、ずっと“何もできなかった”」

 
 
シンの頭に、当時の光景がよみがえる。怒号を上げる捜査員。父を強制連行する手。泣き叫ぶ母。
まだ幼かった自分には、どうすることもできなかった。今でも、その無力さが胸に残っている。

 
 
 風が吹く。制服の裾がはためいた。
「だから、ここに来た。国家の“中”に入れば、知れると思ったんだ。本当のことを。父が失ったものの意味を」

「……勇気あるね」

ニコは感心の籠った声で言う。

「違う。あの時、何もできなかった自分に、言い訳が欲しいだけかもしれない」
シンの声は、どこかかすれていた。

リョウはしばらく無言だったが、やがて言った。
 
「俺の理由は簡単だ。復讐だよ」
ニコは少し驚いたように、声を落とす。
「誰に?」
「国家にも、母にも、父にも……たぶん、自分にも」
リョウは左目の眼帯にそっと触れる。

「外交交渉に失敗した父を、国家は切り捨てた」
リョウは、虚空を見つめ、話しだした。
「それを受け止めきれなかった母は壊れて、俺に暴力を振るい始めた」
リョウは、拳を握りしめた。彼の指先に力が走る。
言葉が続かなかったが、それでも、すべてが伝わった。
「父が消えたのも、母が狂ったのも、全て国家のせいだ。」
リョウの瞳に、力が宿る。シンは、背筋がゾクッとした。
 
「ただ、何よりも憎いのは、両親を助けてやれなかった俺自身だ」
 
リョウは、足下を睨みつける。
 「だから、俺がこの手で黒幕を見つけ出す。その為だけに、俺はここにいる」
 
沈黙。
 
そして、ニコがぽつりと呟く。

「二人とも、ちゃんと“覚えてる”んだね」

「……君は?」
と、シンが訊く。
ニコはふと立ち止まり、顔を空に向けた。
柔らかい笑顔。でも、どこか虚ろな陰がある。
 
「あたしはね、過去が……ないの。気づいたら、顔以外、ほとんどの記録が消えてた。名前も、出生も、家族も、住民情報も」
 ニコは手に持った薬瓶を軽く揺らした。笑みを浮かべて二人を見つめる。だが、あまり視線は定まっていない。

「そんなこと……」

「不思議でしょ? 国家のデータ管理は鉄壁なのに、なぜか、あたしの“履歴”だけがぽっかりと抜け落ちてるの」
リョウがわずかに眉をひそめて言う。

「じゃあ、何故お前は“ニコ”と名乗ったんだ?」
 
ニコは微かに目を伏せ、薬瓶を揺らす。指先の震えに、過去の欠落と孤独が滲む。

「……あたしは、自分が何者か、わからない」

シンとリョウはそれぞれ、奪われた過去と向き合った自分を思い返していた。
 
「でも、何故か“ニコ”って呼ばれてた記憶が、たまにふと甦ってくるの」

リョウは、黙り込む。

「だからあたしは、自分が“ニコ”であると思って生きてる。それだけ。それ以上は何も言えない。覚えてないから」
悲しい話をしているはずなのに、ニコの表情は決して暗くは無かった。
 

「……過去がないからこそ、自分を決められるの」
 ニコの瞳は淡く水色に光り、まるで何かを隠しているかのようだった。


「あたしは、自分を“何者”にするかを決めに来たの。この学校で、ね」

微かに瞳を伏せるニコ。その姿からは、過去を失った孤独がにじみ出ていた。
「……変かな?」

「いや」
と、シンは言った。

「それはたぶん、僕たちと同じだ。何かを“奪われた”のか、“失った”のか。“最初からなかった”のか。その違いだけだよ」

シンからその言葉を聞いたニコは、少し目の色が明るくなった。そして、リョウとシンには聞こえないほど小さな声で呟いた。
 
「やっぱりこの学校に入って良かった。あたしを受け入れてくれるいい人たちにも出会えたし。もしかしたら、“お兄ちゃん”の記録もあるかもしれないし」
声は小さいが、確かに意志を感じさせた。

花壇に咲いた黄色のクロッカスを見つめる彼女の目には、どこか切なさが見て取れた。
彼女はクロッカスの花に手を伸ばしかけたが、触れることなく引っ込めた。

「待っててね。過去の私」
ニコは、薬瓶を握りしめた。
「……必ず、見つけてあげるから」

「じゃあ、行くぞ」
リョウは真っ先に歩き出した。
二人もリョウに続いて歩き出す。今度は、先ほどよりもほんの少しだけ、肩が近くなっていた。

 巨大な鉄扉の前で立ち止まる。

 錆びた鉄の匂いが鼻を刺し、床は微かに軋む。

 扉の向こうから、息を殺した世界がじわりと押し寄せる。

 心臓の鼓動が耳元で響き、手に力が入る。

 心臓が微かに早鐘を打つ。

 扉の前に立ち、シンは息を整える。

 リョウは視線を巡らせ、神経を研ぎ澄ます。

 ニコは薬瓶を握りしめ、唇にかすかな笑みを浮かべる。
 
一呼吸。

 扉の向こう、何も見えない暗闇が、まるで生きているかのように彼らを待っていた。

 ここが、国家の“真実”への入口。もう、後には戻れない。
 
 そのプレートには、こう刻まれていた。
 
《第零室》 -忠誠審問施設-
 
ニコが、かすかに笑う。

「さあ、仮面をつける時間よ。国家の目が、私たちを見てる」

 扉に手をかける瞬間、世界が静止したように思えた。
そして三人の息が、同時に止まる。

扉の冷たい鉄の表面に手を触れると、微かに震えが伝わった。
遠くで金属が軋む音。

暗闇の奥から、低くうなる空気の重みが押し寄せる。
 
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

【架空戦記】狂気の空母「浅間丸」逆境戦記

糸冬
歴史・時代
開戦劈頭の真珠湾攻撃にて、日本海軍は第三次攻撃によって港湾施設と燃料タンクを破壊し、さらには米空母「エンタープライズ」を撃沈する上々の滑り出しを見せた。 それから半年が経った昭和十七年(一九四二年)六月。三菱長崎造船所第三ドックに、一隻のフネが傷ついた船体を横たえていた。 かつて、「太平洋の女王」と称された、海軍輸送船「浅間丸」である。 ドーリットル空襲によってディーゼル機関を損傷した「浅間丸」は、史実においては船体が旧式化したため凍結された計画を復活させ、特設航空母艦として蘇ろうとしていたのだった。 ※過去作「炎立つ真珠湾」と世界観を共有した内容となります。

お父さんのお嫁さんに私はなる

色部耀
恋愛
お父さんのお嫁さんになるという約束……。私は今夜それを叶える――。

処理中です...