気が付いたら乙女ゲームの王子になっていたんだが、ルートから外れたので自由にして良いよね?

ume-gummy

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侍従に窘められる*

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 その日は何ヶ月かぶりにレナトスが短時間だが会ってくれると言うので、俺は朝からそわそわしていた。

 この間のお茶会が終わった後、直ぐにたまらなく会いたくなってエミルに相談したが、「シュミット様はお忙しい方なので、向こうから面会の約束でもしてくれない限り会うのは無理。」と言われてしまった。
 現に城の公共スペースでは何度か見かけたが、挨拶しか出来ないくらい急いでいた。

 仕方が無いので、「都合が良かったら会いたい。」とだけ言付けてずーっと向こうからの連絡を待っていたのだが、結局労働改革が終わった後になってしまった。
 だから今日は待ち合わせより早く来てしまい、エミルが持ってきた手紙(殆どがお見合い関連だ)を読みながら待っていると、時間ぴったりにレナトスがやってきた。

 ああ、温室の柔らかな光に照らされたレナトスは今日も綺麗だ。
 許されれば直ぐにでも傍に行って、その髪に触れたい。
 かつての婚約者の父に対してこんな気持ちを持っている俺はどうかしている。
 実はレナトスに会った瞬間からこんな感じだ。

 あまり長い間見ていると失礼なので、挨拶を交わして向かい合って席に着いた。
 直ぐにレナトスは俺の提案で仕事が大分楽になったと喜んでくれた。
 そういえば、目の下にうっすらと浮かんでいた隈も無くなっているし、大分ご機嫌な様だ。

「レナトス様は趣味などはおありですか?」
 まるでお見合いみたいだが、年上のレナトスと共通の話題が浮かばない俺は、当たり障りのない話題から攻めてみようと思って、口を開いた。
「残念ながら私は特に趣味などは持ち合わせていませんが・・・
 アルフォンス様、前にお約束した事は覚えていらっしゃいますか?」
「あ、仕事を教えてくれるって言うのですか?」
「そうです。お待たせしてしまってすみませんでした。
 明日からで宜しければ、手取り足取り教えて差し上げられますよ。」
「本当ですか?ぜひ!」
 俺はすぐにその提案に乗った。
 背後でエミルが嫌そうにしている気配を感じたけれども。
 そして約束通り、レナトスは数十分で仕事に戻ってしまったが、俺は十分嬉しかった。
 近くで声が聞けたし、なんだか良い匂いまでした。



「アルフォンス様ぁ~、本気なんですか?」
 部屋に戻るとエミルががっくりと項垂れた。
「何が?」
「本当にレナトス様からお仕事を習うつもりなんですか?」
「ああ、もちろんだ。」
「あの人、物腰は柔らかいけれど、仕事に関しては鬼だって聞きましたよ。」
「知ってる。だからどんな風に仕事をしているのか知りたいんじゃないか。」
「もぅ、僕は自分の仕事があるので助けられませんからね。」
 エミルはそんな事を言っているが、いざとなったら助けてくれるって解ってる。
 でも、なるべく自分の力で覚えたいので、エミルには最初に言った通りに自分の仕事を優先して良いと告げた。
 そしてもう就寝するから、明日の朝まで一人にして欲しいと言って、さっさとエミルを部屋から追い出した。

 こちらに来て一番の苦痛はなかなか一人になれない事。
 王子という立場だから仕方ないのかもしれないが、いつも誰かに見られている。
 殆どプライバシーもないのだ。結構辛い。



 一週間後、俺は宰相用の執務室でレナトスに仕事を教えてもらっていた。
 周りの人はベテラン揃いで流石に手際が良い。
 俺だけが慣れなくて、レナトス直々に教えて貰っている状態だ。
 でも流石に俺に厳しくはできないらしく、邪魔してる感が半端なくて申し訳ない。
 部屋の片隅で結局、一緒に来てくれたエミルが、ベテラン勢に囲まれて仕事を教え込まれているのが見えた。
 見込みがあると褒められているが、教え方が容赦ないな。
「すみません、逆に迷惑をかけているみたいで・・・」
「構いません。
 今まで王族の方はこう言った地味な仕事に興味を持って頂けなかったので、皆喜んでいますよ。」
 周りを見ると、皆こちらを見てうんうんと頷いてくれた。

 今日は初日なので、書類の種類や見方を習っている。
 アルフォンスは真面目に勉強していたようで、教えてもらった事はすんなりと頭に入ってきた。
「流石はアルフォンス様です。覚えが良いですね。」
 レナトスは眼鏡を直しながら外向けの顔でにっこり笑ってくれるけれど、俺はそうじゃなくて本当の笑顔が見たいなと思った。
 でも今は信頼を得るところからだ。
 長丁場になってしまっても、そのうち心を開いてくれるだろうかと、レナトスの綺麗な横顔を見ながら考えた。

 しかし距離が近い。
 直ぐ横に座って、手が触れるほど近くにある。
「あ。」
 俺は書類を一枚床に落としてしまった。
 するとレナトスがそれを拾ってくれたのだが、その時に彼の髪が俺の顔に触れた。

 ふわっと花のような良い匂いがする。
 ベルンハルトともエミルとも違う匂いを感じて、思わず下腹部が疼いてしまう。
 心臓が飛び跳ねるようにドキドキ鳴っている。
「顔が赤いようですが、暑いのですか?」
 その時、他の職員に声を掛けられて我に帰った。
「え、ええ。上着を脱げば大丈夫です。」
 俺は上着を脱いで、少し反応してしまった下半身を隠すように膝に掛けた。




 ・・・ヤバイ。初日からこんなんじゃヤバイ。
 部屋に戻ってからも俺はレナトスの事ばかり考えていた。
 寝る支度をして、いつも通りにエミルを部屋から追い出して、俺は早く一人になりたかった。
 アルフォンスになってから一度もそういう事をしてなかったからだ、一回しておけば大丈夫、きっとそうだ。
 俺は昂ぶって大きくなり始めた自分自身に手を伸ばした。

 汚さない様に布を敷き、裸のままベッドへ転がり、ゆっくりとそこを上下に扱いてゆく。
「ん・・・」
 だんだんと気持ちよくなってきて、手の動きも大胆になり、射精感が高まる。
 先っぽをくりくりして、袋もやわやわもんで。

 もう少し、もう少しで・・・

 その時、俺が頭に浮かべていたのはレナトスだった。
 想像のレナトスは白い肌を晒し、妖艶に微笑んでいる。
 近付いて来て、俺の名前を呼んで・・・あの匂いを思い出して・・・

「あっ、くうぅ・・・」
 そのまま白濁を飛ばしてしまう。
「あーあ。」
 やってしまった。何してるんだ俺。
 それより前の俺は男に興味無かったのに。
 やっぱりBLなの?この世界。

 そんな事を考え、罪悪感に苛まれつつも止められなくて、2回ほどレナトスで抜いてしまった。
 想像する度にレナトスがえっちになって行くのがヤバイ。
 俺は本当に大丈夫なのか?
 レナトスに抱く感情を自覚してしまって、自分の性癖にちょっと落ち込んでしまうのだった。


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