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12 堂々巡り
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「マリア、私に何の御用ですの?」
フローラはヴィヴィアンに気がつくと、顔を歪めて憎々しげに睨んだ。そして引き攣った顔をしてマリアとサラを交互に見やった。
「いらっしゃい、フローラ。今日は聞きたいことがあって来てもらったの。急にごめんなさいね」
「いいえ、構いませんわ。それより、どうして?私が一番会いたくないロイズ様がいらっしゃるのかしら?私の婚約者を奪った相手だと、マリアは知ってますよね」
「ええ、知っているわ。でもねフローラ。フローラは気づいていないのかしら?あの交霊会で私たちを助けてくれたのは、ここにいるヴィヴィなのよ」
「そうよ、フローラ様。私もマリア様も、あの時お姉様に魅了されてしまったの。本当に女神も斯くやというくらい素敵だったわよねぇ」
サラは目を輝かせてうっとりとヴィヴィアンを見つめた。
マリア達の話で、フローラは自分が主催した会で死人が出るかもと恐怖したあの時間を思い出した。
そしてあの時、扉を開けて凛と佇む彼女を女神と感じ、感謝の祈りを捧げたいと思ったことも。
でもウォルフ様が別れたいと言うのは彼女のせいで。でもその状況を作ったのは他でもない自分。でもでもでもでもでもでもでもでも。フローラの思考は止まらない。
「フローラ、大丈夫?」
「あ、ああ、マリア様。ええ、大丈夫です。それで、ロイズ嬢は私に何をお聞きになりたいんですの?」
フローラは思考の迷路に迷い込んたが、無理矢理考えるのを止めた。思考と気持ちがチグハグで心がバラバラになりそうだった。ちゃんと整理しなくちゃダメね。
「まずはお茶でもいかが?お座りになって」
マリアの言葉にフローラは素直に頷き、皆でお茶を飲んで一息ついた。
「アガサ様、私がお聞きしたいのは、あの文字盤の出所です。どこで手に入れられたのですか?」
「旧校舎の図書館です。司書室の棚の上に何気なく置かれていました。私が主催した交霊会はあれが初めてです。主催しようと思ったことはありませんでしたが、あの文字盤を手に取った時に、どうしても使いたくなったんです。それで知人に声をかけて集まって貰いました」
「その、見つけた時にあれに関するメモや資料はありませんでしたか?」
「ええ、特にはなかったと思います」
「ねえ、ヴィヴィ、私の可愛い子猫ちゃん。何か危ない事でも考えているんじゃなくって?」
「いいえ。どうしてあの時、あんな高位の霊が降りたのか不思議なんです。大抵はもっと低級の、例えば動物の霊なんかが降りるはずなんですが。教えて頂きありがとうございます」
「お姉様、危ないことはなさらないでね。もしお姉様に何かあったら、私、死んでしまうわ」
「私もよ、子猫ちゃん。私達を死なせたくなかったら、くれぐれも自重してね」
「はい、マリアとサラ。善処しますね」
そうして、その後は思ったより和やかに、たわいのないお喋りをして、ハミルトン家でのお茶会は幕を閉じた。
フローラはヴィヴィアンに気がつくと、顔を歪めて憎々しげに睨んだ。そして引き攣った顔をしてマリアとサラを交互に見やった。
「いらっしゃい、フローラ。今日は聞きたいことがあって来てもらったの。急にごめんなさいね」
「いいえ、構いませんわ。それより、どうして?私が一番会いたくないロイズ様がいらっしゃるのかしら?私の婚約者を奪った相手だと、マリアは知ってますよね」
「ええ、知っているわ。でもねフローラ。フローラは気づいていないのかしら?あの交霊会で私たちを助けてくれたのは、ここにいるヴィヴィなのよ」
「そうよ、フローラ様。私もマリア様も、あの時お姉様に魅了されてしまったの。本当に女神も斯くやというくらい素敵だったわよねぇ」
サラは目を輝かせてうっとりとヴィヴィアンを見つめた。
マリア達の話で、フローラは自分が主催した会で死人が出るかもと恐怖したあの時間を思い出した。
そしてあの時、扉を開けて凛と佇む彼女を女神と感じ、感謝の祈りを捧げたいと思ったことも。
でもウォルフ様が別れたいと言うのは彼女のせいで。でもその状況を作ったのは他でもない自分。でもでもでもでもでもでもでもでも。フローラの思考は止まらない。
「フローラ、大丈夫?」
「あ、ああ、マリア様。ええ、大丈夫です。それで、ロイズ嬢は私に何をお聞きになりたいんですの?」
フローラは思考の迷路に迷い込んたが、無理矢理考えるのを止めた。思考と気持ちがチグハグで心がバラバラになりそうだった。ちゃんと整理しなくちゃダメね。
「まずはお茶でもいかが?お座りになって」
マリアの言葉にフローラは素直に頷き、皆でお茶を飲んで一息ついた。
「アガサ様、私がお聞きしたいのは、あの文字盤の出所です。どこで手に入れられたのですか?」
「旧校舎の図書館です。司書室の棚の上に何気なく置かれていました。私が主催した交霊会はあれが初めてです。主催しようと思ったことはありませんでしたが、あの文字盤を手に取った時に、どうしても使いたくなったんです。それで知人に声をかけて集まって貰いました」
「その、見つけた時にあれに関するメモや資料はありませんでしたか?」
「ええ、特にはなかったと思います」
「ねえ、ヴィヴィ、私の可愛い子猫ちゃん。何か危ない事でも考えているんじゃなくって?」
「いいえ。どうしてあの時、あんな高位の霊が降りたのか不思議なんです。大抵はもっと低級の、例えば動物の霊なんかが降りるはずなんですが。教えて頂きありがとうございます」
「お姉様、危ないことはなさらないでね。もしお姉様に何かあったら、私、死んでしまうわ」
「私もよ、子猫ちゃん。私達を死なせたくなかったら、くれぐれも自重してね」
「はい、マリアとサラ。善処しますね」
そうして、その後は思ったより和やかに、たわいのないお喋りをして、ハミルトン家でのお茶会は幕を閉じた。
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