極東の怪獣大国

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第1章・遭遇編

集結・第1調査隊

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 北海道 札幌市・真駒内駐屯地
 シャームとメショーは自衛隊札幌病院へ来ていた。矢臼別演習場で自衛隊が遭遇し、撃破したのは、同じ調査隊員であり家族でもあるニホ―だったからである。
 ニホ―は魔法使い兼軍医であり、相手の心を読む能力を持った種族であるが、その能力故に種族は差別や迫害を受け、ニホ―自身も幼少期に実験体として某国に拉致されたが、連邦軍所属のシャーム達に助けられた過去がある。彼女の虹彩色は右がエメラルドグリーン、左が黄色であり、メショーの虹彩色は右がエメラルドグリーン、左が水色である事から、メショーは両親から目の色を受け継いでいる事が分かる。
 一家が再会を喜ぶ中、自衛隊関係者はニホ―より提供されたヒグマのDNAサンプルを解析していた。そしてその結果、そのヒグマが通常とは異なり、突然変異でも怪獣化でもない『別の存在』である事が判明する・・・。
 3名が合流してから2日後、残りの隊員であるキターメが搭乗していた探査船を発見したと、自衛隊より報告が届いたのだが・・・内容は、探査船が大破した状態で回収されたという事であった・・・。
 3名が回収された探査船を見て唖然とし、特にシャームは軍に入った頃からの親友であったため、酷く落ち込んでいる様子だ・・・。3名がキターメを弔おうとした時、突然声が響く。
「おい!俺はまだ死んでないぞ!」
 驚いた3名が探査船を確認すると、探査船のスピーカーから声が出ている事が分かった、そしてモニターにはキターメの顔が映し出された。
「いやぁ・・・実は探査船に不具合が出てな、大気圏突入後に船体が破損してシステムが正常に動作せず、そのまま行けば確実に死んでたんだが・・・」
 彼によると、地表へ激突するまでに魔法等を応用して自身を改造し、そのままコンピューターと融合してサイボーグとなっていたのだ。そのため何とか即死は免れたものの、魔法等で無理やり行った改造であるため、自力で元に戻れなくなってしまい、探査用のシステムが破損した影響で地球の言語を習得出来なかった事により、3名に会うまで誰とも意思の疎通が出来なかったのだ。
 事情を知った3名は彼を元の姿に戻すために準備を始め、ニェコー星の医療魔法や科学技術を複合させて行った処置により、キターメは元の姿に戻った。
 彼はエンジニア(連邦軍の工兵)でありシャームの親友でもある。エンジニアだが武器装備の開発や改良を、全て個人で行える程高い技術を持つ。これは彼の種族の特長であるが、種族全体が小型であるため、こちらの種も長らく差別の対象であった。なお虹彩色は右が茶色、左が灰色だ。
「はぁ、完璧に整備したと思ったんだがなぁ・・・どんなに魔法と科学が発達しても、ミスは無くせないか・・・」
 彼は調査隊が使用する機械類全般を担当していた、他の3名に異常が無かった事に安堵しつつも、自身の搭乗していた探査船の異常に気が付けなかった事を悔いていた。しかし、これは彼のせいでは無い、後の調査で探査船の製造時に不具合があり、しかもその1機のみ不良として検知されず、他様々なヒューマンエラー等が積み重なって起きた事故であり、完成品として届いた探査船の異常に、1人で気が付く方が困難なのだから。
 トラブルにより、当初の予定よりも早く合流する事になった第1調査隊だが、やるべき事は変わらない、地球の調査を続行しつつも、これからは現地政府との交流を深める事を目標として活動する事が決定した。
 一方の自衛隊は、ヒグマが半鬼熊化した個体・・・すなわち『妖怪』ではないかという結論が出された・・・始めは誰もが懐疑的だったが、この世界には既に『怪獣』という人知を超えた存在が居り、そして今では『地球外生命体』が目の前に居て魔法や変心能力、読心能力を使う・・・これらの事例は、妖怪の存在を疑わせるには十分だった・・・。
 Gクラスが出現するまでは、怪獣と妖怪の定義自体が曖昧であった・・・しかし今現在もそれらを完璧に区別する事は出来ておらず、過去に『神』として崇められた存在が、現代では怪獣として認識され、撃破される例が日本国内だけでも多くある。例えば「八岐大蛇」に関して言えば、現代に出現すれば怪獣として認識され、自衛隊が出動する事になる。
 妖怪の存在を疑わねばならなくなった自衛隊だが、彼らはこう思っていた。今更妖怪がなんだというのか、既にこの国は何度も滅亡の危機に瀕して来たのだ、敵なら撃滅するだけだ、と・・・。
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