ハーゲンの逆襲【生え際の型】~カリスマヘアーで最強に至れるかもしれないがそこは目指さない男~ ※本人談あれは薄毛だった

復活のおたけさん

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 絶望した訳じゃない。

 諦めるつもりなんてなかった。

 やれる事をやってみる。

 そう思って繰り出される様々な攻撃の数々。

 無敵状態なので、基本的には耐性スキルや補助スキル、生産スキルなんてのは関係ない。但し、補助魔法の開放は効果があった。

『全ての補助魔法レベル3』

 ドラゴン相手には心許ない効果だが、それでも何もしないよりはまし。無敵状態 + 補助魔法。これはこれで効果大だった。


『髪の毛』

 それは人体で最も強固な器官とも言われているのだとか。

 1本当たりの強度は凡そ150グラム。
 そして髪の本数は平均10万本。

 理論上だが、1人の頭髪で15トンもの重さに耐え得るという事になる。

 ここは剣と魔法のファンタジーの世界。

『カリスマヘアー』

 それは神に与えられた髪。

 お分かりだろう。そう。それはこの世界最強の髪。

 ユニークスキルだけに、誰に教わるでもなく思いのままに髪型を変える事が出来た。それは既に1人髪型チェックで実践済み。

 伸ばせばどこまでも伸び、巻けばどこまでも太くなる。強化などせずとも変幻自在に操れる。

 しかも色も自由に変えられる。その気になれば透明にも出来る。つるっぱげに見えてしまうからやってなかっただけ。


 それを防具にしたのなら。それを武器にしたのなら。

 手持ちがないから思い付けた。裸だったからやってみた。やってみる価値はあると思って試してみた。


 広く展開させればネットのようにも使え、不安定な足場でも体勢を整える事が出来た。

 更には、下に突き刺して杭にも出来たし、薄く広げて足場も作れた。

 意味もなく盾を作ってみたり、体に巻き付かせて鎧のようにも出来た。自分好みの。カラーリングも自在だから少し余計な時間を使った。

 姿見なんかがあったからいけなかった。それ程の余裕があったという事なのか、只のアホなのか。

 強度は最強、硬度も最硬。間にクッション材代わりに髪を展開させれば、衝撃も吸収してしまう最強の全身鎧が完成した。勿論、任意で動かせる。


 片や攻撃力。

 髪をまとめてしならせては打ち。

 巨大な塊にして叩き付け。

 素早く動かせば切り傷を。

 まとめて素早く動かせば更に斬り傷を広げ。

 鋭く刺せば突き通し。
 
 まとめて鋭く突き刺せば貫き通す。
 

 そう。変幻自在の攻撃をする事が出来た。出来てしまったのだ。まさに唯一無二の武器。カリスマヘアー。恐るべし。

 これに全ての補助魔法レベル3が加わったのだ。只のドラゴンなど、畏れるに非ず。胃の中だったが。

 胃の中だけに、更に攻撃はよく通った。直前のレベルアップが無ければどうなっていたか分からない。

 だが、今はそんな事より攻撃に集中する。

 時間の問題もある。

 でき得る限り、髪の毛鎧のファッションチェックの時間を取り戻すべく、スインは己の頭髪を振り回しまくった。歌舞伎役者も真っ青なレベルの動きで。何度も何度も。


『補助魔法 開放』により所謂バフ掛けを行い、体力、魔力、力強さ、素早さ、器用さ、精神力を増加させて攻撃を行った。幸運の増加魔法はなかった。



 それはやはり時間の問題だった。

「カリスマヘアー・ネット!」
「カリスマヘアー・アンカー!」
「カリスマヘアー・フィールド!」
「カリスマヘアー・シールド!」
「カリスマヘアー・アーマー!」

「カリスマヘアー・ウィップ!」
「カリスマヘアー・ハンマー!」
「カリスマヘアー・カッター!」
「カリスマヘアー・ソード!」
「カリスマヘアー・ニードル!」
「カリスマヘアー・ランス!」
「カリスマヘアー・ボンバー!」

 なんて言葉がドラゴンの胃袋の中で響いていたが。

 最後のだけは勿論乗りで叫んだだけのもの。それくらいの威力を込めて、持たせて、最後の止めとばかりに打ち込んだ一撃だった。

 ドラゴンは悲痛な鳴き声を上げ、暴れるのを止め、ズッシャーンと音を立て、目を呟り、その巨体の活動を停止して、フェードアウトして行った。

 勝利である。

 自在に動く自分の髪が、明らかにダメージを与えられていると感じる感触、悲鳴、振動、そして静寂。解放。


 途中から楽しくなってきて、調子に乗りつつ色んな技を開発して行った。それであんな叫び声が響いていたのだが。

 勝利は勝利。勝者こそ全て。

 これが元おっさんがカリスマヘアーを覚醒させた出来事だった。


 スイン・ハーゲン。18歳。無職。

 彼の本当の異世界物語は、ここから始まる事になる。



 ◼️◇◼️◇◼️◇◼️◇◼️◇◼️◇◼️◇◼️



『ハーゲンの逆襲【生え際の型】』をここまでご覧頂きありがとうございました。

 続編、『ハーゲンの逆襲【頭頂部の型】』が投稿されるかどうかは反響次第でございます。

 皆様も頭皮には気を使い、悔いのないようお過ごし下さいませ。それでは。m(_ _)m

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