高校球児、公爵令嬢になる。《外伝》~初体験ってどんなものでしょう~

るなかふぇ

文字の大きさ
16 / 19

16 ※

しおりを挟む
「あのさ……クリス」
「ん?」
「えっと……。途中でダメんなるかもしんねーけど。……や、やって、みよっか……??」
「健人──」

 囁きながらも俺の耳にキスしてた皇子が、ぱっと顔を離してまじまじとこっちを見た。さすがにびっくりしたらしい。

「本当か?」
「けっ、けど、ほんとちゃんと準備させてな? わかってると思うけど、俺、はじめてだし。まったく……ミジンコほども自信はねーから」
 自分で言ってて情けねえ。
「うん。わかっている」
「あ、あとっ。途中で『ムリぃ!』ってなっても、その……」
「大丈夫だ。そなたを嫌いになったりしない」
「いやそこまで言ってねー」

 むくれて見せたら、逆に「ありがとう」なんて言われるし。

「へ、凹むのもナシな? 別にあんたが悪いわけじゃねーんだから」
「ああ。……だが、そなたもだぞ? 健人」
「へ」
「そなたは意外と、すぐに『自分が悪い』という方向へ思考をもっていきがちだろう。だからそれはナシにしてくれ」
「んん? そっかなあ?」

 基本的に、そこまでネガ思考はしねえほうだと思ってたのに。
 でもあれだな。あっちの世界にいる時から、そんでこの人のことが好きって気づいてからは、結構ネガっぽかったかもしんない。
 皇子が俺のせいで、魔族に捕まって人質になって、とんでもねえ目に遭わされたときもそうだった。魔法があったおかげでどうにかなったし、今じゃあの傷は跡形もなくなって肌も爪もキレイなもんだけど。
 あの時の、ズタボロで血まみれで生きてることが不思議なぐらいだった皇子。急に生々しく、あのときの姿が目に浮かんだ。あれは本当にひどかった。
 ああ。思い出したら凹んできたかも。
 皇子はこう言うけど、あれは本当に俺のせいだったんだし。

「ほら。思い出してしまったんだろう」
「あっ。いや……」
「だから、そんな目をしないでくれ。思い出させて悪かった」
「いや、別に……」
「そなたは本当に優しいな」
「え──」
「今はただ楽しもう。そなたには、ただただ気持ちよく過ごしてほしい」

 次にはもう返事もできなくなった。すぐに深いキスで口を塞がれちゃったから。

「んふ……っん、おう、じ……」

 舌を絡ませあっているだけで、再び下腹のほうに熱が集まりはじめる。皇子のそれもぐっと質量を増して、俺の腰あたりを刺激している。
 さっきイッたばっかなのに元気なもんだ。
 ま、若いしな。

 気がつくと、どこから取り出したのか、皇子の手には「いかにも!」な感じのチューブが握られていた。どろりとしたそれ専用のジェルが絞りだされて、元気になった俺のモノにとろとろと落とされる。
 うう。なんかぬるぬるするう!

「ひえっ!」

 と、皇子の手が俺のものを一度ぬるりとしごいてから、ゆっくりとその下へと撫でるように下りていく。

「ひあ、あ……っ」

 竿をなぞって、袋をやわやわされる。その手つきが優しくてエロい。エロすぎ。そんだけでもう、俺のモノは恥ずかしいぐらいビンビンに戻っていく。皇子の目がそれを見て笑みを浮かべる。
 はっ、恥ずっ。これ何回目よ。

「いいか……? 健人」
「お、おう。どんと来いや」

 うーん。色気の欠片もねえな。自分で言うのもアレだけど!
 でももう、俺もそんな余裕ねえし。
 皇子の指がそのままそろそろと後ろへ動いていき、その場所を探り当ててゆるゆると回される。

「ん、んんっ……」

 正直、ちょい気持ち悪い。
 そこは基本的に、挿れるとこじゃなくて出すとこだから!
 っていう、ごく常識的で理性的なことも考えるんだけどやっぱりもう余裕ないかも。
 つぷり、と指が一本侵入してきて、びくんと腰が跳ねる。

「うわっ」
「大丈夫か?」
「ん……だいじょぶ、だけど……」

 正直、違和感しかねえ。皇子の指が入口のところでゆっくり抜き挿しされるのが、ちょっと怖いし気持ち悪い感じ。感覚としては、やっぱり本能的に「排泄」しちまいたくなるような──

「んあうっ!」

 と思ったら、ぐっと指を進められて変な声が出た。
 ぐぽ、ぐちゅっと下半身から聞こえるのはエロい音ばかり。皇子の指が俺の内側をゆっくりこすって、中を丁寧に調べている。入り口のところにもしっかりジェルを塗りつけて、傷つけないようにゆっくりと押し広げてる。

「あ、あ……あう」
「指を増やすぞ。いいか?」

 優しくて低い声を耳に流し込まれると、無意識にぶんぶん首を縦にふってしまう。
 ぬぷっと指が増えた感覚があって、腰にじいんと何かが走った。

「あうっ……ん!」

 こんなん、大丈夫か俺。
 指二本入ったぐらいで、なんか……なんか下腹のところにじんわりとなんかが溜まってきた感じがする。

「健人……」
「んうっ……はあ」

 また深いキスをされて、舌を絡められた。
 それで気を紛らわされるみたいな感じ。あったかくて濡れた舌で惑わされているうちに、下ではまた指が増やされたみたいだった。
 さすがにちょっと苦しいかも。
 そんなでかいの、あんましねえもん俺。
 便秘なんてしたことねえし、基本的に快便型だからさあ。
 あ、下ネタすんません。

 ぐぽ、ぐちゅ、ぐぽ、ぐぽってエロい音に耳まで犯されてる気分。

「ふあ、あ……あっ。あんっ……」

 仰向けになって足を広げられて、男にあんな場所をいじられてるなんて、想像するだけで気絶もんなのに。
 なんで俺、こんなイヤじゃねえんだろ。

 どのぐらいの間そうしていたか。
 やがて皇子が、とある場所をくんっと押した。
 瞬間、ビリッと電撃が腰から先端までを貫いた。

「んひゃっ!?」
「……うん。ここだな」
「なっ……なな、なにがよおっ!」

 いや。知ってるぞ。
 恥ずかしながら姉貴の薄い本で、変な知識だきゃあ豊富だかんな!

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる

結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。 冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。 憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。 誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。 鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

お前らの目は節穴か?BLゲーム主人公の従者になりました!

MEIKO
BL
 本編完結しています。お直し中。第12回BL大賞奨励賞いただきました。  僕、エリオット・アノーは伯爵家嫡男の身分を隠して公爵家令息のジュリアス・エドモアの従者をしている。事の発端は十歳の時…家族から虐げられていた僕は、我慢の限界で田舎の領地から家を出て来た。もう二度と戻る事はないと己の身分を捨て、心機一転王都へやって来たものの、現実は厳しく死にかける僕。薄汚い格好でフラフラと彷徨っている所を救ってくれたのが完璧貴公子ジュリアスだ。だけど初めて会った時、不思議な感覚を覚える。えっ、このジュリアスって人…会ったことなかったっけ?その瞬間突然閃く!  「ここって…もしかして、BLゲームの世界じゃない?おまけに僕の最愛の推し〜ジュリアス様!」  知らぬ間にBLゲームの中の名も無き登場人物に転生してしまっていた僕は、命の恩人である坊ちゃまを幸せにしようと奔走する。そして大好きなゲームのイベントも近くで楽しんじゃうもんね〜ワックワク!  だけど何で…全然シナリオ通りじゃないんですけど。坊ちゃまってば、僕のこと大好き過ぎない?  ※貴族的表現を使っていますが、別の世界です。ですのでそれにのっとっていない事がありますがご了承下さい。

希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう

水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」 辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。 ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。 「お前のその特異な力を、帝国のために使え」 強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。 しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。 運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。 偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!

強制悪役劣等生、レベル99の超人達の激重愛に逃げられない

砂糖犬
BL
悪名高い乙女ゲームの悪役令息に生まれ変わった主人公。 自分の未来は自分で変えると強制力に抗う事に。 ただ平穏に暮らしたい、それだけだった。 とあるきっかけフラグのせいで、友情ルートは崩れ去っていく。 恋愛ルートを認めない弱々キャラにわからせ愛を仕掛ける攻略キャラクター達。 ヒロインは?悪役令嬢は?それどころではない。 落第が掛かっている大事な時に、主人公は及第点を取れるのか!? 最強の力を内に憑依する時、その力は目覚める。 12人の攻略キャラクター×強制力に苦しむ悪役劣等生

【完結】※セーブポイントに入って一汁三菜の夕飯を頂いた勇者くんは体力が全回復します。

きのこいもむし
BL
ある日突然セーブポイントになってしまった自宅のクローゼットからダンジョン攻略中の勇者くんが出てきたので、一汁三菜の夕飯を作って一緒に食べようねみたいなお料理BLです。 自炊に目覚めた独身フリーターのアラサー男子(27)が、セーブポイントの中に入ると体力が全回復するタイプの勇者くん(19)を餌付けしてそれを肴に旨い酒を飲むだけの逆異世界転移もの。 食いしん坊わんこのローグライク系勇者×料理好きのセーブポイント系平凡受けの超ほんわかした感じの話です。

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も皆の小話もあがります。 Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新! プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!

わがまま放題の悪役令息はイケメンの王に溺愛される

水ノ瀬 あおい
BL
 若くして王となった幼馴染のリューラと公爵令息として生まれた頃からチヤホヤされ、神童とも言われて調子に乗っていたサライド。  昔は泣き虫で気弱だったリューラだが、いつの間にか顔も性格も身体つきも政治手腕も剣の腕も……何もかも完璧で、手の届かない眩しい存在になっていた。  年下でもあるリューラに何一つ敵わず、不貞腐れていたサライド。  リューラが国民から愛され、称賛される度にサライドは少し憎らしく思っていた。  

処理中です...