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しおりを挟む「あっ、あ、ああっ……あんっ、らめえ、もう、らめらってえええ!」
結局。
その後も俺たちは体位を変えて何回か体を重ねた。
「顔を見てやりたい」っていうのは皇子も俺も同じ意見だったからだ。でも、こんな何回も、こっ恥ずかしい体位でヤられるとは思ってなかった。くっそう!
体の最奥部を皇子のそれで全部突かれて、暴かれて。
思いきり両足を広げられて、何もかもを皇子に見られて。
今までは知らなかった、体の奥にあるその快感を引きだす場所をしっかりと覚えさせられて。乳首だって、最初はあんなにくすぐったいだけだったのが、舐められて甘噛みされるだけで変な声まで出るようになっちゃって。
勝手に涙とか鼻水まででちゃって、赤ん坊みたいにすすり泣いて。
……うう、マジ恥ずかしい。
姉貴の薄い本で見た体位、かなり実践させられちまったよう。あううう。
最後に皇子は、何度も何度も俺の体じゅうにキスをして──しまいに俺のまで舐めて咥えた日には参ったわ──しっかり俺を抱きしめて、ぐっすり眠った。
俺も眠った。もうヘロッヘロで、最後はほとんど意識飛んでたから、どこから寝たかはよく憶えてねーけど。むしろ気を失った感じ。
翌朝。
だいぶ寝過ごして、かなりいい時間になってから俺たちは目を覚ました。
皇子は俺より先に起きてて、浴室の準備をしてくれていた。
「おはよう、健人。風呂の準備ができてるぞ。一緒に入ろう」
「ん……はよ。へ? いっしょにって──」
昨夜の疲れでまだ頭がぽやぽやしているうちに、皇子は軽々と俺を横抱きに──つまり姫だっこな──して、バスルームに連れて行った。
「ひょわ! やっ、やめろやあ!」
「暴れないでくれ。さすがに成人男子では、シルヴェーヌ嬢のようなわけにはいかないからな」
「そりゃそーだわ!」
「というか、歩けないだろう? 腰はどうだ、大丈夫なのか」
「だっ……大丈夫、では、ない……わな」
完全なジト目で皇子を睨む。
大体、誰のせいよ。原因は百パーあんたじゃねえのよ。
俺の腰は、もうとっくに限界突破してんじゃねえかよ!
「言ったよな? 俺、何度も。『もうダメ、無理』ってよー」
「……ああ、うん」
こら。目を逸らすなや。
「『お前に無理はさせない』とか『ただ楽しく過ごしてほしい』とか。イケメン顔であんだけ言っといて、蓋あけたらこれはなんなの? 前言撤回ってレベルじゃねえぞ。詐欺だろ、詐欺! どんだけだよ、このサル皇子!」
「さ……サルってひどいな」
マジで傷ついた目をしてる。
ふーん。自業自得じゃんよ。
「サルサルサル! この性欲大魔王! 魔法で軽減したからって、こっちの負担がゼロなわけじゃねえんだかんな? ちったあ考えろ!」
「……申し訳ありません」
ちょっと凹んで、頭を下げてる。
「そなたがあんまり可愛い声で啼くものだから」
「かっ、かわ……」
ぼぼっと耳が熱くなる。
可愛いってなんだ。「啼く」ってなによ!
「ついつい、歯止めが効かなくなりました。理性が吹き飛んでしまいました」
「黙れ黙れ! うるせーわ! 敬語で謝りゃ許されるとか思ってんじゃねーだろな、お前っ」
「……思っておりませぬ。大変申し訳なきことを致しました。心より反省しております」
「だったらよろしい」
嘘っくせえけどしょうがねえ。
フン! とそっぽを向いたら、頬にチュッとキスがおりてきた。
「次はもう少し落ち着いて、大事に抱く。約束する。もっともっと、そなたを気持ちよくさせてみせる。……だからどうか許してほしい。お願いだ、健人」
「ふ、ふーん……」
そこまで言うんなら許そうかな、なんてすぐに思っちゃうところがもうダメだ。
もう俺、完全にこいつにやられてる。
「実はこの部屋、もう一泊とってあるんだ。体が無理そうなら、もうひと晩泊っていける」
「え? そーなの?」
「ああ。万が一、こういうことになったらと思って予約しておいたんだ。明日は日曜だし、構わないだろう?」
こんなクソ高いところ、二泊ぶんも取ってあるとか、すげえな。
「ルームサービスもなかなかいいらしいんだ。全部部屋に持ってきてもらえるから、そなたはいっさい動かなくていい。ゆっくり食事をして、好きな映画でも観て、落ち着いてから出てもいいしな」
「う、うん……」
それはちょっと興味ある。
入った途端にセックス三昧で、部屋を堪能することは全然できてねえもんな。こんないい部屋なのによ。
と、バスルームの前室で下におろされ、皇子はごく自然に俺からバスローブをはぎ取った。
「あっ、ちょ、ちょっと! なにすんだよっ」
「全部私に任せてくれ。そなたは動くのも億劫だろう?」
「そりゃそーだけどおっ」
とかなんとか言ってるうちに、皇子もさっさと全部脱いで再び俺を抱き上げる。もうなんか、慣れたもんだ。ちぇっ。
そのまま二人でバスタブに浸かった。
「隅々まで洗わせて頂く。そなたは眠っていてもいいぞ」
「んなっ、無理に、決まって……っ」
背後から抱きしめられる形で湯舟の中に座らされ、早速耳やら首筋やらにキスされる。胸、脇、腹、下腹……へと皇子の手がやらしい感じで蠢いていく。腰がまたびくんと跳ねた。
「ひっ、あ……! やめっ、その、触り方あっ」
「どうした? 洗っているだけだろう」
「こいつっ! え、エロい触り方すんじゃねー!」
ばっきゃろ!
そんなんしたら、また「俺の俺」が元気になりかかっちゃうじゃん!
「そうだな。こんなに感じやすい体になってくれて、私は嬉しい」
「ひいいっ!」
ばしゃっと湯が跳ねる。
皇子が俺のそれを、ぎゅっと握ってまたこすこす始めたからだ。
「やっ、やんっ……やめ、バカッ! あうんっっ」
俺がまた変な声を上げたのがいけなかったんだろう。
すっかり中で形を覚えさせられた硬いもんが、尻の後ろにごりっと当たる。
「本当に可愛い。健人、そなた可愛すぎる──」
「ダメ、もう……無理! 無理だからああっ」
「健人……」
「挿れたら許さねえかんなっ! あ、んあっ……?」
俺の願いとは正反対に、脇の下を持ち上げられ、下からぬぷっと貫かれる。
目の前に火花が散る。
もう死んじゃう。
「ふあ……っんあんんっ」
だけど幸せ。
──皇子、大好き。
あんたとこの世界で生きることができて、ほんとによかった。
激しくなりだした喘ぎ声の合い間にそっとそう囁いたら、皇子のそれが俺の中で、本気で質量を増したのがはっきりわかった。
結果。
俺たちはそこにもう一泊する羽目になった。
理由はもう、想像にお任せするわ……。
はあ、溜め息。
でも幸せ。
だったらもういいよね?
あっははは。
完
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2022.6.28.Tue.~2022.7.19.Tue.
ここまでのお付き合いをありがとうございました。
これにて完結です。
いつかまた、どこかで!
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