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第九章 初夜
4 嬌声 ※
しおりを挟む玻璃の手と唇は、終始丁寧で優しかった。
恐らくユーリが、こちら側になるのが初めてであるからだろう。
「あ……や、ああ……っ」
首筋から始まって、鎖骨から胸の尖りへ。玻璃の優しい唇と舌が、あますところなくユーリを味わっていく。片方のそれも、指先でこりこりと弄ばれる。
そうされるだけでもうユーリの腰は、はしたなくもびくびく跳ねた。胸の飾りを舌先で転がされると、じいんと痺れて痛痒い。不思議なことに、その場所はまるで女のようにぷっくりと膨らんで、とっくに天を向いて立ち上がっていた。
顔を隠すようにしていた手の陰からそっと見れば、つんと突き立って濡れ光ったふたつのものの向こうで、玻璃が含み笑っていた。
「思っていた通りだ。感じやすく、お可愛らしい」
「お、おっしゃらないでくださ……あっ!」
またぺろりとそこを舐められて全身に電撃が走る。
玻璃はまだ、白い夜着をほとんど着崩していない。それなのに、ユーリのほうはもうとっくに生まれたままの姿にされていた。
足の間のものは硬くなって起き上がり、玻璃の夜着の腹のあたりに微妙に触れてもどかしかった。
玻璃の唇がゆっくりと胸から脇腹へ移動していく。手のひらでユーリの肌を余すところなく撫で、その手触りを確かめているようだ。触れられているところすべてから、どんどん熱を発していく。
「やあ……あ」
玻璃の手が足の付け根へたどり着いて、焦らすように内腿のほうへ逸れていく。それだけでまたユーリは腰を揺らした。
もどかしい。たまらない。
そのままその手で、蕩けそうな熱の棒になってしまったそこに触れて欲しい。
見なくても分かった。自分のそこはもうとっくに、先端からはしたないものを滲みださせているだろうということが。
「はり、どの……。やっ……」
涙の滲んだ目で訴えると、玻璃はユーリの腰あたりから笑いながらこちらを見やった。
「我慢できぬか? どこを、どうして欲しいのかな」
「え、いや……」
答える前に内腿に優しいキスを落とされる。ちゅ、といちいち軽い音を立て──それも多分、ユーリに聞かせるために違いなかった──唇は次第に肝心な場所から離れて、膝を持ち上げ、その内側や脹脛、そして踝を愛撫する。
やがて大きな手で足を掴まれ、足の甲に口づけが落とされる。
両足を大きく広げられた淫靡な姿で、全体を丁寧に愛撫された。
「や、もう……玻璃どの……」
「ほかにはどこを舐めて欲しい? 言ってくれればすぐにも応えよう」
「いや、あの……」
この人、自分に何を言わせたがっているのだろう。
ユーリは必死で自分の足の間のものを両手で隠した。
「そんな……まじまじと見ないでくださいっ……!」
「それは断る」
「え、だって──」
「勿体ない。こんなにきれいな肌をしておいでなのに」
「そんなこと──」
一応アルネリオの「貴人」だとはいえ、別に女性でもないというのに。この人の近くになら、あの波茜を引き合いに出すまでもなく、いくらでも美姫がおられることだろうに。
が、玻璃は軽く笑っただけだった。
「ほかならぬ俺の『配殿下』のお体だ。俺の……俺だけのお体だ。初めての夜には特に、じっくりと堪能すると決めていた。ずっと前からな」
「玻璃、どの……」
半分息が上がって、もうまともに返事もできない。腰の中に渦巻いている欲望が「もういい加減にしてくれ」とばかりにその先を求め、どんどん性急になってくる。その欲望の証が、先端からとろとろと染み出している。
と、玻璃がついとユーリの手をそこからどけた。ぐちゅりとそこを握りこまれる。
「はっ……あ!」
ユーリはまた腰を跳ねさせた。
玻璃の手はゆるゆるとユーリのそれを扱いている。それに合わせて腰が動くのをどうにもできない。ときにくねくねと卑猥な動きまで見せてしまう自分が、堪らなく恥ずかしかった。
「あんっ……! あ、あ……あっ」
指先で先端にぬめりを塗りこまれると、腰全体がビリビリッと痺れた。
次の瞬間、玻璃はそれをべろりと舐めた。
「えっ!? ……あ、いっ、いやああっ!」
抵抗しようにも、玻璃は器用にユーリの両手首を片手で戒めてしまっている。そのまま下の柔らかい場所を優しく食まれ、屹立を舐め上げられているうちに、どんどん頭がぼうっとしてきた。
「だめ……だ、めえっ……あ、ああ……はり、どの──」
背中を撓らせてのけぞり、必死に首を横に振る。
遂に玻璃がぱくりとそれを咥えこみ、頬裏と舌とで激しく愛撫し始めてしまった。
部屋の中に、玻璃の口とユーリの肉との間で溢れる水音が満ちていく。
「やっ、あ……あっ、あ、んんっ……だめ、あっん……!」
くらくらする。目の奥がちかちかする。
腰に集まったすべての欲望が、一点を目指して駆けあがろうと暴れ狂う。
「だめっ……はな、してえっ! はり、どのおっ……!」
子供のようにいやいやをし、必死に首を横に振るのに、玻璃は許してはくれなかった。
「ひいッ……あ!」
もう駄目だった。
ユーリは駆け上がってくる波に押し流され、一気に欲望の気を吐いた。
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