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第十五章
5 インテス様の夢(3)※
しおりを挟む意地悪だ。
ほんっっとうに、イジワルだ!
と、インテス様が中でぎゅっと指を広げた。
「んひいっ」
「……はあ。もうこんなに広がって、ひくひくしてるのにね。上のお口はあんまり素直に欲しいものを教えてくれない」
「ひいいんっ……」
半泣きだったものが本泣きになってしまいそうになる。
そんなの、いったいどうやって「欲しい」なんて言えばいいんだ。
「ほら、シディ。『なにを』『どこに』『どうやって』ほしいのか。言ってごらん? 言ってくれればすぐにも応えてみせよう」
「うううっ」
「さあ、早く。私もそろそろ限界だよ。……こんなに可愛いシディをいっぱい見られてとても幸せだけどね」
「あっ、あ、ああっ……らめえっ」
この人は、熱っぽい声で話をしながらも指を動かしているのだ。シディはもうほとんど朦朧としていて、言葉の半分も聞き取れていない。きっとものすごくバカみたいな、恍惚としただらしのない表情をしているに違いなかった。
今だって、口の端からきっとよだれを垂らした情けない表情に違いない。けれどそれを自制することも不可能だった。
ただただ、いますぐ欲しいもののことばかり考えてしまう。
「いや、いやああっ……はやく、ほ、ほしい……のおっ」
「ふふ。素直でいいね」
「きゅうんっ」
ちゅ、とまた耳のつけ根に口づけを落とされ、そのまま鋭い痺れが下腹に向かって突きぬけていった。
だめだ。
もうだめだ、絶対に我慢できない!
「くださ……っ。いんてす、さま、のおおっ……」
「うん。私の、なにを?」
「ひううっ」
いちいち耳の中に鼻をつっこむみたいにして囁かないで!
シディのそれは、先っぽからもう透明な恥ずかしいものをつぷりつぷりと吹き出しては、だらだらと垂らし始めている。
シディはインテス様の首にしがみつかせた両手の力をさらに強めた。
彼の耳に口を寄せ、もう体じゅう弾け飛びそうになりながら、どうにか囁く。
「いんてす、さま、の──」
「……を」
もういい。どうだっていい。
とにかくこの人の言うとおりにして、はやくそれを頂きたい。
「お、オレの…………に」
挿れて、とやっと言ったとたん、もう本当に爆発したくなった。そのままちぎれて四散して、世界の果てまで飛んで逃げてしまいたくなる。
自分の耳にぽしょぽしょと紡がれたシディの「望み」を聞いて、インテス様の笑みが一段と深くなった。
「よくできたね。……いい子だ」
「~~~~!!!」
シディはもう、顔をインテス様の肩にぴったりくっつけている。そんなことをやったところで、意味をなさない自分の悲鳴と、どうしようもなく赤くなっているだろう顔を隠すぐらいのことしかできない。
「そんなに隠さないで、シディ」
「ううううーっ」
「そのままでは、せっかくそなたの望みに応えたときのそなたの顔が見られないじゃないか。絶対にすてきな顔をしてくれるはずなのに。……んん?」
くすくす笑っておられるけれど、インテス様の声だってやっぱりどこか余裕を無くしているように聞こえた。
優しく口づけを落とされて何度もあやされ、気がついたときにはシディのそこに、インテス様の先端がぐにぐにと擦りつけられていた。
すでにすっかり濡れてほぐれた入り口が、そのたびに淫靡な音をたてて蠢いているのがわかる。
そればかりではない。インテス様の先端をいちいち追いかけるようにして腰がゆらめいてしまう。
と、ついにその先がぴたりと止まった。
と思った次の瞬間には、待ちわびた熱い楔がぐいっとシディの中へと打ちこまれてきた。
「あっ、あ、あああ──っっ!」
腹の中がいっぱいになる。
結局、強い刺激で一気にせり上がってきたものに太刀打ちすることはできなかった。
目の前がちかちかしたかと思ったら、シディはもうあっけなく果てていた。
「ダメだよ、シディ。今夜はもう少し頑張ってもらうからね」
「あ、あふ……うっ。ご、ごめんなさ……っ」
「ん? どうして謝るんだい」
「だって──」
客に好き放題にされていたころ、こうしてあまり早く果ててしまうと客をよく怒らせていた。自分の中には、あの時の癖がまだ残っていたらしい。つい、インテス様にも謝ってしまいたくなるのだ。
「構わないんだよ、シディ。次はもう少し我慢できるといいけどね」
「うっ……うふうんっ」
ゆっくりと抜き挿しされ、頬や首筋、乳首のところも優しく甘噛みされ、舐めたり口づけされたりしているうちに、また腰の奥にじんわりと欲望の火が灯る。
ふるりと自分のものが勃ちあがるのを、シディはぼんやりした意識の遠いところで見ていた。
「ほら。もう元気になってきたよ。……さすがはシディ」
「なっ……なにを、おっしゃって──あああっ!」
途端に抽挿を早められ、まともな言葉も紡げなくなる。
その夜。あとはただただ、「インテス様の夢」にお付き合いすることになった。
月がすっかり西の空の方へと傾き、シディの体力が尽きるまで。
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