墜落レッド ~戦隊レッドは魔王さまに愛でられる~

るなかふぇ

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第十三章 次の世代を

12 一点突破

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「よしっ。とにかく行くぞっ」

 「一計を案じた」などとは言ったものの。悲しいかな、リョウマにはあれこれと細かい謀略をめぐらすに足る頭は備わっていなかった。
 いや、一応はいろいろと検討したのだ。夜に寝室で色気のある夜着姿や軽い媚薬入りの飲み物などで誘惑する……などという噴飯ものの行為だって視野に入れた。一応は!
 だがしかし、そもそもそんなことが自分にできるはずもないし、なにより自分らしくない。というか恥ずかしすぎて、特に夜着姿なんて見せる以前に自分が羞恥で爆死しそうだ。そして、そんな「自分らしくなさすぎる行動」をいきなり起こせば、むしろ魔王を無意味に警戒させてしまいそうでもある。それでは本末転倒だ。

(結局は一点突破。真正面から攻勢をかける! それのみだ。行くぞ俺!)
 
 というわけで、リョウマはまっすぐ魔王の執務室を直撃することにした。もちろん、護衛のダンパたちや使用人たちにはあらかじめ話を通しておいたし、時間帯もローティのお昼寝の時を狙って、子守りのみなさんにも彼のことをお願いしておいた上でのことだ。
 事前に魔王の周囲にいる側近や使用人たちに探りを入れてもらい、ある程度仕事に区切りがつく時間帯を教えてもらって、その時刻に突撃を掛けたのである。

 執務室の前に立つ護衛兵らは、リョウマとその後ろについているダンパたちを見ただけで目配せをして頷いてくれ、すぐに中へと声を掛けてくれた。

「陛下。配殿下がおいでです。お急ぎのご用件がおありとのことですが、いかがいたしましょう」
「よい。通せ」

 魔王の声であっさりと返事があった。
 まずは第一関門突破だ。
 ほっとする間もなく、素早く扉が開かれて入室。それとほぼ同時に、室内にいた側近の文官たちや使用人たちがささっと退室していく。別に魔王が人払いを命じたわけでもないのにだ。もちろんダンパたちも入ってこない。
 さらに文官たちはその前に、魔王の目の前にあった仕事の書類らしきものをさりげなく、かつ手早く脇に寄せておく余裕すらあった。素晴らしい連携。これもすべてダンパの人徳であろうと思われる。事前連絡に手抜かりはなしだ。
 さすがにこれには、当の魔王はちょっと変な顔をしていた。だが、すぐにしれっとしたいつもの表情に戻った。その顔の裏ではしっかり、側近たちの普段とは異なる態度を敏感に感じ取っていたらしい。
 もの問いたげにこちらを見つめる瞳には、なんとなく愉快なものを感じている様子さえ見てとれる。

「で、何事だ?」
「ちょっと話がある。ツラ貸せや」
「そなたの望みとあらばいつなりと、なんなりと。さ、こちらへ」

 まずは茶でも喫するか、と言いながら席を立ちかけ、すらりとすぐそばの応接セットへいざなわれたが、リョウマはそれを完全に無視した。まっすぐに執務机に向かってダッシュし、その上にドンッと片膝で音をたてて乗り上げる。

「いいから座れや」
「…………」

 魔王は一瞬、沈黙のまま、中腰で虚を突かれた顔になった。やや意外そうな顔だが、それでもおとなしく元通りに座り直す。
 リョウマはそのまま大きな執務机の上をズリズリと這いすすみ、魔王の面前まで行った。
 一応文官たちがよけてくれていたはずの書類が一部、膝の下でくしゃっと情けない音をたてた。
 魔王は座った姿勢からでも、机上に胡坐をかいたリョウマとほぼ同じ目の高さである。
 しばらくそのままじとーっと睨みつけてから、リョウマは溜息をついた。

「……わかんねえ?」
「うん? なにがだ」
「いやそりゃ、わかんねーわな? わけわかんねーわな? そりゃわかるよ。俺だってお前の立場なら、お前とおんなじ顔してるわ」
「リョウマ」

 魔王は目をひとつ瞬かせると、上体を傾けてリョウマに顔を近づけた。

「いかがしたと申すのだ? わからなくて大変申し訳ないのだが、言葉抜きではわからぬこの愚か者に、どうかご教示を願いたい」
「はあ~~あ……」

 リョウマはさらに盛大な溜息をつき、自分の頭をガシガシかき回す。
 これは恐らく、言うよりは行動の方が効き目がありそうだ。想定内のことだが、ここから先はちょっと覚悟が必要だった。

(よし、いくぞ)

 気合一発。
 リョウマは胡坐の状態から素早くとびあがり、魔王の膝の上に飛び移った。向かい合わせで、馬乗りの状態だ。

「リョウマ?」

 すぐに魔王の腕がリョウマの背中と腰を支えてくれる。
 リョウマは魔王の首に腕を回して、にやりと笑った。そのまま、軽く魔王の唇にちゅっと吸い付いてやる。

「こお~れでも、わかんねえ?」

 途端、股間のあたりでむくりと何かが硬化するのを感じた。
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