星のオーファン

るなかふぇ

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第五章 月下哀艶

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「や……もう、や……っ! ベータぁ……っ」

 泣きながら懇願する。
 もう無理だ。我慢できない。
 ただ指で弄ばれているだけだというのに、今にも前が爆発しそうだ。だというのに、ベータの指は本数を増やしながらも相変わらずそこを広げ、ぐりぐりと入口の傍を撫でることを繰り返しているばかりだった。

「もう少し待て。傷つけたくない」
 そう言う男の声も少し、艶っぽく濡れているように聞こえる。自分の痴態に煽られてくれているなら嬉しい。
 下方から響いてくる淫靡な水音に耳まで犯されているような気持になる。
「んっ……ん、やあ、あ、ベータ……いやっ……! もう、いっ……。いいか、らっ……!」
 と、頬のあたりにまたちゅ、ちゅっと音をたててキスされた。

「どうして欲しいか言ってみろ。……ん? 皇子サマ」
「あ、……あ、あ──」

 アルファはもう、子供みたいに彼に抱きつき、ぽろぽろ零れる涙もそのまま、片足を上げて彼の腰に巻き付けた。

「欲し……っ。ベータ、の、欲しいっ……!」
「……いい子だ」

 嬉しげにそれだけ言うと、ベータはがしっとアルファの両足を持ち上げた。そのまま背中を壁に押し付けられ、先端をぴたりとそこにあてがわれる。
 彼のそこも、ひどく硬くて、熱かった。
 それでもまだ、先端がぐりぐりと入口を弄ぶようにして押し付けられ、すぐに離れてを繰り返される。アルファはもう、前後の見境もなく彼の先端を尻で追いかけ、自分でそこに自分の入り口を押し当てて叫んだ。

「やっ……ああ! も、やだっ……! い、れてっ……! ベータ──」

 そう言った瞬間だった。
 一気に燃えるような凄い質量が押し入ってきて、アルファは目を剥き、ほとんど声にならない掠れた悲鳴をあげた。

「ふあ……あ、あ……っ!」

 みちみちと、ベータが自分の中にいっぱいになっていく。やっと求めていたものに踏み込んできてもらえて、目の前がちかちか光った。ぐぐ、ぐぐ、とさらに奥へと押し入ってくるベータを、自分の内壁が無意識にもきゅうきゅうと物欲しげに締め付けてしまう。

「あ……は、うあ……っ」

 やがて尻に彼の腰の感触がして、自分の最奥まで彼が入ってきたことが分かった。
 ふ、と耳元で色めいた吐息が聞こえる。

(感じて……くれている……のか? お前も──)

 そう思うと、アルファの中はまたさらに彼を求めて彼自身に絡みついた。

「……大丈夫か」
 問いかけられると、アルファは首でこくこく頷くばかりでなく、内壁なかでも彼を締め付けて両足をその腰により深く絡みつけた。
「あ……は。ん……っ」
「……こら。煽るなと言うのに、お前はいつも──」
 少し苦しげだが、ひどく嬉しそうな声がする。
 アルファもくすっと少し笑った。薄く目を開くと目の前に彼の顔があって、あの星の色の瞳がじっとこちらを覗き込んでいた。

「んっ……。気持ち、い……よ。ベータ──」
 言った途端、また深く唇を重ねられる。アルファもすぐ、彼の舌に吸いついた。
 上からも下からも、彼のもので侵されているのがひどく嬉しい。
「んう……ん」
 きゅんきゅんと、わざと入口に力を入れたり緩めたりして腰を動かし、彼のものを愛撫する。
「く──」
 一瞬、何かを堪えるようなくぐもった声が聞こえたが、次には軽くぱん、と尻を叩かれた。
「まったく、こいつは。こんな床上手になりやがって──」
「んあ、あ……っ!」

 次にはもう激しい突き上げが始まって、アルファは何も言えなくなった。
 狭い分解シャワールームに、ぬちゅ、ずちゅっといやらしい水音とともに互いの肉のぶつかり合う乾いた音が鳴り響く。それに加えて、誰のものかと思うような蕩け切った嬌声がいっぱいに溢れかえる。
 体の一番奥の奥まで、彼の先端が突き上げる。
 脳が真っ赤に染まりはじめ、それと同時に体じゅうの細胞が真っ白に発光するようだ。

「あっ……あ、あっ……あうんっ、や、ああっ……あんっ、ベータ、ベー、タっ……!」

 ……好きだ。
 この男が好き。愛してる。
 お前以外の誰をこんなに、これほど好きになるものか。

(めちゃくちゃにして。……もっと。もっとだ──)

 行為のために溢れ出る生理的なものばかりでなく、ぼろぼろと両目から熱い雫が落ちていく。

「ひ……いっ──」

 やがてアルファはあっという間に最初の絶頂を迎えて、彼の腹のあたりに欲望の証を吐き出した。そのままびくびくと余韻に浸り、くたりと彼の肩に頭を落とす。が、彼のものはまだ少しも力を失っておらず、アルファがまだイっているにもかかわらず再び激しい抽挿が始まってしまった。

「え? っあ、あ……だめっ、あ……っ! まだ、イッて……あんっ! あんっ、ベータ……!」

 泣きながら「少し待って」と懇願したけれど、許してはもらえなかった。ベータは「さっき、口でしてしまったのが仇になったな」とにやにや笑うばかりで、腰の動きを弱めようとはしなかった。

「何度でもイくがいいさ。ほら、遠慮するな。皇子サマ」
「やあっ……! ああ……あっ、あっ……!」

 つながったまま器用にぐるりと体位を変えられ、壁に手を突かされて、今度は後ろから激しく突き上げられる。腰をしっかりと掴まれたままぐるぐる腰を回されると、接合部がまたじんじんと熱を持った。内側の新たな場所に刺激をうけて、またすぐに前がせつなく起き上がってくる。
「ふわ……あっ」
「なんだ、元気じゃないか。まだまだこれからだぞ、アルファ」
「ん、……っく」
 後ろからあの低い声で耳に囁かれ、またきゅっと彼のものを締め付けてしまう。

 結局、彼が一度達する間に何度も何度も絶頂を迎えさせられ、アルファはしまいに自分で何を叫んでいるのかもわからなくなり、啼きまくらされて声も掠れてしまった。
 最後はもう完全にへとへとで、アルファはもう彼のなすがまま、その体に寄りかかっているしかできなくなった。そうして彼が以前のようにしてやわらかいスポンジで体を清めてくれている間に、襲ってくる眠気にとうとう逆らえなくなった。

 ほとんど無くなりかけた意識の向こうで、ベータが自分の顔と言わず体といわず優しいキスを落としている。
 アルファは彼の腕のなかであっさりと意識を飛ばした。
 生まれてこのかた感じたこともないほどの、ひどくやわらかで穏やかな感覚に包まれながら。

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