【改訂版】Two Moons~砂に咲く花~

るなかふぇ

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第一部 トロイヤード編 第七章 ふたつの月

11 夢幻(2)※

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 レドが部屋付きの侍従や女官たちをすべて下がらせるまで、シュウはひたすら恥ずかしがって、ずっと両手で顔を隠していた。もちろんその間ずっと、レドは彼を横抱きに抱いたままだった。
 部屋に二人きりになって初めて、レドはシュウを寝台へ運んだ。

 寝台に座らせ、唇はもちろんのこと、頬や項にも何度も啄ばむようなキスを落とす。そうしながら彼の長衣トーガを慣れた手つきで脱がせてゆく。
 シュウは酷く恥ずかしそうに目を伏せてはいたが、何も言わず、ただレドの手に任せていた。伏せた金色の睫が不安そうに震えていた。
 ゆっくりと、その体を寝台へと沈めてゆく。
 首の包帯をするすると抜き取って、まだ少し残っている先日の「跡」を舌でなぞった。

「ふ……」

 シュウの美しい眉根が寄せられる。背中に回った指に力がこもった。

「そ、そこ……く、くすぐった──」
「そうか?」

 身をよじり、目尻に涙を滲ませて見上げられると、ますますそこを攻めたくなる。

「……ここは?」
「っ……!」

 耳に軽く息を吹きかけると、シュウがまた反応した。
 レドは喉奥で笑う。

「ここも弱いみたいだな」

 シュウは真っ赤になったまま、目をぎゅっと閉じている。体じゅうが緊張しているのがいやでも伝わってきた。

「……怖いか?」

 耳元で囁くと、シュウは潤んだ瞳をうっすらと開き、僅かに首を横に振った。

「で……も」
「ん?」
「な……なんか、いまさら……なんですけど」

 少し息の上がった声で、困ったように言葉を紡ぐ。

「なんだ?」
「え、えと……」

 しばらく躊躇ってから、シュウはやっと小さな声で言った。

「女の子じゃ、ないので……。なんていうか──」レドの胸に顔を寄せ、顔を隠してしまう。「つまんなかったら……ごめんなさい」

 レドが目を見開いた。

「だから、そういう──」

(まったくこいつは……いつもいつも)

 そうでなくても吹き飛びそうな自制心を、なぜこうまで煽られるのか。
 もちろん顔には出していないつもりだが、ともすれば自分の欲望だけを先行させて手ひどく抱いてしまいそうになるのをなんとかこらえているというのに。
 本人に自覚がないため、さらに始末に負えなかった。

「いや。こっちの台詞だ」男相手というのなら、レドの方とて初心者だ。お互いたいした違いはない。「辛かったらちゃんと言え。できれば──」
「……?」

 その先は言葉にはしなかった。
 その代わりに、レドはシュウの脇腹に指を這わせ、胸の飾りを舌でなぞった。

「は……んっ」

 シュウの腰が、また跳ねる。
 舌と指の位置を少しずつ下へとずらしてゆくにつれ、シュウが堪えようとしながらも漏らす声には甘やかな響きが混ざりこみ始める。
 白い裸身が、ゆるやかに薔薇色に染まってゆく。

(できれば、最初からくしてやりたい──)

 いささか高望みなのかも知れなかったが、レドは心からそう思った。


 ◇


「んっ……あ……!」

 レドが入ってくるその瞬間、あまりの苦しさに息が詰まった。
 花の香りのする香油で少しずつ時間を掛けて慣らしてもらっていてさえ、その圧倒的な熱量にどうしても腰が引けてしまう。後ろを慣らすと同時に前を愛されて、シュウはすでに一度達してしまっていた。
 その瞬間、頭の芯がじんじん痺れて、一瞬真っ白になった。

「苦しいか……? シュウ」荒い息の下でそう尋ねる、レドの声も苦しそうだった。「今日は、もう──」

 彼が体を離そうとしたのに気付いて、シュウは彼の肩に掛けている手に力をこめた。

「や……っ、です」必死で首を横に振る。「やめな……いで」泣きながら懇願した。こんなところで終わらせるのは、絶対にいやだった。

「しかし」

 心配げなレドの声がする。
 シュウがそっと目を開けると、苦しそうな顔をしながらも、レドはこちらをじっと見守っていた。
 そうやって堪えているほうがどんなに辛いか知れないというのに。実際、受け入れかけているそれは今にも爆発しそうに思われた。
 シュウはなんとか息を整え、笑顔を作る。

「だい……じょうぶ、ですから」できる限りゆっくり呼吸し、体の緊張を解こうとする。「きて……。陛下」

 言って、足をレドの腰に絡めた。途端、シュウの中の熱量が力を増した。

「んんっ……!」

 レドのキスが振ってきて、また抱きしめられる。
 舌に舌を絡み合わされ、片方の手でシュウ自身をそっと撫で上げられて、思わず体をのけぞらせた。

「は……あ、あっ……!」

 その愉悦に、僅かに気を逸らしたその途端、一気に奥まで貫かれた。
 シュウは悲鳴に近い声を上げた。
 目の前がちかちかする。あとはただもう夢中で、レドの背中にしがみついた。

 自分が何かを叫んでいたのか、ただ泣いていたのか、もうよく分からなかった。
 最後に二人で果てるまで、シュウはただただレドの名だけを呼んでいた。
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