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第二部 エスペローサ編 第二章 解放
13 花の香(か)※(1)
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その日も、シュウはまた眠れぬままに、寝台の上で何度も寝返りを打っていた。
そろそろ日付も変わる刻限である。
夕餉の席で夜にここに来るようなことを言っていたが、結局こんな時間までナリウスは来る気配もない。仕方なく寝床に入って、もう一刻ほどが経っていた。
十の月も半ばとなり、外気はすでにかなり冷たくなっている。分厚いカーテンが引かれ、鎧戸が閉まっていても、朝晩は暖炉に火が入っていなければ城の中でも冷え込む日が増えてきていた。監視兵の二人によれば、雪が降り出すのも時間の問題だという。
雪などほとんど目にしたこともないシュウにはそれが少し楽しみだったが、監視兵の二人にそう言うと、もう「とんでもない」といわんばかりに昏々と二人がかりで説明されてしまった。つまり、雪国の生活の厳しさというものについて。
ぱちぱちとはぜる薪の音を聞きながら、ようやくとろとろとまどろんだ時。
するりと何かが自分に覆いかぶさったのに気付いて、シュウははっと目を覚ました。その途端、冷たい指がシュウの顎を捉えてあっというまに唇を塞がれた。そのまま、舌を吸い上げられる。
「……!」
思わず体を固くした。
あの不思議な花の香りがする。暖炉の光でちょうど逆光になっていて相手の顔は見えなかったが、シュウにはすぐに分かった。そうして唇が離れた瞬間その名を呼んだ。
「ナ、ナリウス様……!?」
が、答えはない。そのまま項や首筋に次々と唇を這わされる。
「あ、や……! やめて──」
抵抗しようとしたが、今になって初めて腕が思うように動かないことに気がついた。何か柔らかい布のようなもので、ゆったりとだが確かに縛られている。両腕をあげた状態で、寝台のどこかにくくりつけられているらしい。
くすくすと忍び笑うナリウスの声がした。
「心配するな。つらくはしない……」
耳元で言われて、血の気が引いた。
(ま、まさか……)
ナリウスが自分を抱こうとしている?
でも……どうして?
なんで、今になってそんな……?
しかし、考える暇など与えてはもらえなかった。ナリウスの手はすぐにシュウの夜着の下に忍び入って、胸の尖りをもて遊びはじめたからだ。
「んっ……や、あ……っ」
ぴくりと腰が跳ねて心底恥ずかしい声があがってしまい、シュウは何がなんだかわからなくなる。
「……いい声だ」
楽しげな声が聞こえて、今度はそこを舌先で丁寧に舐められ、転がされた。
「あ……んっ!」
涙を滲ませ体を捩って逃げようとするのを、ナリウスの手がしっかりと遮った。腰を掴んで、すぐにもとの位置に戻されてしまう。その上、足の間に体を入れられ、さらに抵抗できない体勢にされてしまった。
そのまますぐにナリウスの片手が下肢に伸び、着ていた夜着を剥ぎ取ると、下腹や太腿を撫でさわさわとシュウのものにまで触れ始めた。
「ふ……あ、あ……、やあっ……」
シュウの体がのけぞり、腰が震えた。
そうでなくても寂しくて、欲しくて、あれからずっともてあましていた体なのだ。あろうことかそこはもう、すぐに反応してしまったようだった。レドの手ではないというのに。
ナリウスがまた笑う。
「寂しかったみたいだね? すぐに、こんなに──」
「や……、い……言わないで──」
ぽろぽろ涙が零れた。
レドの手ではないのに。
それなのに、自分の体がこんな風になることが恥ずかしくて、恨めしかった。
ナリウスの指先がシュウのものの先の辺りで細かく動き、やがて音を立て始める。くちゅくちゅと先走らせているものを先端に塗りこめる音を聞かせて、シュウを更に羞恥の渦に叩き込もうとしているようだ。
「あ……ああ……ん」
シュウの腰が、もうぴくぴくと勝手に動いてしまった。
「可愛いね……思っていた通りだ」ナリウスは相変わらず嬉しそうに耳元で囁いてくる。「そんなに腰を揺らして……。欲しいかい? もっと」
シュウはなけなしの理性をかき集めて、必死に首を横に振った。
「や……いや……! ゆ、許して──」
ナリウスの声がさらに柔らかくなった。
「いいよ? もっと啼いてごらん? もっともっといい声で啼けたら──」
そのまま耳朶を軽く噛まれた。ぴくん、とシュウの体がまたはねた。
「ふ……っ」
「もしかしたら、許してあげるかも知れないよ……?」
言いながら、シュウのもので濡れた指先を、ぬぷりと後ろに突き込まれた。
「あ……! ああ……っ!」
そのまま何度か抜き挿しされ、すぐに指を増やされた。男のものを受け入れることに慣れた体は、ごく自然にそれを飲み込んでしまう。
ナリウスはシュウの前のほうももう片方の手で刺激し続け、やがてそこに舌まで這わせはじめた。
とろとろと、前も蕩けるような熱に支配されてゆく。
「んあ……あ、ああ……ん」
頭の芯がじんじんし始める。
ぽろぽろと涙が零れてゆく。
ナリウスの指は不思議なほど冷たくて、背中を駆け上がる快感に拍車を掛けてくる。指使いは至って器用らしく、ナリウスはすぐにシュウのいいポイントを見つけてしまったようだった。
ぐちゅぐちゅと淫猥な音をたてながらそこを集中的に攻められて、シュウの腰も声も、もう自分の意思では制御できなくなっている。
「あっ……あ……んあ……」
気がつけば、シュウの口からは艶かしい声が次々に溢れ、ナリウスの指の動きを追うようにして細かく腰を振っていた。
しかし、いつまでたっても指だけの刺激が続いて、次第にシュウは辛くなり始める。
「やっ……そん……」
もう、たまらなかった。指などではもはやおさまるはずのない熱い奔流が腰の奥のほうで疼き、いまにも爆発しそうになっている。
「い……や、ナリウス、さまっ……!」腰を揺らしながら夢中で叫んだ。「いや……もっと……っ」
もっと、奥を。
もっと、熱くて……大きいもので。
「ゆび……もっ、いやあ……!」
シュウが泣きながら悶える声を聴いて、ナリウスが低く嬉しそうに喉奥で笑いを漏らした。
「……そろそろ、欲しい?」
息が上がってなにも答えられずにいると、ナリウスは指の動きを止めて、また耳元に囁いてきた。
「ちゃんと言って? ……欲しいかい?」
そろそろ日付も変わる刻限である。
夕餉の席で夜にここに来るようなことを言っていたが、結局こんな時間までナリウスは来る気配もない。仕方なく寝床に入って、もう一刻ほどが経っていた。
十の月も半ばとなり、外気はすでにかなり冷たくなっている。分厚いカーテンが引かれ、鎧戸が閉まっていても、朝晩は暖炉に火が入っていなければ城の中でも冷え込む日が増えてきていた。監視兵の二人によれば、雪が降り出すのも時間の問題だという。
雪などほとんど目にしたこともないシュウにはそれが少し楽しみだったが、監視兵の二人にそう言うと、もう「とんでもない」といわんばかりに昏々と二人がかりで説明されてしまった。つまり、雪国の生活の厳しさというものについて。
ぱちぱちとはぜる薪の音を聞きながら、ようやくとろとろとまどろんだ時。
するりと何かが自分に覆いかぶさったのに気付いて、シュウははっと目を覚ました。その途端、冷たい指がシュウの顎を捉えてあっというまに唇を塞がれた。そのまま、舌を吸い上げられる。
「……!」
思わず体を固くした。
あの不思議な花の香りがする。暖炉の光でちょうど逆光になっていて相手の顔は見えなかったが、シュウにはすぐに分かった。そうして唇が離れた瞬間その名を呼んだ。
「ナ、ナリウス様……!?」
が、答えはない。そのまま項や首筋に次々と唇を這わされる。
「あ、や……! やめて──」
抵抗しようとしたが、今になって初めて腕が思うように動かないことに気がついた。何か柔らかい布のようなもので、ゆったりとだが確かに縛られている。両腕をあげた状態で、寝台のどこかにくくりつけられているらしい。
くすくすと忍び笑うナリウスの声がした。
「心配するな。つらくはしない……」
耳元で言われて、血の気が引いた。
(ま、まさか……)
ナリウスが自分を抱こうとしている?
でも……どうして?
なんで、今になってそんな……?
しかし、考える暇など与えてはもらえなかった。ナリウスの手はすぐにシュウの夜着の下に忍び入って、胸の尖りをもて遊びはじめたからだ。
「んっ……や、あ……っ」
ぴくりと腰が跳ねて心底恥ずかしい声があがってしまい、シュウは何がなんだかわからなくなる。
「……いい声だ」
楽しげな声が聞こえて、今度はそこを舌先で丁寧に舐められ、転がされた。
「あ……んっ!」
涙を滲ませ体を捩って逃げようとするのを、ナリウスの手がしっかりと遮った。腰を掴んで、すぐにもとの位置に戻されてしまう。その上、足の間に体を入れられ、さらに抵抗できない体勢にされてしまった。
そのまますぐにナリウスの片手が下肢に伸び、着ていた夜着を剥ぎ取ると、下腹や太腿を撫でさわさわとシュウのものにまで触れ始めた。
「ふ……あ、あ……、やあっ……」
シュウの体がのけぞり、腰が震えた。
そうでなくても寂しくて、欲しくて、あれからずっともてあましていた体なのだ。あろうことかそこはもう、すぐに反応してしまったようだった。レドの手ではないというのに。
ナリウスがまた笑う。
「寂しかったみたいだね? すぐに、こんなに──」
「や……、い……言わないで──」
ぽろぽろ涙が零れた。
レドの手ではないのに。
それなのに、自分の体がこんな風になることが恥ずかしくて、恨めしかった。
ナリウスの指先がシュウのものの先の辺りで細かく動き、やがて音を立て始める。くちゅくちゅと先走らせているものを先端に塗りこめる音を聞かせて、シュウを更に羞恥の渦に叩き込もうとしているようだ。
「あ……ああ……ん」
シュウの腰が、もうぴくぴくと勝手に動いてしまった。
「可愛いね……思っていた通りだ」ナリウスは相変わらず嬉しそうに耳元で囁いてくる。「そんなに腰を揺らして……。欲しいかい? もっと」
シュウはなけなしの理性をかき集めて、必死に首を横に振った。
「や……いや……! ゆ、許して──」
ナリウスの声がさらに柔らかくなった。
「いいよ? もっと啼いてごらん? もっともっといい声で啼けたら──」
そのまま耳朶を軽く噛まれた。ぴくん、とシュウの体がまたはねた。
「ふ……っ」
「もしかしたら、許してあげるかも知れないよ……?」
言いながら、シュウのもので濡れた指先を、ぬぷりと後ろに突き込まれた。
「あ……! ああ……っ!」
そのまま何度か抜き挿しされ、すぐに指を増やされた。男のものを受け入れることに慣れた体は、ごく自然にそれを飲み込んでしまう。
ナリウスはシュウの前のほうももう片方の手で刺激し続け、やがてそこに舌まで這わせはじめた。
とろとろと、前も蕩けるような熱に支配されてゆく。
「んあ……あ、ああ……ん」
頭の芯がじんじんし始める。
ぽろぽろと涙が零れてゆく。
ナリウスの指は不思議なほど冷たくて、背中を駆け上がる快感に拍車を掛けてくる。指使いは至って器用らしく、ナリウスはすぐにシュウのいいポイントを見つけてしまったようだった。
ぐちゅぐちゅと淫猥な音をたてながらそこを集中的に攻められて、シュウの腰も声も、もう自分の意思では制御できなくなっている。
「あっ……あ……んあ……」
気がつけば、シュウの口からは艶かしい声が次々に溢れ、ナリウスの指の動きを追うようにして細かく腰を振っていた。
しかし、いつまでたっても指だけの刺激が続いて、次第にシュウは辛くなり始める。
「やっ……そん……」
もう、たまらなかった。指などではもはやおさまるはずのない熱い奔流が腰の奥のほうで疼き、いまにも爆発しそうになっている。
「い……や、ナリウス、さまっ……!」腰を揺らしながら夢中で叫んだ。「いや……もっと……っ」
もっと、奥を。
もっと、熱くて……大きいもので。
「ゆび……もっ、いやあ……!」
シュウが泣きながら悶える声を聴いて、ナリウスが低く嬉しそうに喉奥で笑いを漏らした。
「……そろそろ、欲しい?」
息が上がってなにも答えられずにいると、ナリウスは指の動きを止めて、また耳元に囁いてきた。
「ちゃんと言って? ……欲しいかい?」
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