【改訂版】Two Moons~砂に咲く花~

るなかふぇ

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第二部 エスペローサ編 第二章 解放

16 夜明け前 ※(2)

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「あ、もう……」

 ナリウスの手がこちらの体を再びまさぐるようにし始めて、シュウは困った。
 一晩であれだけ抱かれてしまった体はもう悲鳴を上げている。これ以上抱かれたら、今日は丸一日使い物にならなくなってしまいそうだ。そうでなくても、すでに立ち上がれる自信がないというのに。

「……嫌か?」

 その声に少し不安げな色が混ざっているのに気がついて、シュウは首を振った。

「いいえ。でも、その……体力的に」ちょっと困った笑顔を作る。「今日一日、寝ているわけにもいかないですし──」
「ここで寝ていればいい。アイリスとの勉強なら明日に延期させる」
「いえ、でも……。それでは、あそこまで僕のためにおっしゃってくださったアイリス様に申し訳ないので」

 第一、アイリスにどう説明するのだ。「貴女の兄上に腰が立たなくなるまで抱かれていたので起きられません」と言えとでも?

「それに、仕事の件も……って、あっ!」

 突然、あることに思い至って声をあげた。

「なんだ?」ナリウスが少し驚いたように見返してくる。
「あのっ。まさかとは思いますけど」シュウは慌てて言った。これは確認しておかねばならないことだ。「『これを仕事にしろ』とか、おっしゃいませんよね……?? さすがにちょっとそれ、嫌なんですけど──」

 いやもちろん、命令されれば断る権利などシュウにはないのだが。それでも意思表示くらいはさせてもらわねば。いや、必ずせねばならない。

「……」

 ナリウスの目が丸くなった。どうやら夢にも考えていなかったらしい。それを見て、ようやくシュウはほっとした。

「よかった……。そう言われたら、どうしようかと思いました……」安堵の溜め息をつきながら言う。
「仕事で私に抱かれるのは嫌だと? なぜだ?」
「ん~……」ちょっと考える。「嫌なものは、嫌としか……。それに、ナリウス様はいいんですか? 僕をお金で買って……その、こういうことをするのでも?」
「ふむ」

 ナリウスは目を天蓋のほうへ向け、少し考える様子を見せた。

「……嫌だな」
「でしょ?」

 くすくす笑っていると、また唇を塞がれた。

「ん……ふ……」くちゅくちゅと淫靡な水音を立てながら舌を絡めあう。「あ、だから……駄目ですった……ら、ああ……ん」

 また足の間のものに触れられて、図らずも語尾が蕩けてしまう。なんだか子猫の鳴き声のようだ。

「またそんな声を出す。それで『いやだ、やめて』もないものだ──」ナリウスの声に悪戯っぽいものが混ざりこむ。と同時に手の動きも早められた。
「だっ……て。お、起きてすぐ、触られ、たらっ……あ、あ!」
「そうやってすぐに腰を振り始めるくせに?」
「あ、あ……やあ……ん」
「そんな清らかな顔でそういう淫らな顔をされるとたまらないな……。これもレド王のお仕込みなのか? だったら感謝申し上げなくては──」
「やだっ、もう……! そん……言わなっ……」

 足の間からも淫らにぬめった水音がしはじめて、シュウの腰はさらに跳ねた。

「はあ……ああ……っ」
「……どうする? もう一度欲しいなら──」笑いを含んだナリウスの声がじらすように耳朶に注ぎ込まれた。
 シュウはナリウスを抱きしめて、もう必死に頷いた。

「あ、あ……、ほし……っ!」
「じゃあ……自分で足を開いてごらん?」ナリウスが楽しそうに指示を下す。
「んんっ……」

 もうすでにほどけ掛かっていた足をおずおずと開いて見せると、ナリウスは一旦シュウから体を離し、満足そうにそこを眺めた。

「可愛いね……シュウ。もうこんなになっている」

 震えながら立ち上がっているシュウのものを、ナリウスが軽く指先でつついた。

「あ……あ」

 指先でそっと形をなぞるようにして撫でられ、シュウの足ががくがくと震えた。

「どこに、何が欲しいか言ってごらん? 言ってくれれば、もう意地悪はしないから」
「…………」

 耳元に口を寄せて囁かれると、シュウは羞恥の色を浮かべて少しのあいだ黙った。
 それからぎゅっと目をつぶって、口を引き結んだ。そんなこと、恥ずかしすぎて言えるわけがない。

「……シュウ?」

 真っ赤になって涙を滲ませながらぶんぶん首を横に振るシュウを見て、ナリウスはひっそりと笑った。

「昨夜、さんざんあれだけやったことだよ? それでも、口にするのは恥ずかしい?」
「……!」

 シュウはもう両手で顔を隠して真っ赤になり、横を向いて体を丸めてしまう。
 ナリウスは今まで誰にも見せたことのない瞳の色で自分の「可愛い囚人」を黙ってしばらく見つめていたが、やがてその体をそっと抱きしめた。

「……ごめんね。ちょっといじめ過ぎたね──」

 そうしてシュウの体を自分の方へ向かせるとまた口づけを落とし始め、やがて彼の足を開かせて、その場所へと自身を沈めていった。

 まだ明けそめぬ刻限の暗いナリウスの寝室に、いっときシュウの甘やかな嬌声が溢れて、また静かにおさまっていった。
 
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