春画を売ったら王子たちに食べられた

四季

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「顔を上げて。ここはわたくしの実家の領地よ。レイーシャさまが落ち着かれるまで、今実家に戻って来ているの」

「レイーシャ、さ、ま?」

 マントに包まれているけれど、メリーナさまは綺麗だった。

「ええ、わたくしと正式に結婚したくないと仰ったのよ。きっとすぐに変な女への熱が冷めてわたくしの元へ戻って来るわ。
 だってレイーシャさまは幼いころからわたくしのことをすごく大切にしてくださっているもの」

 メリーナさまは里奈が話すことを許さないかのように勝手に話している。

「わたくしは、とても慈悲深いの。だから、あなたにも好きな死に方を選ばせてあげるわ」

「えっ?」

 今メリーナさまが言った言葉は聞き間違いなんだろうか? でも里奈も毎日頑張ってサーラン語を勉強している。確かに「死」って言ったよね?

「もう本当に非人と言うのは頭が足りないわ。まあ、人間でもない家畜ですから仕方ないのだけれど。本当に子どもを生むしか能のない雌豚ばかりだわ。
 あ~嫌ですわ。わたくしの弟たちはみん非人の雌豚から生まれているのよ。信じられないわ。
 なのに、わたくしのお母さまの子どもとして届け出を出して。なぜあんな家畜から生まれ弟たちがわたくしと同じ尊いカルディア公爵家令嬢のお母さまの子などと許せないことだわ」

 彼女はなにを言っているの?
 里奈を見下ろして話しているはずなのに、全然こっちを見ていないで勝手に話していて狂っている。

「まあ、お父さまが雌豚たちが弟たちを出産した後は処分して、お母さまだけ唯一の妻として大切にしてくださっているから我慢していますけれど。
 お父さまもわたくしがレイーシャさまとの間に息子たちを生んだら、長男は国王で次男はルデェル辺境伯にしてくださると仰っていたから、雌豚出の弟たちはせいぜい我が家のために働いていただいていますの。
 それで、どのような死に方がよろしくて?」

 里奈は後ろに下がろうとしたけれど背中には大木がある。

「そうね、きゅうに言われてもどのような死に方があるか分からないでしょうから、わたくしが以前執行した方法を教えてあげるわ」

 メリーナさまは以前にも人を殺したことがあるの? 寒気で全身に鳥肌が立ちブルブルと震える。

「わたくしの下僕たちに犯され続けて快楽に埋もれながら死ぬ。でもこれはすごく時間がかるのよ。次はわたくしの炎の魔法でジワジワと焼け焦げていく。わたくしはこれが一番おすすめだわ。死体の処分も一度にできますもの。
 後は下僕たちに剣で何度も何度も切り込まれる。わたくしが最後に心臓を刺してさしあげますわ。
 最後にこの泉の中心に歩いて行く。この泉の中心はかなり深く、この泉の主が水底に引きずって行き、二度と水面には戻れないわ。安心してわたくしがきちんとあなたが水の底へ引きずられるように見届けますわ。もし怖じけずづいて引き返さないように、わたくしが攻撃魔法であなたを攻撃できるように待機しておきますわ」

 まるで今日の洋服を選ぶようになにもないように話している。

「ねえ、どれがいい?」

「っひ! ど、どれも、い」「そう、今回は最後の泉にしましょう。これが一番後片付けをしないでいい死に方ですわ。ほら、立って水の中に入って」

 メリーナさまが里奈に立つように言ったけれど、恐怖で腰が抜けた。
 でもメリーナさまは二人の兵士たちに命令をした。

「ひっ!」

 両腕がそれぞれに捕まれて下半身が地面に引きずられた。

「きゃ! やめて! 誰か助けて~!!」

 里奈は暴れて抵抗するのに、二人の方が体格がよくて力が強い。泉のほとりで水の中に放り投げられた。
 里奈は頭から水に入った。運良く、まだ浅瀬のようで立ち上がることができた。

「こっほ、こっほ」

 肺に入った水を吐こうと何度も咳をする。泉の水はそこまで冷たくなくてよかった。やっと息ができるようになって、まわりを見渡す。

「そのまま中央へ歩いて」

 メリーナさまが里奈の方に腕をかざしていた。

「やめて! レイーシャさまともう会わないから。お腹の子どももレイーシャさまの子どもじゃないから」


 メリーナさまはなにか勘違いをしていと思って真実を伝えた。
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