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「メリーナ嬢の罰は後だ。
 ルデェル辺境伯、おまえとカルデェリア公爵家と結託して、非人のことを秘蔵した。王家を途絶えさせた上で、自分たちの親族を王家に入れようとした」

「陛下、それは言いがかりとです」

 ルデェル辺境伯は涼しい顔で返事をする。

「さらに多くの貴族たちと結託して罪なき非人をおぬしの鉱山に送り、その後、そなたの親族で非人を手篭めにし妊娠させて子を生ました。
 その後、殺害している」

「陛下に物語をお作りなると言う特技があったとは、これは素晴らしい! ほっほっほ」

 ジョンリー陛下も彼の言葉を気にせずに話た。

「作り話だったらよかったのう。
 ルデェル辺境伯、非人は私の国民だ。その国民を殺害した罪はきちんと払ってもらう。
 コーディー、発言を許す」

「失礼します。私の母も非人です。そして、ルデェル辺境伯の息子たちはすべて、それぞれ違う非人の母親から生まれました」

 コーディーは忌々しい顔でルデェル辺境伯を睨んでいた。

「陛下! その者の狂言です。お耳を汚します。コーディー、さっさとここから出て行け」

 ルデェル辺境伯の顔のはさっきのような余裕が全然なくなっていた。

「ルデェル辺境伯、もう悪あがきをやめないか。コーディーの他にもおぬしの息子たちが同じ証言をしているぞ」

「なっ、なっ、なぜだ! 我がルデェル家の繁栄のためとみな納得していたではないか? なぜ、今になって叛意するのだ!?」

ルデェル辺境伯が室内にいる数人の者たちを睨んだ。

「メリーナさまです。メリーナさまのせいで私たちも、もう自分たちを守ることにしいたのです」

「はっ? なぜここでメリーナの名名前が出てくるのだ?」

 ルデェル辺境伯がコーディーさまの台詞にびっくりした顔をした。

「ルデェルさまは王都にいてお気づきにならなかったかもしれませんが、メリーナさまは私たち非人の母を持つ者に対して虐待をしていました。
 また非人が子どもを生んだ後に、非人を死刑にする時は、すべての非人の子どもたちを集めていました。もちろんメリーナさまの兄弟たちもです」

「そ、そんな……そんなはずがあるか? メリーナは、メリーナはとても美しくてやさしい女性だ! そんなでたらめな嘘をつくなど許せるか!
 わかった。おまえはルデェル家を則りたいがため、そんな嘘を言うんだな!
 陛下、この男の仕業です! 私に嘘をなすりつけて我が家の筆頭になろうとしているのです」

 ルデェル辺境伯が大きな声でコーディーさまを指差して罵った。

「まあ~、お父さまったら、そんな大声をお出しになって」

 クスクスと、メリーナさまが笑い声を出しながら部屋に入って来た。

「め、メリーナ、な、なんでここにいるのだ!?」

「あら~、そんな大声を出さなくてもわたくしにはきちんと聞こえておりますわ。レイーシャさまから、お父様が非人を排除するとお聞きしましたから、わたくしもお手伝いに来ましたの。
 レイーシャさまはやはりカルデェりあ家の血をきちんと受け継いだしっかりしたお方でしたわ。
 大体非人なんてこの世にはいらないのよ。あんな役立たずなぞ、家畜以下ですわ」

 メリーナさまは顔半分マスクをしていた。そして、ベールを被っており、顔は綺麗な部分しか見えない。彼女の顔半分が焼けてひどい状態とみんな知っているのだろうか。

「メリーナ。黙るんだ! 陛下、メリーナは精神的に病んでいて、今療養中です。だから彼女の言っていることはすべて嘘偽りです」

「そんなわけありませんわ! わたくしは正気ですわ。レイーシャさまもやっとわたくしを愛してくださりましたの! わたくしの意見を尊重してくださり、王家や上流貴族を惑わす非人を排除するのを手伝いしてくださるとおっしゃりましたのよ。
 お父様、レイーシャさまがこの国の陛下になり、すべての非人を排除してくださるそうですわ。
 まずはじめなレイーシャさまをかどわかしたあの女の処刑から始めましょう。
 もう二度も手間を取らせて、さっさとあの時、死ねばよかったのに」

 メリーナさまがブツブツ言いながら、里奈のいる場所に近づいて来た。

「メリーナ……」

 ルデェル辺境伯は真っ青な顔で床に座り込んだ。

「これ以上、前に進むな」

 シーオンさまが里奈を守るように目の前に立つ。

「レイーシャさまが陛下になるのよ。そして、尊き血筋のわたくしが王妃になりますのよ。
 だから下僕は、そこをどきなさい」

 メリーナさまがシーオンさまに言い放ち、手を前にかざした。

「メリーナ嬢を拘束しろ! 王家に対して攻撃した犯罪者だ」

 ジョンリー陛下が大声で叫ぶと、近衛兵たちがメリーナさまを囲んだ。

「わたくしが王妃よ。あなたたちはわたくしを守るためにここにいるのでしょう? さっさとそこをどいて」

「メリーナさま、王座に攻撃魔法を放とうとしたのはここにいる者たちは知っております。おとなしく我々について来てください」

 近衛兵の一人が申し訳なさそうに言った。

「わたくしはこの国で一番ですのよ。なぜおまえたちの言うことを聞かないといけないのか?」

 以前のメリーナさまはもっと負の感情を上手に隠していたのに、今は違った。顔が半分焼けて、気がふれたのだろうか……。

「離しなさい!」

 近衛兵たちがメリーナさまの腕をかけた途端に、彼女が暴れた。

「ひっ!!」

 ベールが剥がれて、焼けた顔と頭部が晒された。まわりは唖然となって彼女を見ていた。
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