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莉斗が選んでくれたもの
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莉斗を自宅へと連れ帰り、明日の予定について話をした。
明日は莉斗に俺が着るタキシードを選んでもらうと言ったら、莉斗は
「俺は何を着るんだ?」
と聞いてきた。
やっぱり覚えてないか。
だけど、莉斗が着るものはもう数年以上前から決定しているよ。
そして、それは絶対に変えられない。
莉斗は何を着せられるんだろうと心配げな表情をしていたが、俺が莉斗に変なものを着させるわけがないという自信があるからか、最後には
「まぁ、湊介が選んでくれたものなら本気で心配はしてないけど」
と言ってくれた。
ああ、とびっきり似合う服を用意しているから楽しみにしていてくれ。
今日も風呂でほかほかになった莉斗を腕の中に抱き、莉斗が寝入ったところでベッドを抜け出て昂りを鎮めてから俺も眠りについた。
そんなことで夜更かししていたくせに、早々と目が覚めたのは今日が待ちに待った日だからだ。
莉斗にタキシードを選んでもらう日がようやく来たと、高校時代の俺に教えてやりたいくらいだ。
莉斗の好きな朝食を一緒に食べ、さっさと出かける準備もして莉斗を車に乗せた。
「じゃあ、行こうか」
「どこのホテルなんだ?」
「ふふっ。ついてからのお楽しみ」
そう言って、車を走らせだんだんと目的のホテルが近づくと
「湊介……もしかしてホテルってあそこ?」
と聞いてきた。
「ふふ、せいかーい。よくわかったな」
「そりゃあ、俺でも知ってるよ。この先にあるのがものすごい高級ホテルだって。あんなところで結婚式とかいいのか?」
「もちろん! あそこは莉斗がいいなって言ってた教会があるから決めたんだし」
「そ、そうなのか……? 湊介、お前……記憶力良すぎじゃない?」
「莉斗の話したことは忘れずに記憶できるようになってるんだよ。愛だな、愛」
「またそういうことを……」
そう言いながら、莉斗は顔を真っ赤にして微笑んでいた。
ホテルについてそのまますぐに莉斗を連れてブライダルルームへと向かった。
あらかじめ連絡をしていたから、俺たちの結婚式の担当者の長塚さんが俺の姿を見て駆け寄ってきた。
彼とはここで結婚式を挙げると決めた1年前からの付き合いだが、今までの打ち合わせは全て俺1人だった。
それが今日は隣に莉斗がいる。
ようやく彼に莉斗を紹介できると思ったら嬉しかったが
「四ノ宮さま! この度はおめでとうございます!!
四ノ宮さまからプロポーズがうまくいったとご報告いただいて私もう嬉しくて!!」
と長塚さんの方が俺より遥かに嬉しそうだった。
こんなにも本気で喜んでくれる彼に嬉しくなりながら、莉斗に彼を紹介すると莉斗は少し照れたように笑っていた。
きっと俺がどれだけ莉斗のことを彼に話していたかがバレてしまったんだろう。
少し落ち着きを取り戻した長塚さんは、俺と莉斗を衣装室へと連れて行ってくれた。
そして莉斗に俺の衣装を選ぶようにと声をかけると、莉斗は
俺が湊介の衣装を選ぶのはいいけど、俺の服とのバランスもあるんじゃないのか?
とりあえず湊介が選んだ俺の服を見せて欲しいんだけど」
と言ってきた。
なるほど。
それは一理ある。
まぁいつまでも隠しておくものでもないし、ここで見せても問題はない。
俺は長塚さんに合図をし、莉斗のために用意しておいた衣装を持ってきてもらった。
「こちらは四ノ宮さまが青葉さまのためにとデザインされ、特注されたこの世にただ一つの御衣装でございます」
そう言いながら長塚さんが莉斗の目の前に衣装の入った箱を置くと、莉斗はものすごくびっくりしていた。
俺のブランドに婚礼衣装がないから、まさか莉斗のために作っているとは思ってもいなかったんだろう。
「莉斗が着る以外の婚礼衣装なんて一生作るつもりはないからな。俺が生涯でデザインする婚礼衣装はこれだけだよ」
驚く莉斗にそう言ってやると莉斗は手を震わせながら、その箱を開けてくれた。
開けた瞬間、莉斗の表情が一気に輝いた。
そうか、覚えててくれたのか。
あの時、莉斗が着てみたいて描いてくれたドレスのデザイン画。
あれの通り忠実に再現したウエディングドレスだ。
あの時……莉斗がドレスを描いてくれた時から俺の将来は決まったんだよ。
そういうと、莉斗は満面の笑みで少し涙を潤ませながら俺に抱きついてきた。
莉斗が人前で俺に抱きついてくれたことに幸せを感じながら、俺は莉斗の可愛い頭を優しく撫で
「よかった、気に入ってくれて……。これで結婚式あげような」
というと、莉斗は嬉しそうに頷いてくれた。
「こうなったらこのドレスにピッタリ合う湊介のタキシード選ばないとな!」
俄然やる気を出した莉斗は、衣装室中のタキシードを見まくって渾身の一枚を選んでくれた。
ダークグリーンのタキシード。
ふふっ。これが莉斗の俺へのイメージか。
せっかくだからその場で試着をしようと声をかけると、莉斗はスタッフの女性たちに試着室へと連れて行かれた。
「さぁ、四ノ宮さまはこちらの試着室をお使いください」
長塚さんに案内され、莉斗の入った試着室の向かいに入った。
「四ノ宮さま。本当にようございました。私もずっと四ノ宮さまのお話を伺っておりましたので、今日この日を迎えられましたこと嬉しくてついはしゃいでしまいました。先程は失礼いたしました」
「いや、あれほど喜んでくれて嬉しかったですよ。あの、それで……莉斗が選んでくれたこのタキシードですが、買取お願いできますか?」
「ふふっ。四ノ宮さまがそう仰ると思って、今日ご用意いたしましたタキシードは全て一点物でございます。もちろん、こちらのタキシードも。他のお客様の目にも触れていない唯一のものでございます。もちろん、お買取もご自由となっております」
「ああ、長塚さん。さすがだな。ありがとう。じゃあ、これを頼むよ。君には本当にどれだけ礼を言ったらいいか……。衣装の持ち込みも引き受けてくれて本当に助かったよ」
「いえいえ、四ノ宮さま特注のドレスを拝見できる機会を逃すなどあるはずがございません。私の方こそお礼を申し上げたいくらいでございます」
そう言って笑顔を見せてくれる長塚さんを見て、本当に彼が担当者で良かったと心から思った。
それから急いでタキシードを着て外へ出ると、
「花嫁さまのお支度が整いました」
と声が聞こえ、莉斗のいる試着室のカーテンが開けられた先にいたのは、まるで天使のように美しい莉斗の姿だった。
俺の一生をかけて作ったドレスを優雅に着こなし、俺に向かって微笑みかける莉斗を見て気づけば俺は涙を流していた。
突然の俺の涙に莉斗は慌てて俺に駆け寄ろうとして、ドレスに足を取られこけそうになった。
それをさっと抱きかかえて俺の腕の中へと閉じ込める。
「高校の時から夢に描いてたことがやっと現実になるんだと思ったら感慨深くなってつい……。恥ずかしいな、俺」
と正直に莉斗に泣いてしまった思いを告げると、
「湊介のこういうところを見られるのが嬉しい。待たせてごめんな」
と言ってくれた。
俺の弱いところも全て包み込んでくれる莉斗。
俺は莉斗と出会えたこと、そしてこの日を迎えられる喜びに俺はもう一度涙を流した。
明日は莉斗に俺が着るタキシードを選んでもらうと言ったら、莉斗は
「俺は何を着るんだ?」
と聞いてきた。
やっぱり覚えてないか。
だけど、莉斗が着るものはもう数年以上前から決定しているよ。
そして、それは絶対に変えられない。
莉斗は何を着せられるんだろうと心配げな表情をしていたが、俺が莉斗に変なものを着させるわけがないという自信があるからか、最後には
「まぁ、湊介が選んでくれたものなら本気で心配はしてないけど」
と言ってくれた。
ああ、とびっきり似合う服を用意しているから楽しみにしていてくれ。
今日も風呂でほかほかになった莉斗を腕の中に抱き、莉斗が寝入ったところでベッドを抜け出て昂りを鎮めてから俺も眠りについた。
そんなことで夜更かししていたくせに、早々と目が覚めたのは今日が待ちに待った日だからだ。
莉斗にタキシードを選んでもらう日がようやく来たと、高校時代の俺に教えてやりたいくらいだ。
莉斗の好きな朝食を一緒に食べ、さっさと出かける準備もして莉斗を車に乗せた。
「じゃあ、行こうか」
「どこのホテルなんだ?」
「ふふっ。ついてからのお楽しみ」
そう言って、車を走らせだんだんと目的のホテルが近づくと
「湊介……もしかしてホテルってあそこ?」
と聞いてきた。
「ふふ、せいかーい。よくわかったな」
「そりゃあ、俺でも知ってるよ。この先にあるのがものすごい高級ホテルだって。あんなところで結婚式とかいいのか?」
「もちろん! あそこは莉斗がいいなって言ってた教会があるから決めたんだし」
「そ、そうなのか……? 湊介、お前……記憶力良すぎじゃない?」
「莉斗の話したことは忘れずに記憶できるようになってるんだよ。愛だな、愛」
「またそういうことを……」
そう言いながら、莉斗は顔を真っ赤にして微笑んでいた。
ホテルについてそのまますぐに莉斗を連れてブライダルルームへと向かった。
あらかじめ連絡をしていたから、俺たちの結婚式の担当者の長塚さんが俺の姿を見て駆け寄ってきた。
彼とはここで結婚式を挙げると決めた1年前からの付き合いだが、今までの打ち合わせは全て俺1人だった。
それが今日は隣に莉斗がいる。
ようやく彼に莉斗を紹介できると思ったら嬉しかったが
「四ノ宮さま! この度はおめでとうございます!!
四ノ宮さまからプロポーズがうまくいったとご報告いただいて私もう嬉しくて!!」
と長塚さんの方が俺より遥かに嬉しそうだった。
こんなにも本気で喜んでくれる彼に嬉しくなりながら、莉斗に彼を紹介すると莉斗は少し照れたように笑っていた。
きっと俺がどれだけ莉斗のことを彼に話していたかがバレてしまったんだろう。
少し落ち着きを取り戻した長塚さんは、俺と莉斗を衣装室へと連れて行ってくれた。
そして莉斗に俺の衣装を選ぶようにと声をかけると、莉斗は
俺が湊介の衣装を選ぶのはいいけど、俺の服とのバランスもあるんじゃないのか?
とりあえず湊介が選んだ俺の服を見せて欲しいんだけど」
と言ってきた。
なるほど。
それは一理ある。
まぁいつまでも隠しておくものでもないし、ここで見せても問題はない。
俺は長塚さんに合図をし、莉斗のために用意しておいた衣装を持ってきてもらった。
「こちらは四ノ宮さまが青葉さまのためにとデザインされ、特注されたこの世にただ一つの御衣装でございます」
そう言いながら長塚さんが莉斗の目の前に衣装の入った箱を置くと、莉斗はものすごくびっくりしていた。
俺のブランドに婚礼衣装がないから、まさか莉斗のために作っているとは思ってもいなかったんだろう。
「莉斗が着る以外の婚礼衣装なんて一生作るつもりはないからな。俺が生涯でデザインする婚礼衣装はこれだけだよ」
驚く莉斗にそう言ってやると莉斗は手を震わせながら、その箱を開けてくれた。
開けた瞬間、莉斗の表情が一気に輝いた。
そうか、覚えててくれたのか。
あの時、莉斗が着てみたいて描いてくれたドレスのデザイン画。
あれの通り忠実に再現したウエディングドレスだ。
あの時……莉斗がドレスを描いてくれた時から俺の将来は決まったんだよ。
そういうと、莉斗は満面の笑みで少し涙を潤ませながら俺に抱きついてきた。
莉斗が人前で俺に抱きついてくれたことに幸せを感じながら、俺は莉斗の可愛い頭を優しく撫で
「よかった、気に入ってくれて……。これで結婚式あげような」
というと、莉斗は嬉しそうに頷いてくれた。
「こうなったらこのドレスにピッタリ合う湊介のタキシード選ばないとな!」
俄然やる気を出した莉斗は、衣装室中のタキシードを見まくって渾身の一枚を選んでくれた。
ダークグリーンのタキシード。
ふふっ。これが莉斗の俺へのイメージか。
せっかくだからその場で試着をしようと声をかけると、莉斗はスタッフの女性たちに試着室へと連れて行かれた。
「さぁ、四ノ宮さまはこちらの試着室をお使いください」
長塚さんに案内され、莉斗の入った試着室の向かいに入った。
「四ノ宮さま。本当にようございました。私もずっと四ノ宮さまのお話を伺っておりましたので、今日この日を迎えられましたこと嬉しくてついはしゃいでしまいました。先程は失礼いたしました」
「いや、あれほど喜んでくれて嬉しかったですよ。あの、それで……莉斗が選んでくれたこのタキシードですが、買取お願いできますか?」
「ふふっ。四ノ宮さまがそう仰ると思って、今日ご用意いたしましたタキシードは全て一点物でございます。もちろん、こちらのタキシードも。他のお客様の目にも触れていない唯一のものでございます。もちろん、お買取もご自由となっております」
「ああ、長塚さん。さすがだな。ありがとう。じゃあ、これを頼むよ。君には本当にどれだけ礼を言ったらいいか……。衣装の持ち込みも引き受けてくれて本当に助かったよ」
「いえいえ、四ノ宮さま特注のドレスを拝見できる機会を逃すなどあるはずがございません。私の方こそお礼を申し上げたいくらいでございます」
そう言って笑顔を見せてくれる長塚さんを見て、本当に彼が担当者で良かったと心から思った。
それから急いでタキシードを着て外へ出ると、
「花嫁さまのお支度が整いました」
と声が聞こえ、莉斗のいる試着室のカーテンが開けられた先にいたのは、まるで天使のように美しい莉斗の姿だった。
俺の一生をかけて作ったドレスを優雅に着こなし、俺に向かって微笑みかける莉斗を見て気づけば俺は涙を流していた。
突然の俺の涙に莉斗は慌てて俺に駆け寄ろうとして、ドレスに足を取られこけそうになった。
それをさっと抱きかかえて俺の腕の中へと閉じ込める。
「高校の時から夢に描いてたことがやっと現実になるんだと思ったら感慨深くなってつい……。恥ずかしいな、俺」
と正直に莉斗に泣いてしまった思いを告げると、
「湊介のこういうところを見られるのが嬉しい。待たせてごめんな」
と言ってくれた。
俺の弱いところも全て包み込んでくれる莉斗。
俺は莉斗と出会えたこと、そしてこの日を迎えられる喜びに俺はもう一度涙を流した。
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