イケメンスパダリシリーズ オメガバース <直己&佳都編>

波木真帆

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運命の出会い 4  <オメガバース>

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<side凌也>

今日は榊くんの友人が事務所にやってくる。

街中でつがいと出会い、自ら強い抑制剤の注射をして道端で倒れた悠木を前に、綾城が対処に苦労していたところに榊くんと周防くんが現れて、悠木と悠木のつがいを病院に搬送する手伝いをしてくれたお礼をしたいと綾城が言ったからだ。

そのお礼として、榊くんは現在付き纏いの被害に遭っている友人を守ってほしいと綾城に依頼したのだ。

Ωである榊くんの友人はもちろんΩ。
しかも私たちの母校である桜城大学経営学部の佐倉教授の息子さんだ。

その彼に付き纏っているのはαの男らしいが、その辺にいるαの男に希少αの綾城が負けるはずがない。
俺が理央と出会っていない頃なら、おそらく俺に依頼していただろうが、今は綾城が適任と言える。

その付き纏いの被害を受けている彼が榊くんと一緒に俺の事務所に来るのは、綾城と顔合わせをするためだ。

あいつはもちろん抑制剤を飲んでいるし、決して過ちなど起こらないが念のために同じ希少αの俺がいる場所で、初めての顔合わせをすることにしたのだ。

約束の時間よりも少し早めに周防くんに送ってもらってやってきた彼は、榊くんよりは少し身長の高い快活な男の子といった印象を受けた。いくつかしか変わらないが、理央よりはずっと大人びて見える。

しばらく仕事をしながら綾城が来るのを待った。

来客用の駐車場に車が一台入ってくる。
あの車は綾城だ。すると後を追いかけるようにもう一台車が入ってきた。

あの車には見覚えがある。というか、日本に数台しかない希少な車だ。
誰が乗っているかなんてわからないわけがない。

あれは悠木の親父さんの車。
多分、綾城が榊くんにお礼を言いに俺の事務所にくるというのを俺の父から聞いた悠木の親父さんが、悠木の代わりにお礼にきたんだろう。

二人が笑顔で話をしながらこちらに向かってくるのを見て、奥の部屋で待っていた榊くんと友人の彼に声をかけた。

「綾城がきたよ。悠木の親父さんも一緒だ」

「えっ、悠木さんのお父さんも?」

「多分榊くんにお礼を言いにきたんだよ」

そんな会話をしながら、事務所スペースに戻った。
事務所の入り口の扉が開いた瞬間、

「なんかいい匂い……」

友人の彼がそう呟いたかと思ったら、入り口にいた悠木の親父さんが綾城の服を捲ったのが見えた。

「おじさん、何を――」

俺がそう叫んだと同時に、綾城が倒れていく。

「佳都くん! 大丈夫?」

俺の背後で、榊くんが青い顔で友人の彼を支えているのが見える。

「まさか……」

自分が理央と会った時のことが一気に思い出される。

俺は急いで榊くんごと、友人の彼を抱き上げさっきまで彼らがいた奥の部屋に連れて行った。

「ここで少し待っていてくれ」

綾城のためにもあまり近づかないほうがいい。
俺の匂いがついては困る。

俺はそれだけ告げると、扉を閉め急いで綾城たちの元に向かった。

「悠木のおじさん! 綾城は?」

「強い抑制剤を打ったから、今は意識を失っている。それでも三十分ほどで目覚めるからすぐにどこか二人が過ごせる場所を確保してくれ。私は彼のほうを見てくる」

「わかりました。奥の部屋にいますから」

悠木の親父さんは俺に綾城を任せると、奥の部屋に向かった。
きっと持っているΩ用の抑制剤を打ってくれるつもりだろう。

見たところ、あの子は理央と違って希少αの体力に負けることはない。
悠木の親父さんがいっていたように、このまま二人を一緒にさせても問題ない。

だが、綾城が意識がない状態では自宅に連れ帰ることもできない。

とすれば緊急シェルターのような場所しかないが、希少αはフェロモンが強すぎて特定のシェルターしか入れない。
ここから少し遠いな……

仕方がない。

俺と理央が過ごしたあのマンションに連れて行こう。

あそこは俺たちが過ごした後、ハウスクリーニングを入れて綺麗に整えてある。
次のヒートの時にまっさらな状態で理央を迎えるためだ。

綾城たちが過ごしてから、またハウスクリーニングを入れても、理央の次のヒートまでには十分間に合う。

「綾城、これは大きな貸しだぞ」

倒れたままの綾城を抱き起こしながら俺はそう呟いた。

そうして、悠木の親父さんの車に綾城を、俺の車に榊くんと友人の彼を乗せ、急いであのマンションに連れて行った。

二人をなんとかベッドに運び込み、先に目覚めるだろう綾城に向けてメッセージを残した。
避妊薬と栄養剤の存在もメッセージで伝えておいたが、ちゃんと飲ませられるかどうかは綾城が頑張るしかない。

そうして俺の匂いを消すスプレーをかけてマンションを出た。
出ると同時にロックがかかるから問題ない。

悠木の親父さんの話では彼は目が覚めたと同時にヒート状態に再度陥る。
それまではフェロモンが出ないから、その間に綾城が動けるだろう。

とりあえず二人きりの空間にしたから、なんとかなる。
そう信じて、俺はふうと胸を撫で下ろした。
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