ベビーシッター先でラブラブな家族生活はじまりました

波木真帆

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必ず君を守ってみせる!  5

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日曜日、部屋から出るとすでに遥くんも子どもたちも起きていた。

「みんな、早いな」

声をかけると、遥くんはまだ少しよそよそしいながらも朝の挨拶をしてくれた。
ほんのりと頬を染めた表情で嫌われてはいないとわかりホッとする。
遥くんの気持ちが落ち着くまでは無理にこちらから近づかないほうがいいのかもしれない。
意識はもうさせたから、今は少し引いておくとしよう。

――西条もそんな恋愛の駆け引きができるようになったのか

そんな磯山のからかい声が聞こえてきそうだ。

「ぱぱー、こっちきてー!」

子どもたちから呼びかけられ、二人の元に近づくと『はるおみ』『はるか』と書かれた紙を見せられる。
ひらがなの中でもかなり難しい字だから、曲線の箇所はぐるぐると余計なところまで入ってしまっているが読めないことはない。この前まで書けなかったことを考えればかなりの上達ぶりだ。
なんせ、ちゃんと読める字なのだからすごい。

「これ、碧斗が書いたのか?」

「うん! ぱぱとはるかちゃんのなまえー! じょーず?」

「ああ、上手だよ。よく書けてる」

「りんくんにおしえてもらったんだー!」

笑顔で顔を見合わせる碧斗と琳くんを見ていると、二人を一緒にいさせて本当に良かったと思う。
それからも二人は絵本を広げながら、次々に文字を書いていく。
読み書きができれば、自分で絵本を読めるようになるだろう。
また新しい絵本を買ってもいいかもしれないな。

子どもたちの成長を感じながら一日は瞬く間に過ぎていった。

そうして週明け。
朝食の時もまだ少しよそよそしかったが、明日はとうとう病院受診の日。
明日、全てが片付いたら私たちの関係も前進させるつもりでいるから、今日まではまだ引いていてもいい。

ただ、私が遥くんに関心を持てなくなったと誤解されないようにだけ気をつけ、笑顔を向け続けた。

いつものように玄関で見送りしてもらい、家を出る。
そのまま地下駐車場ではなくロビー階に降りた。

私のエレベーターが到着するなり、コンシェルジュが駆け寄ってくる。

「おはようございます、西条さま。何かお手伝いいたしますか?」

私が朝からここに立ち寄るのは用事を頼む時だけだからそう思っても無理はない。

「おはよう。来客用の駐車場に止めている私の大切な人・・・・・・の車を移動させようと思ってきただけだから気にしなくていいよ」

「承知いたしました」

「ああ、それから私の留守中、もし尋ねてくる人がいても取り継がなくていいから」

「はい。充分心得ております」

頭を下げ見送ってくれるコンシェルジュに頼むよと最後に声をかけてマンションを出た。
そのまま来客用の駐車場に向かうと、遥くんらしい可愛らしい車が止まっている。

鍵を開け、運転席に乗り込むと遥くんとの身長差を感じて思わず笑みが溢れる。座席を下げ扉を閉めると遥くんの匂いに包まれる。

ああ、あの部屋に入った時と同じ匂いだ。
それだけで興奮してしまう。

車内はさすが遥くんの車だけあって綺麗に清掃が行き届いている。
ぬいぐるみの類はほとんどなく、フェルトとトイレットペーパーの芯で作ったと思われるカエルのぬいぐるみが助手席側にぶら下がっているのが見えた。
手を伸ばしてそっとそれに触れてみれば、<無事に帰るお守り>という言葉が付け加えられていた。

なるほど、これは交通安全のお守りか。
しかも琳くんの手作り。これは嬉しいだろうな。

碧斗と琳くんに作ってもらってぜひ私の車にもこの交通安全のお守りをつけたいものだ。
私がこれをつけて会社に行ったら久瀬くんが驚くだろうがな。

エンジンをかけ、久しぶりにAT車に乗り地下駐車場に向かった。
私の所有する十五台の駐車スペースのうち十台は埋まっているがその中でも一番使いやすい場所に入れておこう。

いつも以上に丁寧に車を止め、座席を元に戻して車を降りた。
そうして自分の車に乗り換えて仕事に向かう。
ほのかに遥くんの匂いを纏っているようで私の車に遥くんが乗ってくれているように錯覚してしまう。

匂いだけでここまで興奮できるとは、私も限界が近いのかもしれない。

全ては明日だ。その気持ちをしっかりと心に刻み込んだ。

「おはようございます、社長」

専用駐車場に車を止めるとすぐに久瀬くんがやってくる。

「おはよう。久瀬くん、明日からのことだが……」

気になるのは明日からの日程だけだ。

「明日から二日間の休日ですね。問題ありません。その分今日はスケジュールを詰め込んでいますので昼食は軽食をご用意しています」

昼食の時間を削って仕事をこなすということか。
それで明日からの休みが取れるならなんてことはない。

「わかった。すぐに取り掛かるからコーヒーだけ淹れてくれ」

それだけ告げて、私は急いで社長室に向かった。
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