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番外編
手作りの贈り物
磯山の番号をタップする。数回コールの後に電話がつながった。
ーもしもし、西条?
ー休日にすまない。今、電話は大丈夫か?
ーああ。今、直と祖父の家に来ている。
ーおじいさんの家?
ー昨日が祖父の誕生日だったんだ。だから、家族でお祝いをしていた。
ーそうか、お祝い……じゃあ、邪魔したら悪いな。
ーどういうことだ?
ーいや、今、子どもたちが磯山のおじいさんに会いたいと言い出して、都合が合えばと思っていたんだ。いや、気にしないでくれ。
ーそういうことか。うちは構わないぞ。祖父も碧斗くんと琳くんが来てくれたら喜ぶし、ちょっと待っててくれ。話をしてみる。
ーあ、ちょっ――
そこまで無理しなくてもいいと言おうとしたが、磯山はもう家族に話をしているみたいだ。
すると、少し遠くから<可愛い孫たちを早く連れてきてくれ>と声が聞こえる。
ーははっ。西条、今の聞こえたか?
ー今の声、おじいさんか?
ーああ。遊びに来てくれそうだって話したら大喜びしてるよ。前、泊まりに来てくれて帰った時から次はいつ泊まりに来てくれるんだって楽しみにしていたから。
ーそうなのか?
ーうちには碧斗くんたちくらいの子どもはいないからな。みんな嬉しいんだよ。
みんなというのは、おじいさんの誕生日を祝うために集まっている家族の面々だろう。
ー大勢集まっているから、西条たち四人くらい増えても構わないよ。よかったら遊びに来てくれ。何も持ってこないでいいから。
ーじゃあ、少しだけお邪魔するよ。子どもたちがおじいさんに見せたいものがあるだけだから。ここからなら二十分くらいでつけるかな。
ーわかった。車はこの前のところに止めてくれ。
そう言って電話は切れた。
「ぱぱー、どうだったー?」
「遊びに来ていいって。おじいさんのお誕生日のお祝いをしているそうだよ」
「えー! おじーちゃん、おたんじょーびなの? おいわいしなくちゃ! なにがいーかな?」
碧斗と琳は誕生日と聞くや二人で何やら考え始めた様子。
「あの、悠臣さん……お邪魔して本当に大丈夫なんですか?」
「おじいさんが子どもたちに会いたいと言ってくれているそうだよ。家族もみんな集まっているみたいだから、遥も直くんたちと話ができるよ」
「それは、嬉しいですけど……」
本当にいいのかなと心配しているようだ。
「せっかく誘ってくれているから行こう。途中で何か手土産でも買って行こう」
何もいらないと言われたが、そうはいかない。
ここからおじいさんの家に行く途中にプリン専門店があったはずだ。
記憶通りその店を見つけた私は車を止め、みんなで中に入った。
ショーケースに並んだ瓶詰めプリンを見て遥が嬉しそうに声を上げる。
碧斗と琳は店の隅に用意された子どもコーナーを見つけて折り紙で遊び始めた。
二人を気にしつつ、バニラ、カフェラテ、ミルクティ、抹茶、ほうじ茶、桜、桃の七種類のプリンを三個ずつ購入した。
遥は選び終えると子どもたちの元に向かい、私は箱詰めされた商品を受け取った。
「遥。碧斗。琳」
声をかけると、碧斗と琳が手に持っていたものをパッと背中に隠す。
「なんだ?」
「おじーちゃんのプレゼントなのー! ぱぱはまだみちゃだめー!」
二人は必死に私に隠そうとする。
遥は笑って私に教えてくれた。
「悠臣さんのことも一緒に驚かせたいそうです」
「そうか。じゃあ、楽しみにしておこう」
碧斗と琳は背中に隠したまま、もう片方の手で私と遥の手を握る。
車に乗り込む時も、「ぱぱー、めぇー、つむってー」と無理難題を言われつつもなんとか見ずに済ませられた。
そうして磯山のおじいさんの家に到着した。
チャイルドシートから下ろすと、碧斗と琳はウサギのぬいぐるみでプレゼントを隠しながら、玄関に駆け出していく。
そしてチャイムも鳴らさずに
「おじーちゃん。りんとあおとくんがきたよー!」
と大きな声を出す。
慌てて駆け寄ると、中から玄関の扉が開いた。
「ははっ。元気いいな」
出てきたのは磯山。
「磯山。悪いな」
「いや、来てくれて喜んでいるよ。友利さんもありがとう。直が会いたがってたよ」
気を遣わせないように私たちに声をかけてくれる。
そんな磯山に碧斗が話しかけた。
「あ、ぱぱのおともだちー!」
「覚えててくれたか。昇おじさんだよ」
「のぼるおじちゃん?」
「そう。おじいさんが待っているから連れて行こう。西条と友利さんも中に入って」
あのお泊まりですっかり打ち解けた様子の子どもたちと磯山のやりとりを見ながら、私と遥もお邪魔させてもらった。
「おじーちゃん!」
「おお、琳くん、碧斗くん。来てくれてありがとう」
「おたんじょーび、おめでとー!」
琳と碧斗はそう言って駆け寄り、手作りのピンクのカーネーションを手渡した。
* * *
いつも読んでいただきありがとうございます!
このお話も今話でなんと200話!
自分でもびっくりしています。
本編は完結しましたが、これからも番外編を続けていきたいと思っていますので楽しんでいただければ嬉しいです♡
ーもしもし、西条?
ー休日にすまない。今、電話は大丈夫か?
ーああ。今、直と祖父の家に来ている。
ーおじいさんの家?
ー昨日が祖父の誕生日だったんだ。だから、家族でお祝いをしていた。
ーそうか、お祝い……じゃあ、邪魔したら悪いな。
ーどういうことだ?
ーいや、今、子どもたちが磯山のおじいさんに会いたいと言い出して、都合が合えばと思っていたんだ。いや、気にしないでくれ。
ーそういうことか。うちは構わないぞ。祖父も碧斗くんと琳くんが来てくれたら喜ぶし、ちょっと待っててくれ。話をしてみる。
ーあ、ちょっ――
そこまで無理しなくてもいいと言おうとしたが、磯山はもう家族に話をしているみたいだ。
すると、少し遠くから<可愛い孫たちを早く連れてきてくれ>と声が聞こえる。
ーははっ。西条、今の聞こえたか?
ー今の声、おじいさんか?
ーああ。遊びに来てくれそうだって話したら大喜びしてるよ。前、泊まりに来てくれて帰った時から次はいつ泊まりに来てくれるんだって楽しみにしていたから。
ーそうなのか?
ーうちには碧斗くんたちくらいの子どもはいないからな。みんな嬉しいんだよ。
みんなというのは、おじいさんの誕生日を祝うために集まっている家族の面々だろう。
ー大勢集まっているから、西条たち四人くらい増えても構わないよ。よかったら遊びに来てくれ。何も持ってこないでいいから。
ーじゃあ、少しだけお邪魔するよ。子どもたちがおじいさんに見せたいものがあるだけだから。ここからなら二十分くらいでつけるかな。
ーわかった。車はこの前のところに止めてくれ。
そう言って電話は切れた。
「ぱぱー、どうだったー?」
「遊びに来ていいって。おじいさんのお誕生日のお祝いをしているそうだよ」
「えー! おじーちゃん、おたんじょーびなの? おいわいしなくちゃ! なにがいーかな?」
碧斗と琳は誕生日と聞くや二人で何やら考え始めた様子。
「あの、悠臣さん……お邪魔して本当に大丈夫なんですか?」
「おじいさんが子どもたちに会いたいと言ってくれているそうだよ。家族もみんな集まっているみたいだから、遥も直くんたちと話ができるよ」
「それは、嬉しいですけど……」
本当にいいのかなと心配しているようだ。
「せっかく誘ってくれているから行こう。途中で何か手土産でも買って行こう」
何もいらないと言われたが、そうはいかない。
ここからおじいさんの家に行く途中にプリン専門店があったはずだ。
記憶通りその店を見つけた私は車を止め、みんなで中に入った。
ショーケースに並んだ瓶詰めプリンを見て遥が嬉しそうに声を上げる。
碧斗と琳は店の隅に用意された子どもコーナーを見つけて折り紙で遊び始めた。
二人を気にしつつ、バニラ、カフェラテ、ミルクティ、抹茶、ほうじ茶、桜、桃の七種類のプリンを三個ずつ購入した。
遥は選び終えると子どもたちの元に向かい、私は箱詰めされた商品を受け取った。
「遥。碧斗。琳」
声をかけると、碧斗と琳が手に持っていたものをパッと背中に隠す。
「なんだ?」
「おじーちゃんのプレゼントなのー! ぱぱはまだみちゃだめー!」
二人は必死に私に隠そうとする。
遥は笑って私に教えてくれた。
「悠臣さんのことも一緒に驚かせたいそうです」
「そうか。じゃあ、楽しみにしておこう」
碧斗と琳は背中に隠したまま、もう片方の手で私と遥の手を握る。
車に乗り込む時も、「ぱぱー、めぇー、つむってー」と無理難題を言われつつもなんとか見ずに済ませられた。
そうして磯山のおじいさんの家に到着した。
チャイルドシートから下ろすと、碧斗と琳はウサギのぬいぐるみでプレゼントを隠しながら、玄関に駆け出していく。
そしてチャイムも鳴らさずに
「おじーちゃん。りんとあおとくんがきたよー!」
と大きな声を出す。
慌てて駆け寄ると、中から玄関の扉が開いた。
「ははっ。元気いいな」
出てきたのは磯山。
「磯山。悪いな」
「いや、来てくれて喜んでいるよ。友利さんもありがとう。直が会いたがってたよ」
気を遣わせないように私たちに声をかけてくれる。
そんな磯山に碧斗が話しかけた。
「あ、ぱぱのおともだちー!」
「覚えててくれたか。昇おじさんだよ」
「のぼるおじちゃん?」
「そう。おじいさんが待っているから連れて行こう。西条と友利さんも中に入って」
あのお泊まりですっかり打ち解けた様子の子どもたちと磯山のやりとりを見ながら、私と遥もお邪魔させてもらった。
「おじーちゃん!」
「おお、琳くん、碧斗くん。来てくれてありがとう」
「おたんじょーび、おめでとー!」
琳と碧斗はそう言って駆け寄り、手作りのピンクのカーネーションを手渡した。
* * *
いつも読んでいただきありがとうございます!
このお話も今話でなんと200話!
自分でもびっくりしています。
本編は完結しましたが、これからも番外編を続けていきたいと思っていますので楽しんでいただければ嬉しいです♡
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