ベビーシッター先でラブラブな家族生活はじまりました

波木真帆

文字の大きさ
34 / 203

執着のはじまり※微 4

しおりを挟む
一度はその提案を断ろうとしたが、遥くんも私に自分の息子の風呂を任せることを申し訳ないと思っているのだろう。
それなら役割分担ということで受けたほうがいいか。

自分に納得させて了承すると、遥くんが笑顔を見せた。
と思ったら何かを思い出したのか突然パソコンを借りたいと言い出した。

気になって尋ねれば今日の仕事内容の報告書を会社に送らないといけないらしい。
この家から出られない以上、報告書はメールで送るしかないのだから必要だろう。

私のパソコンを貸しても問題はないが、これから毎日使うのなら専用のものの方が使いやすいだろう。
風呂から上がったらすぐにコンシェルジュに用意させるとしよう。

その件を了承し、私は二人の子どもを連れて脱衣所に向かった。

「りんくん、あおとがおせなか、ながしてあげるねー!」

「ありがとー!」

浮かれまくっている碧斗の服を脱がし、琳くんの服も脱がす。
人の子どもを裸にするのはなんとなく照れてしまうが、ここは何でもないように見せておかないとな。

病院からもらった防水カバーを琳くんの腕につけ、自分も服を脱ぐ。

服を脱いでいると、琳くんがやけにじっと見てくるのが気になる。
華奢な遥くんとあまりにも体型が違いすぎて怖がられているのかもしれない。
そう思っていたのだが、なぜか目をキラキラさせて近づいてきた。

「ねぇ、おじちゃんのおちんちん、すっごくおっきいねー!」

「えっ! そ、そうか?」

想像していなかった言葉に思わず声が上擦ってしまった。

「うん! はるかちゃんよりずっと、ずーっとおっきぃーよ! どうしてこんなにおっきぃの?」

「どうしてって……その、おじさんは琳くんのパパより身長も高いからかな」

「そっかー! りんもおっきくなったらおじちゃんみたいになりたーい!!」

楽しそうにはしゃいでいるが、見た感じ多分そうはならないだろう。
今の時点でも碧斗よりずっと小さくて可愛らしい見た目をしているのだから。

それにしても遥くんのか……。
くっ! 想像してはダメだ!

「か、風邪をひくといけないから入ろうか」

「はーい!」

二人の手をとって浴室に入る。
まずは碧斗からだ。

琳くんに水がかからないように椅子に座らせて、碧斗の髪を洗うと、その間に自分で身体を洗っている。
これはいつものことだから問題ない。
そして最後に洗い残しがないように上から下まで洗って一気に泡を洗い流す。これで終わりだ。

交代して琳くんを座らせるが、琳くんの場合は碧斗のようにはいかない。
髪を優しく洗い、顔にかからないように泡を洗い流した。
碧斗のシャンプーを使ったが、琳くんの髪質には合わないのかもしれない。
明日にでも肌に優しいものを揃えるとしよう。

「琳くん、身体は洗えるかな?」

「うん! だいじょーぶ!」

背中は碧斗が洗い、あとは自分で洗っているのを見ながら私もさっと身体を洗い流した。
髪は二人を出した後、のんびり洗えばいい。

もこもこの泡だらけになっている琳くんの身体を洗い流し、二人を抱っこして湯船に浸かる。
私の膝に一人ずつ座らせれば三人であったまることができる。

「ねぇー、ぱぱー。こんどははるかちゃんもいっしょに、はいろーよ! そうしたらたのしーよ!」

「えっ? 一緒に? いや、流石にそれは……」

「どうしてー?」

キョトンとした顔で聞いてくるが、理由を伝えても碧斗にはわからないだろう。

「三人でもいいだろう」

「えー、なかまはずれはだめなんだよー!」

仲間はずれか……。
そんなつもりはないがわからないだろうな。

「さぁ、そろそろ琳くんを迎えにきてもらおう。碧斗、あのスイッチを押してきてくれ」

碧斗だけを洗い場にだし、スイッチを押してもらうとすぐに脱衣所の扉が開いた。

琳くんの名前が呼ばれ、私は引き戸をさっと開けて琳くんだけを出しすぐに扉を閉めた。

碧斗を湯船にもどし、尋ねてみた。

「碧斗は、琳くんが好きか?」

「すきってなーに?」

「ずっと一緒にいたいと思うか?」

「うん! あおと、りんくんといっしょにいたいー!!」

ああ、やっぱりな。碧斗は好きということがわからなくても本能で知っているんだ。

「そうか、じゃあ優しくしないとな」

素直に頷く碧斗を抱きかかえて、私は湯船を出た。

頃合いを見計らってスイッチを押すとすぐに脱衣所の扉が開き、琳くんの声が聞こえた。
琳くんが碧斗を迎えにきたのかと無防備に先ほどよりも大きく扉を開くと、私の視線の先に遥くんの姿が見えた。

慌てて閉めようとした私の目は、彼が私の股間を見て真っ赤な顔で逸らしたのを見逃さなかった。

さっと扉を閉めたが、あの視線が頭から離れない。
遥くんに見られた衝撃で私の股間はとんでもないことになってしまっている。

「あとはのんびりなさってください」

遥くんの声が扉の向こうから聞こえる。
のんびりしろというのが、それを鎮めてきてと言われているように聞こえてしまう。

私はシャワーの音で誤魔化しながら、昂りを刺激して欲望の蜜を放出した。

遥くんに見られただけでこんなに興奮するなんて私の身体は一体どうしてしまったんだろう……。

頭を冷やそうと私はシャワーの温度を下げ、思いっきり頭から浴びた。

なんとか冷静に戻り、風呂を出た。

着替えを済ませて、脱衣所を出るといい匂いが漂ってくる。
あと十分で食べられるというからその間にパソコンを頼んでおいた。
私が新しく用意したことに恐縮していたが、気にすることはない。

夕食ができ、碧斗と琳くんを椅子に座らせる。
琳くんにはクッションを重ねて高くしているがこれも碧斗と同じものを買ったほうがいいだろう。
買うものリストを頭に入れながら、席についた。

今日の夕食は炊き込みご飯と卵スープ。唐揚げにカレイの煮付けまである。
これを短時間で仕上げたのかと思うとすごいの一言しかない。

子どもたちがおにぎりだからか遥くんもいっしょに食卓についているが、目の前に置かれた煮付けを自分が食べることなく碧斗と琳くんのお皿に取り分けていく。

遥くんの箸で取り分けたものを碧斗が食べることがなんとなくモヤモヤして、自分の煮付けを碧斗と分けると遥くんに伝えた。

私の食事が足りなくなるのではと心配してくれたが問題ない。

楽しげな子どもたちを見ながらあっという間に夕食を食べ終えた。

そのタイミングでパソコンが届き、すぐに使えるようにセッティングして遥くんに渡した。

片付けを済ませた遥くんはそのパソコンで早速報告書を作成していたが、その動きを見て私は驚いた。
パソコンにかなり長けている。うちの社員でも十分やっていけそうなその手際の良さに驚いている間に、報告書を完成させメールで送ったようだ。

碧斗も琳くんも二人で楽しそうに遊んでいる。

「子どもたちはまだ寝るには早いだろう。その間に遥くんも風呂に入ってくるといい」

そう告げた時、遥くんの着替えがないことに気づいた。
私としたことがなんたる失態。

今からコンシェルジュに……と一瞬思ったが、遥くんが着るものを他人に用意させたくないという感情が湧き上がった。

遥くんは今着ている服を着ると言ったがそんなことはさせられない。

私は急いで自室に戻り、新品の下着を取り出した。
きっと彼には大きいだろうがないよりマシだろう。
それと夏用の半袖半パンの紺色のパジャマを取り出して、遥くんの元に持っていった。

「ありがとうございます。それではお借りします」

頭を下げ、脱衣所に入っていく遥くんを見ながら、私は出てきた時の姿をすでに想像してしまっていた。



  *   *   *

次回から遥視点に戻ります。
どうぞお楽しみに♡
しおりを挟む
感想 527

あなたにおすすめの小説

母は何処? 父はだぁれ?

穂村満月
ファンタジー
うちは、父3人母2人妹1人の7人家族だ。 産みの母は誰だかわかるが、実父は誰だかわからない。 妹も、実妹なのか不明だ。 そんなよくわからない家族の中で暮らしていたが、ある日突然、実母がいなくなってしまった。 父たちに聞いても、母のことを教えてはくれない。 母は、どこへ行ってしまったんだろう! というところからスタートする、 さて、実父は誰でしょう? というクイズ小説です。 変な家族に揉まれて、主人公が成長する物語でもなく、 家族とのふれあいを描くヒューマンドラマでもありません。 意味のわからない展開から、誰の子なのか想像してもらえたらいいなぁ、と思っております。 前作「死んでないのに異世界転生? 三重苦だけど頑張ります」の完結記念ssの「誰の子産むの?」のアンサーストーリーになります。 もう伏線は回収しきっているので、変なことは起きても謎は何もありません。 単体でも楽しめるように書けたらいいな、と思っておりますが、前作の設定とキャラクターが意味不明すぎて、説明するのが難しすぎました。嫁の夫をお父さんお母さん呼びするのを諦めたり、いろんな変更を行っております。設定全ては持ってこれないことを先にお詫びします。 また、先にこちらを読むと、1話目から前作のネタバレが大量に飛び出すことも、お詫び致します。 「小説家になろう」で連載していたものです。

【完】あの、……どなたでしょうか?

桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー  爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」 見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は……… 「あの、……どなたのことでしょうか?」 まさかの意味不明発言!! 今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!! 結末やいかに!! ******************* 執筆終了済みです。

忘れられた幼な妻は泣くことを止めました

帆々
恋愛
アリスは十五歳。王国で高家と呼ばれるう高貴な家の姫だった。しかし、家は貧しく日々の暮らしにも困窮していた。 そんな時、アリスの父に非常に有利な融資をする人物が現れた。その代理人のフーは巧みに父を騙して、莫大な借金を負わせてしまう。 もちろん返済する目処もない。 「アリス姫と我が主人との婚姻で借財を帳消しにしましょう」 フーの言葉に父は頷いた。アリスもそれを責められなかった。家を守るのは父の責務だと信じたから。 嫁いだドリトルン家は悪徳金貸しとして有名で、アリスは邸の厳しいルールに従うことになる。フーは彼女を監視し自由を許さない。そんな中、夫の愛人が邸に迎え入れることを知る。彼女は庭の隅の離れ住まいを強いられているのに。アリスは嘆き悲しむが、フーに強く諌められてうなだれて受け入れた。 「ご実家への援助はご心配なく。ここでの悪くないお暮らしも保証しましょう」 そういう経緯を仲良しのはとこに打ち明けた。晩餐に招かれ、久しぶりに心の落ち着く時間を過ごした。その席にははとこ夫妻の友人のロエルもいて、彼女に彼の掘った珍しい鉱石を見せてくれた。しかし迎えに現れたフーが、和やかな夜をぶち壊してしまう。彼女を庇うはとこを咎め、フーの無礼を責めたロエルにまで痛烈な侮蔑を吐き捨てた。 厳しい婚家のルールに縛られ、アリスは外出もままならない。 それから五年の月日が流れ、ひょんなことからロエルに再会することになった。金髪の端正な紳士の彼は、彼女に問いかけた。 「お幸せですか?」 アリスはそれに答えられずにそのまま別れた。しかし、その言葉が彼の優しかった印象と共に尾を引いて、彼女の中に残っていく_______。 世間知らずの高貴な姫とやや強引な公爵家の子息のじれじれなラブストーリーです。 古風な恋愛物語をお好きな方にお読みいただけますと幸いです。 ハッピーエンドを心がけております。読後感のいい物語を努めます。 ※小説家になろう様にも投稿させていただいております。

子持ちの私は、夫に駆け落ちされました

月山 歩
恋愛
産まれたばかりの赤子を抱いた私は、砦に働きに行ったきり、帰って来ない夫を心配して、鍛錬場を訪れた。すると、夫の上司は夫が仕事中に駆け落ちしていなくなったことを教えてくれた。食べる物がなく、フラフラだった私は、その場で意識を失った。赤子を抱いた私を気の毒に思った公爵家でお世話になることに。

冷徹公爵の誤解された花嫁

柴田はつみ
恋愛
片思いしていた冷徹公爵から求婚された令嬢。幸せの絶頂にあった彼女を打ち砕いたのは、舞踏会で耳にした「地味女…」という言葉だった。望まれぬ花嫁としての結婚に、彼女は一年だけ妻を務めた後、離縁する決意を固める。 冷たくも美しい公爵。誤解とすれ違いを繰り返す日々の中、令嬢は揺れる心を抑え込もうとするが――。 一年後、彼女が選ぶのは別れか、それとも永遠の契約か。

美形×平凡の子供の話

めちゅう
BL
 美形公爵アーノルドとその妻で平凡顔のエーリンの間に生まれた双子はエリック、エラと名付けられた。エリックはアーノルドに似た美形、エラはエーリンに似た平凡顔。平凡なエラに幸せはあるのか? ────────────────── お読みくださりありがとうございます。 お楽しみいただけましたら幸いです。 お話を追加いたしました。

【完結】無口な旦那様は妻が可愛くて仕方ない

ベル
恋愛
旦那様とは政略結婚。 公爵家の次期当主であった旦那様と、領地の経営が悪化し、没落寸前の伯爵令嬢だった私。 旦那様と結婚したおかげで私の家は安定し、今では昔よりも裕福な暮らしができるようになりました。 そんな私は旦那様に感謝しています。 無口で何を考えているか分かりにくい方ですが、とてもお優しい方なのです。 そんな二人の日常を書いてみました。 お読みいただき本当にありがとうございますm(_ _)m 無事完結しました!

離婚する両親のどちらと暮らすか……娘が選んだのは夫の方だった。

しゃーりん
恋愛
夫の愛人に子供ができた。夫は私と離婚して愛人と再婚したいという。 私たち夫婦には娘が1人。 愛人との再婚に娘は邪魔になるかもしれないと思い、自分と一緒に連れ出すつもりだった。 だけど娘が選んだのは夫の方だった。 失意のまま実家に戻り、再婚した私が数年後に耳にしたのは、娘が冷遇されているのではないかという話。 事実ならば娘を引き取りたいと思い、元夫の家を訪れた。 再び娘が選ぶのは父か母か?というお話です。

処理中です...