79 / 202
寂しくなっちゃうかな
しおりを挟む
「ぱぱー! とってもいいよー!!
「うん! すっごくいいー!!」
琳と碧斗くんのはしゃぐ声が耳に入って僕は目を覚ました。
「ん? ここは……?」
目を開けて周りを見るとそこは朝見た光景が広がっていた。
あれ? ここって、西条さんの部屋?
びっくりして起き上がると、やっぱりそこは西条さんの部屋だった。
なんで?
一瞬頭が働かなかったけれど、手のひらにサラサラのシーツが触れて思い出した。
あっ! そうだ!
僕がシーツのことを聞いたからここに連れてきてくれて教えてくれたんだ。
僕がベッドに寝てしまったせいで、その時のシーツを捨てたんじゃないかって勝手に落ち込んで……。
それが違ったってわかってホッとして……そこからの記憶がないけどもしかしてそれで寝ちゃった?
西条さんが僕をまたベッドに寝かせてくれたってこと?
うそっ! 碧斗くんと琳をほったらかしにして昼寝なんてっ!
一気に血の気が引いて慌ててベッドから下りて扉に向かうと、ほんの少し開いていた扉から碧斗くんと琳の楽しそうな声が聞こえた。
「ぱぱー、これもはやくー!」
「わかった、わかった」
あれって、西条さんの声?
そっと扉を開いて外を覗き見すると、壁に額縁を飾っているのが見える。
邪魔にならないようにゆっくり近づくと、琳が僕に気づいた。
「あー! はるかちゃん、おきたー!!」
嬉しそうに駆け寄ってきた琳が僕の足にしがみつく。
「もうだいじょーぶ?」
「えっ?」
大丈夫ってどういうことだろう?
「はるかちゃんがつかれておねんねしてるってぱぱがいってた。もうつかれてない?」
西条さんがそんなことを……。勝手に寝ちゃってただけなのに、本当に優しいな。
僕はしゃがんで琳と目を合わせて笑顔を見せた。
「うん。ぐっすり寝たから大丈夫。碧斗くんたちのところに行こうか」
琳を抱っこして立ち上がり、西条さんと碧斗くんのところに近づくと西条さんに笑顔で迎えられる。
「はるかちゃん、みてみてー! ぱぱがかざってくれたのー!!」
嬉しそうな碧斗くんの声に壁に視線を向けると、二人が描いていたあの絵が飾られていた。
もちろん僕が西条さんにお姫さま抱っこされているあの絵も一緒に。
「本当に良く描けてる。遥くんもそう思うだろう?」
「え、はい。そうですね」
とっても上手なのは間違い無いけど、ちょっと恥ずかしい。
でもせっかく飾ってくれたんだし、子どもたちも喜んでいるからいいのかな。
「ねぇ、はるかちゃん。おなかすいたー!」
そんな琳の声に時計を見たらもう六時前。
結構寝たと思ったけど、ここまで時間が経っているとは思わなかった。
「あ、あのさぃ……悠臣さん、お仕事はよかったんですか?」
僕が寝ている間、仕事に行ったとは思えない。
だからあれからずっと碧斗くんと琳のそばにいてくれたはず。
「問題ないよ。さっきまでそこで仕事をしていたからね」
見ればダイニングテーブルの西条さんがいつも座っている場所にパソコンが置いてある。
「ついさっき、頼んだ額縁が届いたから飾っていたところだったんだ。今から食事を作るなら手伝おうか? それとも先に風呂に入ってきたほうがいいかな?」
「あ、えっと……」
今日のメニューは割と簡単に出来るけど、ご飯が炊けるまで少し時間がかかるかな。
「あの、できればお風呂に入ってもらってたほうが……」
「わかった。今日は着替えまで私がするから遥くんは料理に専念していて良いよ」
そういうが早いか、西条さんは僕の腕から琳を受け取り、碧斗くんを連れて着替えを用意しに行った。
なんだか西条さんの育児スキルが上がっている気がする。
「ぱぱー、りん。これがいいー!」
「碧斗もそれでいいか?」
「うん、りんくんとおなじがいいー!」
あっという間に着替えを選び終えて、
「はるかちゃん。おふろいってくるねー!!」
と嬉しそうな声をあげて三人で脱衣所に入って行った。
なんだか本当の家族みたいだな。
ご飯だけ炊いて、こっそり脱衣所を覗きに行くと三人の楽しそうなお風呂の様子が聞こえてくる。
「りんくん、みてー! あわあわー!」
「あおとくん、まっしろー!」
きゃっきゃと楽しそうに笑う琳の声が聞こえて嬉しくなる反面、また琳と二人暮らしに戻った時のことを考えるとちょっと不安になってくる。
今の生活があまりにも楽しすぎて、琳を寂しがらせてしまいそう。
何より、僕自身西条さんと碧斗くんと過ごすこの生活が楽しくて仕方がないんだ。
ここを出たら僕も……寂しくなっちゃうかもな。
でもいつまでもここでお世話になるわけにいかないし……。
あの元義弟の件が落ち着いたら、ここから出ないとな。
そしてまたここに通う生活に戻るんだ。
琳は保育園に通うのを渋りそう……。
もし、叶うなら碧斗くんと同じ幼稚園に行けるようにしてあげたいけど……働きながらじゃ無理かな。
現実的な問題が頭をよぎり、僕はため息を吐きながらキッチンに戻った。
「うん! すっごくいいー!!」
琳と碧斗くんのはしゃぐ声が耳に入って僕は目を覚ました。
「ん? ここは……?」
目を開けて周りを見るとそこは朝見た光景が広がっていた。
あれ? ここって、西条さんの部屋?
びっくりして起き上がると、やっぱりそこは西条さんの部屋だった。
なんで?
一瞬頭が働かなかったけれど、手のひらにサラサラのシーツが触れて思い出した。
あっ! そうだ!
僕がシーツのことを聞いたからここに連れてきてくれて教えてくれたんだ。
僕がベッドに寝てしまったせいで、その時のシーツを捨てたんじゃないかって勝手に落ち込んで……。
それが違ったってわかってホッとして……そこからの記憶がないけどもしかしてそれで寝ちゃった?
西条さんが僕をまたベッドに寝かせてくれたってこと?
うそっ! 碧斗くんと琳をほったらかしにして昼寝なんてっ!
一気に血の気が引いて慌ててベッドから下りて扉に向かうと、ほんの少し開いていた扉から碧斗くんと琳の楽しそうな声が聞こえた。
「ぱぱー、これもはやくー!」
「わかった、わかった」
あれって、西条さんの声?
そっと扉を開いて外を覗き見すると、壁に額縁を飾っているのが見える。
邪魔にならないようにゆっくり近づくと、琳が僕に気づいた。
「あー! はるかちゃん、おきたー!!」
嬉しそうに駆け寄ってきた琳が僕の足にしがみつく。
「もうだいじょーぶ?」
「えっ?」
大丈夫ってどういうことだろう?
「はるかちゃんがつかれておねんねしてるってぱぱがいってた。もうつかれてない?」
西条さんがそんなことを……。勝手に寝ちゃってただけなのに、本当に優しいな。
僕はしゃがんで琳と目を合わせて笑顔を見せた。
「うん。ぐっすり寝たから大丈夫。碧斗くんたちのところに行こうか」
琳を抱っこして立ち上がり、西条さんと碧斗くんのところに近づくと西条さんに笑顔で迎えられる。
「はるかちゃん、みてみてー! ぱぱがかざってくれたのー!!」
嬉しそうな碧斗くんの声に壁に視線を向けると、二人が描いていたあの絵が飾られていた。
もちろん僕が西条さんにお姫さま抱っこされているあの絵も一緒に。
「本当に良く描けてる。遥くんもそう思うだろう?」
「え、はい。そうですね」
とっても上手なのは間違い無いけど、ちょっと恥ずかしい。
でもせっかく飾ってくれたんだし、子どもたちも喜んでいるからいいのかな。
「ねぇ、はるかちゃん。おなかすいたー!」
そんな琳の声に時計を見たらもう六時前。
結構寝たと思ったけど、ここまで時間が経っているとは思わなかった。
「あ、あのさぃ……悠臣さん、お仕事はよかったんですか?」
僕が寝ている間、仕事に行ったとは思えない。
だからあれからずっと碧斗くんと琳のそばにいてくれたはず。
「問題ないよ。さっきまでそこで仕事をしていたからね」
見ればダイニングテーブルの西条さんがいつも座っている場所にパソコンが置いてある。
「ついさっき、頼んだ額縁が届いたから飾っていたところだったんだ。今から食事を作るなら手伝おうか? それとも先に風呂に入ってきたほうがいいかな?」
「あ、えっと……」
今日のメニューは割と簡単に出来るけど、ご飯が炊けるまで少し時間がかかるかな。
「あの、できればお風呂に入ってもらってたほうが……」
「わかった。今日は着替えまで私がするから遥くんは料理に専念していて良いよ」
そういうが早いか、西条さんは僕の腕から琳を受け取り、碧斗くんを連れて着替えを用意しに行った。
なんだか西条さんの育児スキルが上がっている気がする。
「ぱぱー、りん。これがいいー!」
「碧斗もそれでいいか?」
「うん、りんくんとおなじがいいー!」
あっという間に着替えを選び終えて、
「はるかちゃん。おふろいってくるねー!!」
と嬉しそうな声をあげて三人で脱衣所に入って行った。
なんだか本当の家族みたいだな。
ご飯だけ炊いて、こっそり脱衣所を覗きに行くと三人の楽しそうなお風呂の様子が聞こえてくる。
「りんくん、みてー! あわあわー!」
「あおとくん、まっしろー!」
きゃっきゃと楽しそうに笑う琳の声が聞こえて嬉しくなる反面、また琳と二人暮らしに戻った時のことを考えるとちょっと不安になってくる。
今の生活があまりにも楽しすぎて、琳を寂しがらせてしまいそう。
何より、僕自身西条さんと碧斗くんと過ごすこの生活が楽しくて仕方がないんだ。
ここを出たら僕も……寂しくなっちゃうかもな。
でもいつまでもここでお世話になるわけにいかないし……。
あの元義弟の件が落ち着いたら、ここから出ないとな。
そしてまたここに通う生活に戻るんだ。
琳は保育園に通うのを渋りそう……。
もし、叶うなら碧斗くんと同じ幼稚園に行けるようにしてあげたいけど……働きながらじゃ無理かな。
現実的な問題が頭をよぎり、僕はため息を吐きながらキッチンに戻った。
2,240
あなたにおすすめの小説
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
婚約者が聖女を選ぶことくらい分かっていたので、先に婚約破棄します。
黒蜜きな粉
恋愛
魔王討伐を終え、王都に凱旋した英雄たち。
その中心には、異世界から来た聖女と、彼女に寄り添う王太子の姿があった。
王太子の婚約者として壇上に立ちながらも、私は自分が選ばれない側だと理解していた。
だから、泣かない。縋らない。
私は自分から婚約破棄を願い出る。
選ばれなかった人生を終わらせるために。
そして、私自身の人生を始めるために。
短いお話です。
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
✻改稿版を他サイトにて投稿公開中です。
悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
* ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
ユィリと皆の動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新!
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新!
プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
義務ですもの。
あんど もあ
ファンタジー
貴族令嬢の義務として親の決めた相手に嫁いだが、夫には愛する人がいた。夫にないがしろにされても、妻として母として嫁としての義務を果たして誠実に生きたヒロインの掴んだ、ちょっと歪んだ幸せとは。
幻獣保護センター廃棄処理係の私、ボロ雑巾のような「ゴミ幻獣」をこっそり洗ってモフっていたら、実は世界を喰らう「終焉の獣」だった件について
いぬがみとうま🐾
ファンタジー
「魔力なしの穀潰し」――そう蔑まれ、幻獣保護センターの地下で廃棄幻獣の掃除に明け暮れる少女・ミヤコ。
実のところ、その施設は「価値のない命」を無慈悲に殺処分する地獄だった。
ある日、ミヤコの前に運ばれてきたのは、泥と油にまみれた「ボロ雑巾」のような正体不明の幻獣。
誰の目にもゴミとしか映らないその塊を、ミヤコは放っておけなかった。
「こんなに汚れたままなんて、かわいそう」
彼女が生活魔法を込めたブラシで丹念に汚れを落とした瞬間、世界を縛る最凶の封印が汚れと一緒に「流されてしまう。
現れたのは、月光を纏ったような美しい銀狼。
それは世界を喰らうと恐れられる伝説の災厄級幻獣『フェンリル・ヴォイド』だった……。
侯爵家の婚約者
やまだごんた
恋愛
侯爵家の嫡男カインは、自分を見向きもしない母に、なんとか認められようと努力を続ける。
7歳の誕生日を王宮で祝ってもらっていたが、自分以外の子供を可愛がる母の姿をみて、魔力を暴走させる。
その場の全員が死を覚悟したその時、1人の少女ジルダがカインの魔力を吸収して救ってくれた。
カインが魔力を暴走させないよう、王はカインとジルダを婚約させ、定期的な魔力吸収を命じる。
家族から冷たくされていたジルダに、カインは母から愛されない自分の寂しさを重ね、よき婚約者になろうと努力する。
だが、母が死に際に枕元にジルダを呼んだのを知り、ジルダもまた自分を裏切ったのだと絶望する。
17歳になった2人は、翌年の結婚を控えていたが、関係は歪なままだった。
そんな中、カインは仕事中に魔獣に攻撃され、死にかけていたところを救ってくれたイレリアという美しい少女と出会い、心を通わせていく。
全86話+番外編の予定
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる